万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

尖閣諸島中台共同世論調査―”中台同盟”への布石か?

2012年07月21日 15時39分38秒 | アジア
尖閣巡り日本と一戦辞さず…中国で9割も(読売新聞) - goo ニュース
 尖閣諸島をめぐって、中国の「環球時報」と台湾の「中国時報」が共同世論調査を実施したところ、中国では9割、台湾では4割ほどの国民が、軍事行動を容認するという結果が出たそうです。この共同世論調査、もしかしますと、”中台同盟”の布石ではないかと思うのです。

 中台共同世論調査の実施が、どちらの国の提案に基づくものであるかは詳らかではないのですが、台湾側が積極的に世論調査を提案する動機は薄く、おそらく、尖閣諸島問題に敏感に反応している中国側が、台湾側に申し出たのでしょう。尖閣諸島については、中国側の公式の言い分では、台湾に所属する島嶼と位置付けており、武力行使に先だって、台湾の動向を探りたかったのかもしれません。あるいは、太平洋におけるリムパックの実施など、国際社会における中国包囲網が強まる中で、尖閣諸島を中台両国に共通する”核心的な利益”であることを打ち出すことで、台湾をこの対中包囲網から引き離し、密かに”中台同盟”を模索している可能性もあります(この際、中国は台湾を独立国家として認めることにもなりますが…)。

 1870年の普仏戦争が、フランスを共通の敵として闘うことで、南ドイツ諸国をドイツ帝国に統合する手段であったことを思い起こしますと、対日戦争で結びついた”中台同盟”の先には、”中台統一”のシナリオが待ち構えているかもしれません。この深謀遠慮のシナリオを想定しますと、台湾の戦争容認論が4割に留まったことに、内心、ほっと胸をなでおろすのです。

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コメント (2)
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