万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

鳩山首相の東アジア共同体構想の矛盾

2010年03月18日 15時33分54秒 | 日本政治
首相「日本はまだ鎖国的」 東アジア共同体で持論(産経新聞) - goo ニュース
 鳩山首相は、東アジア共同体のヴィジョンに関連して、日本はまだ鎖国的として、より開かれた国家を目指す方針を示したそうです。しかしながら、このビジョンには、矛盾があるように思えるのです。

 明治以来、積極的に海外の学問、技術、生活様式などを取り入れてきた我が国が、中国や韓国といった東アジア諸国と比較して、取り立てて閉鎖的であるとは思えません。中国に至っては、外国人どころか、自国民でさえ、国内の移動の自由が認めれていません。また、両国とも、教育内容を見れば判るように、自国中心の世界観と強固な民族意識に縛られています。言論の自由さえ充分に保障されていない国と東アジア共同体を結成しても、世界に開かれた”東アジア共同体”が出現するはずはないのです。

 このことは、我が国だけが自国を開放したところで何もならず、より自己中心的な国家によって、我が国が占領されてしまう可能性を示しています。つまり、開かれた日本国を目指して”東アジア共同体”をつくったところ、閉ざされた意識をもった諸国に自国を無血開放したにすぎなくなり、結局、大国が支配する閉鎖的な東アジア共同体が出現することになりそうなのです。”開かれた”という言葉は、他の東アジア諸国に対する要求においてこそ、使われるべきと思うのです。

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コメント (4)
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