万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

日EU刑事共助協定―代理処罰の規定を加えては?

2010年01月10日 17時59分05秒 | ヨーロッパ
 先日、日本とEUとの間で調印された刑事共助協定に、死刑判決の怖れがある場合、事実上、EU側のみ捜査協力を拒否できるとする規定が盛り込まれていたため、条約の不平等性や治安上の懸念が指摘されていました。この問題を解決するためには、EU側の捜査協力の拒否権を認める代わりに、代理処罰を求めてはどうかと思うのです。

 日EU刑事共助協定の場合、もし、修正なく批准されるとなりますと、EU諸国が捜査を拒否すれば、重罪事件の容疑者は、どの国からも刑罰を科せられることなく、逃げおおせることができます。これでは、あまりに容疑者に有利であり、正義に反します。最近銀座で発生した香港系中国人による時計店の窃盗事件に関して、日本国政府は、犯人引き渡し条約がないため、香港行政当局に代理処罰を求めたというニュースが報じられていましたが、この方法を共助協定にも取り入れれば、犯人を捜査協力を拒否したEU諸国の責任の下で処罰することができます。

 刑事共助協定が、死刑相当の凶悪犯の逃げ道となってはならず、ぜひ、日EU間で、この問題について、条約の修正交渉を行っていただきたいと思うのです。

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