万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

有事対応にはワクチンよりも新たな防御技術の開発では

2021年04月27日 13時42分26秒 | 国際政治

日本国内では、アメリカやイギリス等の諸国が新たなワクチン技術を以ってワクチンを大量に供給する中、国産ワクチンの開発の遅れを非難する声が上がっております。この遅れの原因として、日本国政府の有事対応の不備が指摘されていますが、新型コロナ・ワクチンの接種がもたらした現状を見る限り、有事への備えとしては、ワクチンより新技術の開発の方が遥かに安全ではないかと思うのです。

 

 アメリカ、イギリス、ロシア、そして中国といった諸国がワクチン開発に先んじたのは、生物兵器の使用を想定していたからとされています。炭疽菌をはじめ、有害な細菌やウイルスは、’目に見えない兵器’として開発されてきた歴史があります。ウイルス工学の発展により有害性を増強させた人工ウイルスの製造が可能となり(武漢ウイルス研究所からの流出説の根拠…)、戦場における使用のみならず、国際法を無視した’超限戦’が想定されている今日、敵国認定された諸国に対して民間人無差別虐殺を目的に密かに有害細菌やウイルスが散布される可能性は高まるばかりです。軍事大国は、’敵国’による生物兵器使用に備え、迅速、かつ、大量にワクチンを生産し、国民に接種させる必要性を痛感していたのでしょう。そして、この防御的テクノロジー開発の成果こそが、遺伝子工学を用いた遺伝子ワクチン、あるいは、核酸ワクチンであるというのです。鶏卵等による培養期間を経ずして工場にあって短期間に大量生産できるのですから。

 

 生物兵器への高い対応能力において、遺伝子ワクチンは確かに優れているのですが、新型コロナウイルス感染症への対応を見ますと、ワクチン戦略には重大なリスクも認識されます。先ずもって、人体に与える中長期的なリスクについては未知の領域であり、一つ間違えますと、ワクチンと言う名の生物兵器への対抗手段によって長期的には’自滅’してしまうという展開もあり得ます。生物兵器の攻撃を受けた側の政府が、ワクチン投与により自国民に死を齎してしまうというというリスクです(逆にワクチン自身が、自国民向けの’生物兵器’となってしまうリスク)。

 

また、兵器用に作成された人工ウイルスであればこそ、変異株の操作も自由自在です。攻撃側の国が、後日、防御側の国が自国民に対して投与したワクチンが全く効かない変異株のウイルスを散布する可能性もありましょう。遺伝子操作レベルが高度であり、かつ、狡猾であれば、相手国の国民の大半がワクチンを接種し終えた後に、敢えてワクチン関連疾患増悪や抗体依存性免疫増強等を起こすような変異株を散布するかもしれません。

 

さらに警戒すべきケースは、ファイザー社が開発しているような、mRNAの経口摂取や経皮接種が可能となる技術の出現です(細胞への浸透性を有する脂質ナノ粒子は既にお化粧品などにも使われているらしい…)。生物兵器の使用側も同テクノロジーを導入すれば、何らかの有害な異常蛋白質を細胞内で翻訳するmRNAが、本人の知らぬうちに食品や液体として体内に摂取させられるかもしれません。こうした高度な先端技術を用いた攻撃があれば、ワクチン戦略は崩壊するか、あるいは、一からのやり直しとなります。あるいは、ワクチンでは防御のしようがなくなりましょう。

 

遺伝子工学の急速な進歩を考慮しますと、生物兵器の脅威は新たな段階を迎えており、防御の側も先手を打つような対応策や技術の開発が急がれます。先端技術として持て囃されてきたナノ・テクノロジーは、人類に恩恵のみならず、新たな脅威をももたらしているのです。こうした’悪玉ナノテク’に対抗するためには、体内に取り込まれた有害なmRNAを排除・無害化する技術や、仮にDNAに逆転写された場合には正常化できる遺伝子治療のような手法が必要とされるかもしれません。日本国は、ナノ時代に対応したイノベーティブな治療薬や治療方法の開発においてこそ、トップランナーであるべきではないかと思うのです(もちろん、ワクチンリスクが高い以上、新型コロナ感染症に対しても、治療薬の開発・承認、普及につとめるべき…)。


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