万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

中国にショックを与える船長の「起訴相当」

2011年04月19日 15時34分47秒 | 国際政治
中国人船長は「起訴相当」 尖閣事件で那覇検察審査会(朝日新聞) - goo ニュース
 尖閣諸島沖で中国漁船による体当たり事件が起きると、日本国政府は早々に中国人船長を釈放し、撮影されていたビデオも一部国会議員にしか公開しませんでした。昨日、那覇検察審査会では、中国人船長を「起訴相当」と議決が成立したそうです。

 中国にとりましては、この「起訴相当」は、相当のショックではなかったか、と思うのです。その一つは、もちろん、英雄として華々しく帰国させた船長が、「強制起訴」される可能性があることなのですが、これに加えて、従来の中国外交の手法が通用しなくなったからです。これまで、中国は、日本国内に親中政治家を養成し、こうした人々をコントロールすることで、自らの国益に適うように、我が国の政治を誘導しようとしてきました。ところが、検察審査会といった民主的な制度が整った国では、個別の政治家を懐柔することはできても、全ての国民を自らの影響下に置くことはできないため、日中両国の政府レベルでの”合意”が後から覆されることがあるのです。

 そうして、検察審査会という制度の存在は、一党独裁の下に、政府の権力濫用や腐敗に苦しむ中国国民に、民主的な制度のメリットを知らせることにもなります。検察審査会の「起訴相当」の議決は、中国の民主化を促す効果をも期待できるかもしれないのです。

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コメント (4)
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