万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

ビルダーバーグ会議は世界を動かしたのか?-陰謀の実在問題

2021年09月17日 15時38分12秒 | その他

近年に至り、陰謀論として嘲笑されてきた出来事の背後には、それを操る組織体として’超国家権力体’が実在しているではないか、とする疑いが強まっております。’超国家’とは、何れの国にも属しておらず、国家を超越したところに存在していることを意味し、‘権力体’とは、それが非合法的なものであっても、実質的にグローバル経済のみならず、各国の政治や社会を改造し得る決定権を有していることを示す表現です。

 

同権力体の’フロント’と目されているのは、ビルダーバーグ会議やダボス会議などがあり、これらの組織は紛れもなく実在しています。そして、毎年開催されていたビルダーバーグ会議の議事が非公開であり、また、イギリスの王立国際問題研究所を起源とするチャタムハウスルール(参加者は、情報を利用することはできてもその発信者の身元は秘匿する義務を負う…)にも従うという点において、’秘密組織’の範疇に入ると言えましょう。’秘密’こそ、陰謀の必要不可欠の要素ですから。

 

 それでは、ビルダーバーグ会議とは、どのような会議なのでしょうか。同会議の発案者は、第二次世界大戦後、ポーランド出身の’国際政治家’、あるいは、’超国家政治家’であったジョセフ・レティンガーという人物であったとされます。冷戦下にあって同氏の提案を受けたオランダのベルンハルト王配が、西側諸国の有力者たちに働きかけることによって、1954年に創設されたのが同会議なのです。因みに、レティンガーの曽祖父は、ユダヤ教からカトリックへの改宗者したユダヤ人の仕立屋(tailor)であり、ここに同氏のユダヤ人脈を見出すことができます(母親の家が東方典礼カトリック教会…)。同氏は、大戦下にあってロンドンに置かれたポーランド亡命政府にあって助言者として重用されるに留まらず、戦後はヨーロッパ統合運動にも深く関わっています。興味が尽きない人物なのですが、基本的なスタンスは反共主義にあり、イギリス、アメリカ、オランダ、ベルギー、フランス、そして、スイスにも広がる同氏の人脈を以って冷戦下にあって西側諸国の結束を促すための組織として構想されたのが、ビルダーバーグ会議であったと言えましょう。

 

 同会議の創設に当たっては、西側諸国の王族や首脳クラスのみならず、ロスチャイルド家やロックフェラー家などの協力をも取り付けています。トルーマン大統領に至っては、CIAにサポートを命じたとされていますので、ビルダーバーグ会議は、富裕層による私的な会議というよりは、政官財を網羅する超国家複合体といった性質が窺えます。もっとも、反共主義を基調としながらも、西側諸国の左派には寛容であり、同会議設立に際して、ベルンハルト王配は、イギリスの労働党政権にあって財務大臣を務めたデニス・ヒーリーにも働きかけていますし(因みに、ヒーリーの父系の祖父も、北アイルランド出身の仕立屋(tailor)であった。…)、冷戦崩壊後にあっては、アメリカ民主党のクリントン大統領やイギリス労働党のブレア首相も招待されています。また、近年に至ると、イラン、イラク、ニュージーランド、イスラエル、パキスタン、ベネズエラ、さらには、中国からの出席者も確認されているそうですので、国際社会における表面的な対立関係とは異なる次元の世界が形成されているのかもしれません。すなわち、反共組織として設立されながらも、その実は、社会・共産主義とも強いパイプを持つ組織であると言えるでしょう。

 

 以上の経緯を見れば、ビルダーバーグ会議の世界各国に与える影響力は一目瞭然なのですが、何故か、同会議が各国の内政に干渉し、各国の民主主義をも脅かしているという問題について誰も正面から論じようとはしないという不可解な現象が今日まで続いています。そして、戦前にあって既に設立されていたコミンテルンといった’超国家’組織が、現実にあって人類の歴史を動かした点を考慮しますと、より資金力や影響力に優る同会議、あるいは、その背後にある’超国家権力体’は、陰から東西両陣営をコントロールしてきたと考える方が合理的なように思えます。’超国家権力体’の存在を人類史に位置づけてこそ、真の世界史が見えてくるのではないでしょうか。

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