酒造り日記

佐賀県の天吹(あまぶき)酒造の酒造り日記

突きハゼ

2006-12-02 13:55:57 | ぶちょ~


今日は麹について、少し書いてみます。

日本酒にとっての麹の役割は大きく3つあります。
①蒸米の溶解、糖化のための酵素の供給
②酵母の増殖や発酵の促進のための栄養素の提供。
③麹菌の生産物による直接的、間接的な酒質形成

今日のタイトルの「突きハゼ」とは、お米の表面には麹菌の菌糸が伸びておらずお米の中心部に向かってしっかり入り込んでいる麹の状態をいいます。
ちなみに、麹菌が菌糸を伸ばすことを「ハゼる」と言います。
見た目には白い斑点模様です。

麹は白く見えますが、麹菌の菌糸は白いのでしょうか?
最近聞いた話では、麹菌の菌糸が白いのではなく、麹菌がお米を溶かしながら菌糸を伸ばし、お米にトンネルを掘ります。その無数のトンネルが光を乱反射し白く見えているらしいのです。
スリガラスのような状態?

なぜ、「突きハゼ」の麹を造るのかと言いますと、ひとつは麹の菌糸はタンパク質でできていて、これが醪の中で麹の酵素により分解され、不飽和脂肪酸などになります。
この不飽和脂肪酸が酵母が香りを出すのを阻害するらしいのです。
大吟醸の麹に「突きハゼ麹」が求められるのは、ひとつはこのためです。
もちろん、旨みや味を乗せたお酒を造りたいのであれば、お米表面から中まで菌糸が伸びた「総ハゼ麹」にします。


求める酒質により麹の造り方は変わります。