万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

日本国では民主主義が機能していない?-移民政策に見る保守政党の悲しき裏切り

2018-06-01 11:09:06 | 日本政治
「五つ星運動」や「同盟」等の政党が躍進したイタリアをはじめとした欧米諸国では、移民反対を掲げる政党の台頭が著しく、従来の左右対立の構図が一変しております。これらの政党については、日本のマスコミは、必ずと言ってよい程、ポピュリズム(大衆迎合主義)政党とする説明を付しており、民主主義を危険に晒す存在として批判的に報じています。しかしながら、先日、日本国政府が策定した外国人労働者の受け入れ政策に関する限り、国民一般に広く存在する移民反対派の受け皿となる政党が存在する米欧諸国の方が(もっとも、その背景については調べる必要がありますが…)、民主主義がまだ健全に機能しているように思えます。

今般の政策は、単純労働者を含む外国人に対して日本国の労働市場を開放するわけですから、長期的には、経済分野を越えて日本社会全体を破壊するほどの影響をもたらします。多民族国家へと日本国民の構成が大きく変化することを意味し、台湾と朝鮮半島を外地としていた期間は別としても、古代より連綿と続く日本列島の歴史を見れば、最大の転換点と言っても過言ではありません。それにも拘わらず、自民党をはじめとした各政党とも、モリ・カケ問題には異常なまでの執着心を見せながら、より国民に身近で直接的な問題である移民政策については素知らぬ顔を決め込んでおり、政府も、国民にその是非を問うどころか、説明責任さえ果たそうとしていないのです。

 加えて、マスメディアに登場する識者たちの見解も、その大半は、あたかも移民受け入れによる日本国の多民族国家化は‘既定路線’、もしく は、‘正しい路線’であるが如くに論じています。移民政策自体の賛否をめぐって生じている国民間の議論についても、これもまた無視を決め込んでいるのです。移民増加によって仮に問題が起きれば、‘悪い’のは、受け入れ態勢の整備を怠った日本国政府か、あるいは、歓迎しなかった日本国民と言わんばかりであると言えるでしょう。正義の仮面を被ることで、ちゃっかりと責任は他者に押し付けるとともに、移民政策に対する国民側からの批判や非難を封じているのです。

 こうした政府やマスコミの傲慢不遜な態度は、批判を浴びている日大アメフト部の内田元監督と然して変わりはありません。‘勝つためには手段を選ばず’は、‘人口増加、あるいは、利益のためには手段を選ばず’であり、批判されれば、‘このぐらい当然のことでしょう’と嘯くか、‘移民増加によるリスクは知らなかった’としらを切るのでしょう。そして、その結果に対する責任を引き受ける覚悟もないのです。選手達が如何に酷い目に遭おうともお構いなしの思考も、日本国民を‘主権者’ではなく‘被支配者’としてしか見ない日本国政府やマスメディアの態度と共通しています。一般の日本国民は、まさに‘まな板の上の鯉’と見なされているのです。

 戦略の世界では、‘攻撃は最大の防御’とも言われております。リベラルによる所謂‘ポピュリズム批判’とは、‘変革’という名のもとに破壊を容認するリベラリズムに内在する非民主的な思考の存在を隠し(民主主義とは、国際的には民族自決や内政不干渉を意味し、国内的には国家と国民との間に法的権利・義務関係が存在する国家において成立する価値…)、自らに対する批判を躱すための防御のための攻撃かもしれません。

そして、日本国の政界を見渡してみますと、リベラル(破壊者)か、保守を装ったリベラル(破壊者)しか存在しないかのようです。自国の運命を国民自らで決めることこそ民主主義の本質であるならば、独断で国を開放した日本国政府の方針は、日本国民に対する背任であると共に、民主主義に対する悲しき裏切りなのではないでしょうか。日本国も、民主主義を具現化させることができる真の保守政党が必要とされる時期が訪れているように思えるのです。

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コメント (9)   この記事についてブログを書く
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9 コメント

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本日も「激しく同意」します。 (ベッラ)
2018-06-01 18:41:15
国民が望んでいないことを平気ですすめる、しかも「信者」はそれを止めるどころか保守側の批判を嫌悪する。完全にセクト化です。
私は「保守のセクト化」「保守の品位の低下」に嘆いています。国民をだましたつもりかもしれませんが、私たち国民はどの党にも「白紙委任」はしていないのです。
拉致問題に関しても最近は「芸能事務所化」していて下手な歌のCDなどどんどん出していますが「うわべのきれいごど」はやめてほしい、三宅先生が亡くなってからおかしくなっている、でも左派が「人権」というように最近はホシュ(あえてカタカナで書く)もそういう意味で「人権」と看板を振り上げる、でも見えているのです。欺瞞がすべて・・・国民の力を結集といってもそれは国会がしっかししないとなかなか無理です。

先生の記事を拡散させてください。低劣な欺瞞をおしつけてくる勢力には辟易しております。
ベッラさま (kuranishi masako)
2018-06-01 19:20:18
 コメントをいただきまして、ありがとうございました。本記事につきましては、どうぞ、ご遠慮なく拡散なさってくださいませ。

 保守派を自認する識者の方々も、この件については、口を噤んでしまっているようです。もしかしますと、日本国を想う真の保守ではなく、何らかの勢力のために保守派を演じているに過ぎないのかもしれません。国民は、偽善の裏の破壊に、賢く気が付くべきではないかと思います。
保守政治家の不在 (onecat01)
2018-06-01 21:49:05
kuranishi masakoさん。

 私は、あなたの危機意識を、尊いものとして受け止めます。安い労働力を求めて、移民を大量に入れようとしているのは、経済界です。

 ヨーロッパを見ればわかる通り、移民は、宗教、文化、生活習慣などで、必ず地域社会とトラブルを起こし、人数が増えるほどに騒擾となり、流血と憎悪が生じて参ります。

 そしてこの移民の窓口となり、大儲けをするのが、人材派遣会社です。たんなる移民の斡旋でなく、この会社は、企業に対し、労務政策の変更を指導します。

 農業分野や漁業分野にも進出し、日本の食料安全保障にも、介入します。この会社の役員が、竹中平蔵氏であることは、誰もが知っています。

 モリカケどころの話でないのに、野党も攻撃せず、自民党の日本破壊を黙認しています。今のところ、あなたのような視点から、自民党の悪政を批判する勢力が日本にあるのを、私は知りません。

 いつの間にか、日本には、保守政治家がいなくなったのでしょうか。強い怒りとともに、日々の政界を観察しております。

 これからもどうか、よろしくご指導ください。
onecat01さま (kuranishi masako)
2018-06-02 07:01:42
 コメントをいただきまして、ありがとうございました。

 全員とは申しませんが、自民党議員の多くが、国際勢力の”悪代官”であり、野党の殆どは、反対し得力を演じながらもその協力者、あるいは、予備軍に過ぎないのではないかと考えております。政府の重要な役割は(皇室も同罪…)、国家や国民を護ることであるにも拘わらず、易々と他国に’差し出している’のですから。日本国民の多くが、この危機的状況を認識し、如何にしてこの状態から脱するのか、真剣に考えていただきたいと思うのです。
Unknown (竹槍)
2018-06-02 08:32:54
先生はイタリア政治をどのように評価されますか?私は期待しています。彼らは政府貨幣を財源にベーシックインカムをやろうとしています。
竹槍さま (kuranishi masako)
2018-06-02 11:45:01
 コメントをいただきまして、ありがとうございました。

 政府紙幣を財源に、ということになりますと、イタリアはユーロから離脱して自国通貨を復活させることになるかと思います。この点に関しましては、イタリアの世論は、ユーロ圏残留に対する支持が多数を占めており、実現性につきましては、それ程、高いわけではないと思います。

 また、ベーシックインカムにつきましても(そもそも、この政策は、社会・共産主義、あるいは、新自由主義的では…)、呑気なイタリア人気質を考えますと、イタリア経済復活の起爆剤となることを期待することはできないように思えます。加えて、ベーシックインカムを目的とした移民増加もあり得るかもしれません…。

 政府紙幣に関しましては、頭から否定できな面がありますので、今日の中央銀行券一辺倒の考え方にも問題がありそうです、貨幣制度の再検討、否、経済システムの見直しは、イタリアのみならず、日本国を含む各国の課題ではないかと思います。
転載のご許可を頂いたのに (ベッラ)
2018-06-02 12:48:06
何度も試したのですが、編集面では書けてもブログを見たら映っていないのです。仕方なくリンクを貼りました。
こんなことははじめてなので戸惑っています。gooのやり方が変わったのかどうかわかりません。でもニュースなどはそのまま貼りつけることができるのです。
私の記事のリンクです。 (ベッラ)
2018-06-02 13:21:15
https://blog.goo.ne.jp/bellavoce3594/e/2e32d6daf221c82a6c5c7ed8f3e762f4

これを書くのを忘れておりました。申し訳ありません。
ベッラさま (kuranishi masako)
2018-06-02 19:32:21
 記事の転載につきまして、ご丁寧な連絡をいただき、ありがとうございました。また、リンクをお貼りくださいましたこと、厚く御礼申し上げます。

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