税理士 倉垣豊明 ブログ

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相続9(特別受益者の相続分)

2008-08-01 08:27:10 | 相続税・贈与税
おはようございます。税理士の倉垣です。

今日は相続の第9回目、特別受益者の相続分です。前回は法定相続分の修正である寄与分を取り上げましたが、今回の特別受益者の相続分も法定相続分の修正ですが、寄与分とは逆の方向の修正です。つまり、被相続人から特別な受益を受けた者の相続分を減額するというものです。

1.特別受益者の相続分
共同相続人中に、被相続人から、遺贈を受け、又は婚姻若しくは養子縁組のため若しくは生計の資本として贈与を受けた者があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与の価額を加えたものを相続財産とみなして算定した相続分の中からその遺贈又は贈与の価額を控除した残額をもってその者の相続分とする(民法903条1項)。

2.特別受益の贈与の価額
特別受益の贈与財産の価額は相続開始時の価額である。しかし、次の民法の規定がある。
「上記1の贈与の価額は、受贈者の行為によって、その目的である財産が滅失し、又はその価額の増減があったときであっても、相続開始の時においてなお現状のままであるものとみなしてこれを定める(民法904条)。」

3.具体的計算
[ケース1]
甲(被相続人)の配偶者乙と子A,Bの3人が相続人。相続財産は80,000千円。Aは生前に甲より特別受益20,000千円がある場合の各相続人の相続分の計算。
(1)80,000千円+20,000千円=100,000千円
(2)法定相続分に基づく計算
乙 100,000千円×1/2=50,000千円
ABそれぞれ 100,000千円×1/2×1/2=25,000千円
(3)Aの取り分
25,000千円-20,000千円=5,000千円
以上より、各相続人の取り分は乙が50,000千円、Aが5,000千円、Bが25,000千円となる。

[ケース2]
甲(被相続人)の配偶者乙と子A,Bの3人が相続人。相続財産は80,000千円。Aは生前に甲より特別受益50,000千円がある場合の各相続人の相続分の計算。
(1)80,000千円+50,000千円=130,000千円
(2)法定相続分に基づく計算
乙 130,000千円×1/2=65,000千円
ABそれぞれ 100,000千円×1/2×1/2=32,500千円
(3)Aの取り分
32,500千円<=50,000千円 ∴Aの取り分はなし(民法903条2項)
以上より、各相続人の取り分は乙が53,333,333円(=80,000千円×2/3)、Aが0円、Bが26,666,000円(=80,000千円×1/3)となる。

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