万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

シリアから北朝鮮へ-その先に何があるのか?

2018-04-15 15:01:28 | 国際政治
シリア・ドゥーマでの化学攻撃、塩素に加えサリンも 米政府見解
シリアのアサド政権は化学兵器の使用を理由として、米英仏から軍事制裁を受けることとなりました。アサド政権を背後から支えてきたロシアは、三国による軍事制裁を“国際法違反”として批判しておりますが、化学兵器の使用こそ国際法に違反しておりますので説得力がなく、同国が国連安保理に提出したシリア攻撃非難決議案も否決されています。

 シリアにおける米英仏の軍事行動に対し、大方の予測は、“次は北朝鮮”というものです。その根拠は、第一に、アサド政権が使用したとされる化学兵器が、中枢神経に障害を与えるサリンである疑いが濃いことにあり、同化学兵器は、シリアと北朝鮮を結ぶ接点となるかもしれません。日本国内で発生した地下鉄サリン事件では、オウム真理教と北朝鮮との関係が取り沙汰されたものの、結局は有耶無耶となりましたが、サリンの製造技術は北朝鮮からその数少ない友好国であるシリアに齎された可能性があります(金正男氏暗殺事件では、VXガスが使用されたとする指摘もある…)。あるいは、“黒幕”のロシアが両国に自国で開発したサリンの製造技術を供与したのかもしれません。何れにしても、北朝鮮もまた、生物・化学兵器の使用・製造において軍事制裁を受ける立場に置かれます。

 第二の根拠は、化学兵器の製造・使用における国際法違法行為を新たに持ち出さなくとも、北朝鮮は、核・ミサイルの開発・保有において、既に、安保理決議に基づいて国際社会から厳しい経済制裁を受けていることです。米朝首脳会談を控えてはいるものの、同会談が決裂した場合には、アメリカは軍事制裁を決断することでしょう。日米とも、段階的な北朝鮮の核放棄には応じないとする立場で一致しておりますので、リビア方式による核放棄を受け入れない限り、軍事制裁の運命が待ち受けていることでしょう。

 加えて第三の根拠は、米英仏の軍事制裁に対して、ロシアも中国も黙認せざるを得なかったことです。上述した国連安保理でのロシア案は、中国とボリビアのみが賛成しています。このことは、仮に、米軍が北朝鮮を空爆したとしても、国連安保理で中国、あるいは、ロシアが対米非難決議案を提出したとしても、同非難決議は反対多数で成立せず、アメリカの行動は消極的な形ながら是認される可能性を示唆しています。つまり、シリア攻撃は、米軍による対北軍事制裁のハードルを下げる効果をもたらしたのです。

 北朝鮮も、シリア攻撃の意味を理解しており、そうであるからこそ、金正恩委員長は、急ぎ、中国共産党の宋濤中央対外連絡部長と会談の場を設けたのでしょう。そして、警戒すべきは、中国、ロシア、北朝鮮、シリア、そして、イランといった独裁を容認する“非民主的国家”が、今後、どのように動くのか、という問題です。上述したように、北朝鮮危機にあっても、国連安保理に対して対北軍事制裁の阻止を期待することはできませんので、これらの諸国は力での解決を決意し、第3次世界大戦をも睨んだ“非民主的国家陣営”を形成しないとも限らないからです。

そして、同陣営のメンバーを見ますと、三つ巴で始まった第2次世界大戦における連合国(自由主義国+共産主義国)対枢軸国の構図が明確に組み替えられ、遂に連合国が分解し(米ソ対立は冷戦時代にあって既に顕在化していたものの、近年では、中国が旧連合国の立場を主張してきた…)、新連合国(自由主義国+旧枢軸国)対旧共産主義国の様相を呈していることに気付かされます。旧枢軸国である日本国政府は、逸早く米英仏のシリア攻撃への支持を表明しましたし、ドイツのメルケル首相も「必要かつ適度な軍事行為」として支持する声明を発表したと報じられています。イタリアも、同様の立場にあると推測されますので、米英仏から成る自由主義国と旧枢軸国は、無法国家群である旧共産主義国陣営の脅威を前にして、今日、恩讐を越えて結束を固めているといえましょう。実際に、第3次世界大戦にまで発展するかどうかは現時点では分かりませんが、今般の対立は、自由主義国陣営にとりまして、より善き国際社会と人類の幸せを目指すべく、自由、民主主義、法の支配といった諸価値の実現をかけた闘いとなるのではないかと思うのです。

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