万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

’ロックダウンの法整備公約’の不思議

2021年09月20日 11時48分44秒 | 国際政治

 自民党総裁選挙を控え、メディア各社は、4人の立候補者が掲げる主要な政策方針について報じるようになりました。いわば、国民に対する公約の提示ということになるのでしょうが、その中で、コロナ対策として、河野太郎氏と高市早苗氏の二人の候補者がロックダウンの法制化を挙げております。高市氏の場合、’現在必要はないけれども、将来に備えて’との説明を付しており、消極的な姿勢での法制化論なのですが、この公約、よくよく考えてみますと、どこか不自然なように思えるのです。

 

第1に、ロックダウンという手法そのものに疑問があります。ロックダウンとは、人から人、並びに、物から人への感染、並びに、感染の地理的範囲の拡大を防ぐために、人々の接触や移動、さらには、物流を強制的、かつ、徹底的に凡そゼロするというものです。確かに、ウイルスとは宿主や付着先が存在しませんと人に感染することはできませんので、この方法は絶大な効果が期待できます。しかしながら、武漢で発見されたたった一人の患者から全世界に広がったのですから、全世界の諸国が一斉に国境閉鎖をも含めた完全なる封鎖と全世界の人々の完全なる外出禁止を実施しない限り、すなわち、世界規模の例外無しのロックダウンを実施して、ウイルスを100%根絶させない限り、ロックダウン⇒解除⇒感染拡大⇒ロックダウンというサイクルの繰り返しとなりましょう。つまり、この方法は、’終わり’がなく、そして、繰り返されるロックダウンの期間における経済的損失の甚大さを考慮しますと、合理的に考えれば賢明な手法とは言えないように思えます。

 

第2に、当初の政府の説明では、国民のワクチン接種率が高まれば凡そ集団免疫が達成され(集団免疫説については現在では否定的…)、経済活動も正常化されるとしていました。しかも、日本国では、これまでロックダウンを実施することなく感染拡大が抑え込まれている上に、今日では、50%を越える国民が二度の接種を終えたとされています。少なくとも、ロックダウンのための法整備は、’新政権’が、他のコロナ対策に優先して取り組むほどの重要性も緊急性も見当たらないのです。

 

第2に関連して’第3に、ロックダウン’という手法は、遺伝子ワクチンが登場する以前にあって、新型コロナウイルス感染症が猛威を振るった諸国に置いて採用された手段である点です。このことは、ワクチンが政府や製薬会社が宣伝するような高い効果を発揮すれば、もはや必要とはしないことを意味します。’抗ワクチンの変異種が出現すれば必要となる’とする反論もありましょうが、生物兵器対策としての開発動機を有する遺伝子ワクチンのメリットとは、自然であれ、人工であれ、あらゆるウイルスや細菌に対する高い即応性であったはずです。人口mRNAやDNAの塩基配列を組み替えるだけで済むのですから。しかも、今日、効果の高い治療薬も登場してきていますので、今後、ロックダウンの必要性はさらに低下してゆくことでしょう。この点におきましても、現状にあって、ロックダウンの法整備が急がれているとしますと、それは、実のところ、ワクチンには効果がないと言っているに等しいのではないでしょうか。

 

 そして、第4の疑問点は、総裁候補者の公約の内容と国民の関心事項との間の’ずれ’です。昨今、諸外国ではワクチンパスポートを導入する事例が見られ、菅政権下にあって、日本国政府も接種証明や非感染証明の積極的活用の方針を示しています。ワクチンパスポートには非接種者に対する差別のみならず、重大な自由や権利の侵害を招く恐れもあるため、国民からの反対や懸念の声も強く、その行方が注目されています。コロナ対策として国民が候補者から聞きたいのは、ロックダウンよりもワクチンパスポート、さらには接種義務化等に対する姿勢であったはずです(ワクチン推進派にあっては、接種体制の拡充であるかもしれない…)。少なくとも、ロックダウンを可能とするための法の整備が、国民の第一の関心対象とは思えないのです。

 

 以上に述べましたように、自民党総裁選挙にあって主張されているロックダウンに向けた法整備論には、どこか腑に落ちない点があります。同政策は、一体、誰に対する’公約’なのでしょうか。もしかしますと、ロックダウンには別の目的があり(全体主義体制の成立?)、超国家権力体からの支持を得るための’国際公約’かもしれず、自民党総裁選の4人の候補者、そして野党の政策の何れもが’代り映え’がしないのも、日本国民に向けられた政策ではないからなのかもしれないと思うのです。

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