まろの公園ライフ

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草原の椅子

2013年03月01日 | 日記

すっかり春めいた陽気に誘われて・・・
銀行へ行くついでに自転車を飛ばして映画を観て来ました。

封切り中の「草原の椅子」です。
「八日目の蝉」の成島出監督がメガホンを取った話題作。
本当は「レ・ミゼラブル」が目当てだったのに上映時間30分前にすでに満席。
仕方なくこっちを観たのですが、それが幸いでした!

宮本輝の同名小説の映画化です。
何年前に買ったか忘れましたが、何度も読んでボロボロです。

主人公はカメラメーカーに勤めるバツイチサラリーマンの遠間憲太郎(佐藤浩一)と
取引先の社長で一代でカメラチェーン店を築きあげた富樫(西村雅彦)。
それに都内で小さな骨董店を営む美貌の女性オーナー貴志子(吉瀬美智子)が
お互いに友情を深めながら、人生の「再生」を目指す物語です。



浮気が原因で妻と離婚して以来、一人娘と暮らしながら
遠間はひたすら仕事に打ち込みますが満たされぬ思いを抱いています。
富樫は良心的な商売で評判を得るものの、デフレ不況で業績が悪化。
断腸の思いでリストラした社員が自殺するなど、仕事への自信が揺らぎ始めます。
二人は50歳を過ぎて、ひょんなことから「親友づきあい」をすることに・・・

佐藤浩一も渋さの中に軽さがあってなかなかですが
それ以上に西村雅彦の大阪弁を駆使した飄逸な演技がよかった!

映画(小説)の大きなモチーフとなっている場所が
パキスタンの奥地、「最後の桃源郷」と呼ばれているフンザという村です。
アジアを縦断する「カラコルム・ハイウェイ」の沿線にあって
パミール高原の7000メートル級の山々に囲まれた絶景の渓谷です。
思わず「ああ、行ってみたい!」と叫びたいほどでした。

このお爺さんは103歳の長寿で
相手の瞳を見ただけで過去と未来を言い当てるという予言者。
三人はこのお爺さんに逢いたくてフンザへと向かいます。

フンザへの旅が映画のクライマックスです。
三人が連れている男の子・圭輔は母親の虐待がトラウマになって心を閉ざしてしまった少年。
あることがきっかけで遠間が面倒を見ることになります。
この可愛い圭輔の存在が三人の人生に大きな転機をもたらすのですが・・・
詳しい話はここまで・・・と言うことで!(笑)

私、吉瀬美津子さんという女優さんを初めてしっかり見ました。
いいですねえ、ちょっとトキメキました。
映画では不妊症が原因で離婚した影のある中年女性を演じていましたが
和服姿が清楚で品があってふわりとした存在感がありました。

 「私の瞳の中にはどんな星が輝いているのだろう」

 「本当はどう生きたらよかったのか、聞いてみたい」

そんな三人の問いかけに予言者のお爺さんはどう答えるのか・・・
とってもいい映画でした。
人間はいくつになっても悩みを抱えながら生きて行くものですが
その一つの答えがここにあるなあ・・・と思いました。
皆さんもぜひ!

その夜は赤い月でした。
吹く風にちょっと温もりがあって「春近し」を思わせました。

 


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