万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

売国防止のための’政経分離’の重要性-政治家ファミリーの株保有の問題

2021年09月23日 11時27分48秒 | 国際政治

 自民党総裁選挙を機に、中国市場でのファミリー企業の事業を介した河野家と中国共産党との関係が、俄かに表面化することとなりました。かくも重大な事実でありながら、これまで、両者の関係を日本国を揺るがしかねない疑惑として報じたメディアが殆ど存在していなかったこと自体が不思議でなりません。一方、国民の多くも、同情報に接したことで、洋平氏を含めた河野家の政治家の親中・親韓の姿勢、並びに、これに基づく政策方針をよく理解できたのではないかと思います。動機が判明したのですから。

 

 もっとも、河野家の問題は、日本国のみならず全世界の諸国の政治家にも共通しているのかもしれません。何故ならば、とりわけ80年代以降の急速なグローバリズムの進展により、中国ビジネスで破格の待遇と利権を得ていた河野家と同様に、海外市場や海外企業、あるいは、グローバル企業と利害を共有する政治家が少なくないからです。人という存在が、その本質において自己の利益を優先する傾向にあるならばば、海外市場に利権を有する政治家は、相当に高い政治倫理を備えていない限り、国益と私益との間で二者択一を迫られた場合、後者を選択することでしょう。否、強欲で悪徳な政治家ともなりますと、私益のために積極的に国益を犠牲に供するかもしれません。

 

この結果、各国の政治家の多くは、民主的手続きを経て選出された国民の代表というポジションを装いながら、海外の経済勢力の代理人に過ぎなくなりましょう。多額の選挙資金の出所も元を辿ればこうした経済勢力ともなりますと、政治家は、独立した政治家ではなく’子飼い’とならざるを得なくなるのです。政治家と経済界との癒着は、’政治とカネ’の問題として捉えられ、主として企業献金をターゲットとして政治資金規正法によって規制されていますし、リクルート事件をきっかけとして政治家の資産公開制度も設けられています。しかしながら、グローバル時代を迎えた今日にあって、より重要性を増してきているのは、株式保有やファミリー企業の事業(ビジネス上の便宜や役員への就任なども含む…)を介した海外からの迂回ルートのように思えます。

 

現状の資産公開制度では、閣僚については本人、配偶者並びに扶養している子供、国会議員については本人が保有する有価証券の銘柄や株数は公開されておりますが、その他の家族や親族については公開義務がありません(なお、銘柄と株数のみでは、実際の資産評価額は分かりにくいとされている…)。例えば、問題となっている河野家の日本端子株式会社のケースでは、株式総数90,000株の内、現役の議員である太郎氏が4,000株なのに対して、筆頭株主である父洋平氏の保有数は58,000株です。河野家のみで過半数を保有しているものの、同制度では、父親の株式保有数を知ることはできません。しかも、同制度では、報告義務があるのは上場企業と資本金1億円を超える企業の株式のみであり、非公開株等は公開の対象外です。また、ファミリー事業の海外での事業状況につきましても公開対象ではありませんので、国民は、政治家、あるいは、そのファミリーと海外勢力との繋がりを知ることができないのです。

 

今日、日本国のみならず、およそ全ての諸国が、政治家による防衛や安全保障の弱体化のみならず、海外企業優遇政策、移民促進、自国市場の一方的な開放、さらには、自国の’植民地化’の危機を招いているように思えます。ローマ帝国の形成過程を見ても、ローマ市民権の付与によって征服地の異民族上層部は取り込まれており、権力層への特権付与は(今日では株式や役員ポストなど…)、植民地化や属国化の常套手段として用いられてきた歴史があります。

 

以上に述べた問題を解決するためには、適切なる’政経分離’こそ、政教分離の原則と凡そ同様の理由を以って真剣に検討されるべき課題と言えましょう。つまり、海外勢力を含めて私的な集団による国家権力の私物化を防ぐには、統治制度にあって両者の切り離しを図る必要があるのです。先ずは、国民への判断材料の提供として、政治家やその親族の資産公開制度の拡充から始めるべきではないかと思うのです。

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