万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

戦争よりテロを終わらせる方が難しい

2008年03月02日 21時14分34秒 | 中近東
イスラエル軍のガザ攻撃 死者60人超 市民も多数犠牲(朝日新聞) - goo ニュース

 国家対国家の戦争の場合には、戦闘においてどちらか一方が圧倒的な優位を確保した場合、政府間の降服、あるいは、停戦交渉が始まることになります。しかしながら、双方、あるいは、一方が、テロという手段を用いている場合には、戦闘を終わらせることは、はるかに難しくなるのです。

 何故ならば、テロリストは、正規の戦闘員ではなく、民間人を攻撃の的にするため、攻撃対象範囲が無制限に拡大するからです。一方、今回のイスラエルの行動にも顕著に見られるように、テロ攻撃を受けた国の軍隊もまた、報復として、民間人を巻き込む無差別の攻撃を加えることになります。つまり、互いの攻撃対象が相手側の全住民という、まことにゆゆしき事態に発展してしまうのです。これを放置しますと、双方の殲滅合戦となりかねません。これでは、永遠に交渉の機会を持つことができないかもしれないのです。

 イスラエルもハマスも、双方の報復合戦の先には悲劇が待っていることに気付くべきと言えましょう。本当のところは、双方とも冷静になって、ハマスがイスラエルの存在を認め、イスラエルがガザ地区を含めたパレスチナ人による独立国家建設を認めるという基本線の合意に至れば、交渉の道は開かれるのではないか、と思うのです。これは、いささか、希望的な観測でしょうか。

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