万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

信頼の連鎖崩壊を怖れない韓国の不思議

2018年12月29日 12時38分19秒 | 国際政治
「摩擦激化」「感情対立に」=レーダー照射問題―韓国紙
 先日、日本海で発生した韓国海軍駆逐艦による海自哨戒機に対する火器管制レーダー照射事件は、日本国の防衛省が機内の緊迫した様子を伝える音声と共に一部始終を映す映像を公開したことにより、‘動かぬ証拠’が示されることとなりました。通常であれば、これを以って韓国側がレーダー照射の事実を認め、両国間の争いには終止符が打たれるはずでしたが、韓国側が「火器管制レーダーを照射したとの日本側の主張の客観的証拠と見ることは常識的に難しい」と反論したため、この期待は脆くも打ち砕かれてしまいました。

 レーダーは不可視であるためにそれ自体は映像として録画されてはいないものの、自衛隊機乗員の会話の内容から、韓国の駆逐艦がロックオンしたことは疑いなきことです。韓国側は同映像の公開を一方的な措置として批判していますが、自らに非がなければ、映像公開は‘韓国無罪’の証拠ともなり得るのですから、本来であれば歓迎すべきはずです。証拠の公開に憤ること自体が、韓国側が暗に照射の事実を認めたに等しく、韓国が全面的に否定しようとも、国際社会における印象は‘韓国有罪’に強く傾くこととなりましょう(レーダー探索の対象と説明されていた北朝鮮船舶も目視できる距離に映っているらしい…)。そして、それは、韓国と云う国は、‘誰もが確認し得る証拠を突きつけられても嘘を突き通す国’、とする悪しきイメージが国際社会で広まるリスクをも意味します。

 信頼性に関する国際的イメージの悪化はレーダー照射事件に留まらず、様々な場面において韓国を不利な立場に追い込むことでしょう。‘慰安婦問題’然り、‘徴用工問題’然りであり、従来、韓国が主張してきた‘被害の訴え’や‘日本軍残虐説’に対しても、疑いを抱く人々も増えるはずです。嘘を重ねることで当面の間は面子を保つことはできても、長期的に見ますと、韓国が失うものは計り知れません。否、今日まで積み上げてきた被害国としての虚構が連鎖的に崩壊しかねないからです。

もっとも、この展開は、日本国にとりましては望ましいことですし、ようやく‘事実が事実として認められる’チャンスともなります。人類にとりましても、嘘やプロパガンダがまかり通る世界からの決別をも意味することとなりましょう。そして、韓国が自らの信頼を取り戻すために残された道は、潔く‘嘘を嘘として認め’、過去の反省の下で自己改革に臨むしかないのです。

なお、横道にそれますが、韓国駆逐艦の艦名は『広開土大王』であり、4世紀における高句麗の王名であることは注目すべき点かもしれません。日本国内では、広開土王碑文で知られ、同石碑には、「そもそも新羅・百残は(高句麗の)属民であり、朝貢していた。しかし、倭が辛卯年(391年)に海を渡り百残・加羅・新羅を破り、臣民となしてしまった。」と解される一文も刻まれています。石碑自体は中国の吉林省で発見されましたが、高句麗とは、現在の中国北東部から北朝鮮にかけての地域にあった古代朝鮮王国の一つです。つまり、古代にあって倭国と高句麗が新羅・百済・加羅(朝鮮半島南部)の支配をめぐって干戈を交え、高句麗が勝利したことを記念して建立されたのが同碑なのです。同碑が記した古代の国際情勢を現代に移し替えますと、高句麗=北朝鮮・中国は、過去に新羅・百済=韓国を支配していたけれども、倭=日本・米国が統治権を及ぼすようになったので、高句麗=北朝鮮・中国が戦争に訴えて奪い返した、という構図になります。

仮に、韓国側が古代における日本国と高句麗との戦争に因んで同艦の名称を付けたとしますと、そこには、中国・北朝鮮主導による朝鮮半島の統一と対日勝利の願望、並びに、日米勢力から半島南部の統治権を奪い返したいという中国・北朝鮮側に与した韓国側の期待があったと言わざるを得ないのです。もっとも、広開土王その人のその後はようとして知れず、歴史の闇に消えてしまうのですが…。

レーダー照射事件における韓国駆逐艦が、奇しくも因縁の‘広開土王’の名であったことは、韓国の対日基本方針が反日、あるいは、敵視であることを裏付けてしまったようにも思えるのです。

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