万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

北朝鮮の原子炉再稼働-迫るタイムリミット?

2013年04月03日 15時40分12秒 | アジア
「北は話を聞かない」中国・習政権の立場厳しく(読売新聞) - goo ニュース
 北朝鮮が、核実験を強行し、かつ、朝鮮戦争の休戦協定を一方的に破棄したにも拘わらず、国際社会の北朝鮮に対する動きには、どこか”鈍さ”があります。イラク戦争では、フセインによる大量破壊兵器秘密開発が疑われただけで、国連安保理において、イラク攻撃容認の決議が成立しています。

 国際社会の対応は、イラクのケースと比較しますと極めて甘いのですが、さらに北朝鮮は、2007年の6カ国協議の合意を破って、これまで停止させてきた原子炉の再稼働をも宣言しています。イスラエルによるイラクの核施設爆撃を考慮しますと、この宣言に対する国際社会の反応も鈍いのですが、おそらく、北朝鮮は、”狼少年”扱いされているからでしょう。しかしながら、その一方で、黒鉛減速炉を再稼働させますと、北朝鮮は、プルトニウム式の核爆弾を大量に生産できるようになります(並行して濃縮ウラン式の核兵器も開発している…)。仮に、北朝鮮が、2007年の合意を順守して核施設を無能力化しているならば、核兵器の大量保有の野望を阻止するためには、使用済み核燃料を停止中の原子炉に運び込む以前に、この施設を破壊するしか方法がなくなります。事故を起こしたチェルノブイリの原子炉と同型ですので、再稼働後の爆撃では、核物質や重金属が大量に飛散する可能性があるからです。

 ”狼少年”の逸話は、最後は本物の危機に見舞われるという結末ですが、北朝鮮は、原子炉再稼働が宣言したことで、タイムリミットを自ら設けたのかもしれません。原子炉爆撃のタイムリミットを。

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コメント (2)
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