万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

日本年金機構の中国業者再委託事件-故意なのか?

2018年03月20日 11時37分49秒 | 日本政治
500万人分の個人情報が中国業者に 年金情報入力を再委託
日本年金機構が都内の情報処理会社に500万人分のデータ入力業務を委託したところ、同社が契約に違反して中国業者に再委託していた事実が明るみとなり、日本国内に衝撃が走っています。同データにはマイナンバー等の重要な日本国民の個人情報も含まれていたからです。日本年金機構、並びに、委託を受けた情報処理会社は、調査中との理由を付けてコメントを控えていますが、果たして、この事件、単なるミスや営利目的なのでしょうか。この点に関して、以下に述べるような幾つの不審な点が見受けられます。

 第一の不審点は、同事件を報じたマスコミ各社が、何故か、直接に委託を受けた情報処理会社の社名を伏せていることです。国民に直接に関わる重大事件が発生した場合、通常、マスコミは同社の社会的責任を明らかにするためにも社名を記して報じています。おそらく、同社の社名が判明すれば、何らかの不都合や不利益が生じるということなのでしょうが、それはいったい誰の、そして、どのような不都合や不利益なのでしょうか。

 第二に挙げられる点は、委託を受けた情報処理会社は、日本年金機構との契約書に再委託を禁じる項目があることを知りながら違約したのですから、再委託行為自体は同社の故意としか言いようがありません。今日、ビックデータの活用等において個人情報の扱いに関心が集まっており、況してや、国家機密のレベルにあるマイナンバーについては、特に厳重な管理が求められてきました。近年の法改正により、共産党の企業統制が強化されている矢先に中国業者に再委託するという発想は、国家の情報管理の原則に照らせばあり得ませんし、同社もまた、日本国の年金機構からの委託である以上、その点は十分に認識していたはずです。

 第三の不審点は、同情報処理会社が、たとえ純粋な営利目的、即ち、低コストの事業者への再委託で利益を上げる目的であったとしても、選定したのが中国業者ですので、日本国のデータが中国本土(中国共産党政府)に流出した可能性が高い点です。電力コストや人件費等の安価な中国本土での作業の方が、膨大なデータ入力を低コストで実現することができるからです。

 また、現在、在日中国人も日本国の年金制度に加入可能であり、かつ、目下、日中間で保険料の二重払い問題を解消するための社会保障制度に関する協定の締結作業が進められています。再委託先の中国業者が、日本国側のチェックが及ばない密室において自国民に利益となるようデータを改竄したり、データ操作を行った場合、日本国民の受給者が不利益を受けるリスクもあります。中国業者による入力作業の不透明性が第四の不審点です。

 厚労省は、これまでのところ、「中国の業者から個人情報が外部に流出した事実は今のところ確認されていないと」と説明していますが、この説明を信用することはできるのでしょうか。第二点で述べたように、既に中国企業は中国共産党のコントロール下にあることに鑑みれば、たとえ、日本国内で入力作業が行われたとしても、“内部流出”という形で既に情報が中国の情報機関に渡っているかもしれないのです。同情報処理会社は、委託を受けてから中国業者への再委託を決めたのでしょうか、それとも、委託以前の段階で中国業者と既に結託していたのでしょうか。

 以上に主要な不審点を述べましたが、年金情報とは、受給者の過去の就労経歴から現在の生活状況までの全ての情報が詰まっていますので、こうした個々人のパッケージ情報が中国に流出したとなりますと、日本国民は、心安く日常の生活を送ることさえ難しくなります。日本国民の多くが、隣国の独裁国家によって自己の生涯に関する情報を握られている状況となるのですから。

 そして、最後にもう一つの不審点を挙げるとすれば、それは、この事件の目的です。その目的とは、拡張主義の野望を最早隠そうともしない中国による日本国攻略を睨んだ情報収集の一環とも推測されますし、あるいは、北朝鮮危機とも関連するマイナンバー制度潰しであるのかもしれません。日本国内に日本年金機構、情報処理会社、並びに、中国事業者を横断する謀略ネットワークがあるとしますと、日本国の安全は内側からの組織的な活動によって脅かされている恐れがあります。こうした懸念を考慮しますと、この事件の全容を解明することこそ、日本国政府の急務なのではないでしょうか。

*本日20日の正午のNHKのニュースにより、以上の諸点について、判明した部分をお知らせします。第一点のこれまで伏せられてきた委託情報処理会社の社名は、SAY企画なそうです。同社につきましては、ネットで検索してみましたが、ホームページはメンテナンス中となっており、詳しい情報を得ることはできませんでした。なお、再委託先の中国業者とは、同社の社長が設立の時点から関わった大連所在の事業者のようです(第3点は中国国内での作業…)。このことから、データの入力作業は中国の大連市で行われたことになりますが、これが事実としますと、入力作業は“氏名のデータ”のみとする同社の説明と矛盾しています。何故ならば、日本人の氏名入力ほど、中国人にとりまして困難な作業はないからです。受給者には高齢者が多いため、きらきらネームはないまでも、古来の漢字や日本独自の漢字に加えて、訓読みと音読みの違いのみならず、音読みでも、呉音、漢音、唐音の違いもあるからです。上記の謎は全て解けたわけではなく、同事件の調査は始まったばかりと言えましょう。


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4 コメント

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500万人のデータは大連の会社にある (Unknown)
2018-03-21 04:52:03
役所から受注した仕事を下請けに出して、中抜きで儲ける。真面目に業務をせず、中抜きで儲けるを奨励したのが小泉以来の自民党の政策。派遣業法もそうだ。
こういう情報は役所の正規職員が歯を食いしばってやるしかない。年金漏れの場合のように派遣,臨時を使えば情報は洩れる。
中抜きで儲けるを奨励した自民党を支持したものは売国奴に過ぎない。あるいは、こうなることが予見できない愚か者に過ぎない。
Unknownさま (kuranishi masako)
2018-03-21 08:20:16
 コメントをいただきまして、ありがとうございました。

 官民の線引きをきちんといたしませんと、同様の問題が今後とも多発するものと予測されます。今般の事件により、民営化一辺倒のリスクも認識されたのですから、官がすべき仕事を明確にすべきではないかと思います。民営化が、外国や外国勢力に利用されるのでは、元も子もないのではないでしょうか。
Unknown (上海・76号)
2018-03-21 09:00:49
この大連の会社には数多くの日本人の若者(地方出身の)が働いています。
今回の年金機構に限らず日本からの仕事が多いですよ!?

瀋陽軍区(北部戦区)であることに注目ですね

それと全人代が終えたこのタイミングで、、、、
上海・76号さま (kuranishi masako)
2018-03-21 12:51:30
 コメント、並びに、貴重な情報をいただきまして、ありがとうございました。

 元瀋陽軍区と申しますと、北朝鮮との繋がりも指摘されてまいりました。習主席は、反北京的な同軍区を掌握するために、人民解放軍を再編成したともされておりますが、この事件の背景には、中国国内での何らかの動きも感じられます。日本国政府は、中国、北朝鮮、そして、日本国内の関連組織(大連の再委託先企業で雇用されている地方出身の”日本人”とは、一体、誰なのでしょうか…)の活動状況についても調査する必要があるように思えます。

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