万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

アジアの歴史を真に直視するならば

2019-12-13 19:21:12 | 国際政治
海外の識者が指摘するように、日本、中国、韓国、そして北朝鮮との関係はお世辞にも良好とは言い難く、何れの国の二国間関係をとりあげましても、どことなく‘ぎくしゃく’しています。こうした不調和音を奏でるアジア情勢に対して、その根本原因を日本国の戦前における‘蛮行’に求める見解も少なくないのですが、真に歴史、特に近代以降の歴史を直視しようとするならば、アジアという閉ざされた地域における諸国間関係ではなく、開かれた世界史の流れにおいて理解すべきではないかと思うのです。

 この点、実のところ、グローバリストの視点は有益です。何故ならば、グローバルな視点に立脚すれば、其々の国家の歴史は相対化され、より客観的な視点から見直すことができるからです。例えば、アジアの伝統的な国際秩序であった冊封体制を崩壊させた日清戦争は、日本国の主観的な視点からすれば、華夷秩序にあって中心国であった老大国清国を倒し、下関条約で台湾を併合すると共に朝鮮半島を独立させ、自国の版図を広げて世界にその存在を知らしめた栄光ある戦です。一方、中国の視点からすれば、小国日本に大清国が敗北し、アジアの中心国の地位から転落した屈辱に満ちた負け戦に他なりません。

 それでは、日清戦争をグローバルな視点から見ると、どのような光景が見えてくるのでしょうか。大航海時代とは、ヨーロッパ諸国がアジア・アフリカ、並びに、南北アメリカ大陸に商業的な利益を求めて進出した時代です。しかも、その先陣を切ったのがポルトガルやスペインであった点は重要です。レコンキスタによってイスラム勢力が一掃され、イベリア半島全域がキリスト教化された時期でもあり、この過程で迫害から遁れるために多くのユダヤ人がキリスト教に改宗しているからです。イエズス会の宣教師にもマラーノと称された改宗ユダヤ人が多く、イベリア半島の両国は、表面的にはカトリック教国でありながら、‘隠れユダヤ教徒’や‘隠れイスラム教徒’も潜在していたとも言えましょう。

 国家の側も、表向きではユダヤ教徒を弾圧しながらも、ディアスポラ以来、ユダヤ人が張り巡らしてきた世界大でのネットワークの利用には余念がありませんでした。スペイン王国が‘日の沈まぬ帝国’を築くことができたのも、国王がユダヤ人ネットワークを利用したからとも指摘されています。セファルディ系のユダヤ人が数多く移住したオランダやイギリスも然りであり、商才に長けたユダヤ人脈なくして大英帝国も築くことはできなかったのです。やがて、国家とユダヤ人勢力との力関係は変化を見せるようになり、東インド会社が設立される頃には、むしろ、後者の方が世界展開において主導権を握っていた可能性もあります。

明治維新に際しても、中国の広州に拠点を有するジャーディン・マセソン商会が暗躍したことは知られており、幕末における伊藤博文等の長州ファイブも同社の支援でイギリスに留学しています。維新後、日本国は、西欧の積極的な技術導入により世界有数の生糸の輸出国に成長したのも、東インド会社を引き継いだイギリスの政策に沿ったものであったとされています。当時、世界の一大絹糸生産国であった清国では、政治的な動乱によってその生産量が低下しており、代替生産地を求めていたからです。地理的に清国に近く、かつ、弥生時代から絹布を織ってきた日本国が候補地とされても不思議ではありません。加えて、グレート・ゲームとも称された英露間の覇権争いは、後に日英同盟に結実されるように、イギリスが日本海軍の育成に協力したように日本国を軍事的に支援する動機ともなったのです。

 ユダヤ人こそ、国益に囚われずに全世界を対象に最大の利益を生み出すことを目指すグローバリストの元祖であったわけですが、ユダヤ系とも言えなくもないイエズス会が、戦国期にあって既に日本国の兵力を利用して明国を倒す世界戦略を温めていたことは、今日、多くの日本人にも知られるようになりました。同戦略からしますと、400年の時を経た日清戦争も、ユダヤ勢力の世界戦略の一環であった可能性も否定できないのです。朝鮮国の独立と開国によって商業的な利益を得たのも日本国のみではなく、当時の大韓帝国では、イギリス人の財務顧問等も雇用されていましたし、ヨーロッパ諸国が様々な分野で権益をも得ています。李氏朝鮮の開国は、日本国の開国と同様に、全世界に貿易網を拡大したいユダヤ勢力の意向に叶っていたとも言えましょう。

 一つの出来事ではあっても、国家レベルにあっても見解の相違が生じるものですし、ましてやグローバリストの視点から見ますと、国家目線では見え難い歴史の一場面が見えてくることもあります。日本国、中国、韓国との相克もまた、グローバルな視点を加えての分析を要するのかもしれません。そして、気が付くべき点とは、グローバルな視点からの見た自国の歴史的出来事は、必ずしも自国民にとりまして好ましいものとも限らないことです。新たなグローバリズムの波が押し寄せている今日もまた、一見、自国の利益に資するように見える政策であっても、海外勢力のグローバルな目的実現のために、自国が犠牲を払わされるようなケースもあるのですから。

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