万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

フセインが敷いた宗派対立の導火線

2009年02月02日 12時49分12秒 | 中近東
消えぬ宗派対立・テロの影、厳戒の地方選…バグダッドルポ(読売新聞) - goo ニュース
 イラク政策の失敗の証として、しばしばイラク国内の治安の悪化が挙げられてきました。増派が功を奏してか、米軍への攻撃は減少しているようですが、宗派間の対立による暴力の応酬は収まりそうにありません。

 しかしながら、考えても見ますと、国内の宗派対立については、その導火線を敷いたのは、かつての独裁者、フセインではなかったかと思うのです。何故ならば、フセイン政権下では、自らの出身母体であるスンニ派を優遇し、シーア派の人々を不当に虐げ、弾圧する政策を積極的に推進してきたからです。独裁者とは、常に、自らを守る藩屏として、親衛隊や特権集団をつくるものであり、支配集団としての利益を共有することが、独裁政権を支える強固な基盤となるです。

 イラク戦争に因らなくとも、フセイン政権が崩壊すれば、宗派対立が火を噴くことは目に見えていました。長年にわたって弾圧を受けてきたシーア派の負の感情は、これまで特権を享受してきたスンニ派に向かうことは、当然の成り行きであるからです。フセインは、死してもイラク国民に宗派対立という不幸を残したように思うのです。

 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。

にほんブログ村 政治ブログへ
にほんブログ村
コメント (6)
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする