万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

菅官房長官の説明責任は重大-不透明な‘移民政策’の決定プロセス

2018-11-04 11:39:34 | 日本政治
政府が今国会での成立を目指す入国管理法改正案は、事実上の移民政策、否、日本国の多民族国家化への転機として、国民の間でも徐々にその重大性に関する認識が広がりつつあります。国民的議論を要することは論を俟たないのですが、報道に拠りますと、同改正案を主導したのは、菅義偉官房長官であったそうです。

 日本国の国柄や民族構成を大きく変えることになる程の重要法案ですので、政府には国民に対する説明責任を果たす義務があります。そこで、まず説明すべきは、菅官房長官が同法の改正を安倍晋三首相に提言するに至ったプロセスの詳細です。ある政策の真の目的を理解するためには、その背後に存在する受益者や政界へのルートなどを明らかにする必要があります。上述した報道記事では、環官房長官に対して人手不足の解消を求める働きかけがあったとしか記されておらず、詳細は不明なのです。

 菅官房長官の経歴を見ますと、出身地である秋田の実家ではイチゴを栽培しているそうですので(父親は元満鉄職員で、北朝鮮地域から戦後に帰郷…)、イチゴ栽培業界からの要望を受けた可能性はあります。同業界では、現在、中国やインドネシア等から実習生を受け入れており、手摘み作業を要するくだもの等を栽培する農家一般では、慢性的な人手不足に陥っているのかもしれません。その一方で、新たな在留資格の創設と同時に外国人実習生制度が廃止されるわけではなく(もっとも、実習生の多くは特定技能第1号に移行するらしい…)、新資格では日本人と同等、あるいは、それ以上の賃金の支払いを定めていますので、低賃金労働となる実習生よりも農家にとりまして利益となるとは言えないはずです(それ故に、外国人に対して低賃金労働を敷いているとする農家批判もある…)。日本人と同一、もしくはそれ以上の賃金規定を定めている点からは、国内からの要請というよりは、むしろ外国人労働者(移民)側の要請による外国人労働者(移民)のための法改正であると言えるかもしれないのです。何れにしても、同官房長官と個人的なコネクションを有する一部の農家を救済するためであるならば、政治家による悪しき利益誘導行為であり、権力の私物化にも繋がりかねません。

 また、かつて、日本国内でも‘出稼ぎ’という形態があったように、収穫時期等の特定の期間にだけ単純労働力を要するならば、特定技能第2号といった定住を前提とする資格の新設は不要なはずです。季節労働者向けの制度設計で十分であり、ここに、人手不足は‘口実’に過ぎないのではないか、とする疑いが生じます。農家の一部業界をはじめ、介護、建設、宿泊、造船業から陳情を受けたことは事実であったとしても(当初想定されていた5分野)、同官房長官は、この要望に便乗して移民政策を推進させたのかもしれないのです(後に15分野に拡大…)。この点については、実際に同官房長官に陳情した団体が名乗りを上げて国民にも説明すべきでもあり、なぜ、多文化共生政策等まで踏み込んでいたのか、国民の前に業界の現状と具体的な要望内容を明らかにすべきように思えます。

 受け入れ対象業種については、同法案が政治日程に上った後に、急ぎ、各省庁が人手不足の現状を調査したとも伝わります。これが事実であれば、人手不足説は移民政策のもっともらしい理由付け、即ち、カモフラージュに過ぎず、真の目的は、日本国を外国に対して‘自由地帯’として開放し、融解させることにあったように思えるのです(おそらく、中国を含む国際勢力の意向では…)。人手不足問題については、業種ごとに事情や原因も異なるのですから、リスクを最小限にすべくそれぞれ個別の対策を採るべきであり、また、単純作業のロボット化など、技術開発の面からの解決を探る道もあります(現に、摘み取り作業も機械化が始まっている)。

政府は、法案成立後に具体的な各省庁が適用業種を決めるとしていますが、この方式ですと、国民の反対の声は届かなくなる上に(省庁レベルで一般国民からの意見募集を実施しても大抵は無視される…)、全体を俯瞰した判断もできなくなります(どの省庁も、所管の業種を基準に判断し、日本社会全体に対する影響等は考慮しない…)。ビッグ・バン方式による事実上の移民政策の実行は、なし崩し的な破壊と混乱を国内にもたらします。こうした疑いと懸念がある限り、菅官房長官をはじめ、日本国政府は国民に対して政策決定プロセスを開示すべきではないかと思うのです。

 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。

にほんブログ村 政治ブログへ
にほんブログ村
コメント (8)