万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

北朝鮮による対イスラエルサイバー攻撃は何を意味するのか?

2018-01-30 16:03:49 | 国際政治
北朝鮮ハッカー集団、「サイバー防衛強国」イスラエル電力公社狙う インフラ攻撃「強化演習」
北朝鮮の脅威は、核やミサイルの開発には留まらないようです。報道によりますと、北朝鮮のハッカー集団が、イスラエル電力公社(IEC)に対して相当規模のサイバー攻撃を仕掛けていたことが判明したそうです。

 実質的な被害は発生していないものの、専門家の見解によると、北朝鮮のハッカー集団は「発電や送電のシステムに誤作動を起こすマルウェアを作り出す能力が高い」とのことです。朝鮮半島における緊張が高まった昨年頃から北朝鮮によるハッカー攻撃が増加していることから、おそらく、開戦を想定した日米等の電力インフラの破壊が目的ではないかと推測されていますが、この攻撃から、北朝鮮の対外戦略の一端が垣間見えます。

 第一に、北朝鮮は、イスラエルと対峙するイランをはじめとした中東諸国の戦列に加わっている点を挙げることができます。報道記事では、イスラエルを攻撃対象に選んだ理由として、長期的に中東地域からのサイバー攻撃に晒されてきた同公社の高い防御能力に鑑みて、自国の技術を試す一種の演習場として利用したとする見解が紹介されていました。イスラエルに対するサイバー攻撃を実行に移すに先立って、北朝鮮は、これらの友好国から何らかの関連情報を得ていた可能性があります。

 第二に、敢えて攻撃対象として電力公社が狙われたところから、仮に開戦となった場合には、相手国の電力インフラの破壊が戦力低下に効果的な手段であると北朝鮮が認識している点です。特に瞬時に大量のデータ解析を要するミサイル防衛システムや次世代型のハイテク兵器では莫大な電力を要するものが多く、サイバー攻撃で送り込んだマルウェアを起動させることで、電力供給を切断し、相手国の軍事行動を麻痺させることができます。軍事力では劣位する北朝鮮は、それを埋め合わせるべく、相手国の電力インフラ破壊能力において優位に立とうとしているのでしょう。

 第三として、ハッカー能力の向上により、北朝鮮が、日米のみならず、他の諸国に対する“脅迫手段”、あるいは、“攻撃手段”としても利用できると目論んでいる可能性を指摘することができます。しかも、核やミサイル開発・保持とは異なり、サイバー攻撃技術については、国際法の適用に関する議論や対策は緒に就いたばかりです。北朝鮮は、規制の網のかからない分野において、他の諸国に一歩先んじた高度技術を、逸早く手中に収めようとしているのです。

 以上の諸点から、サイバー攻撃技術は、核弾頭の小型やアメリカ本土に到達するICBMの開発と並んで、達成すべき第三の重要目標に位置付けられているものと推測されます。電子パルス弾の可能性の浮上に際しても議論となりましたが、攻撃対象とされる日本国も、北朝鮮によるインフラ破壊に備え、防御技術の開発を急ぐべきです。それにいたしましても、核、ミサイル、サイバーの何れの分野におきましても、北朝鮮の独自技術による単独開発とは思えず、その背景に、友好国、あるいは、何らかの国際組織の暗躍が疑われるのです。

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コメント (4)