ウツウツ記

毎日の生活で感じたことを書いています。

東京、さよなら。

2009-09-04 19:37:06 | 共依存
明日で東京ともさよならです。
一年前の春、桜が舞う季節にこの街へ来ました。
ギャンブル依存の息子を何とか立ち直らせる、
と強い信念で、強引に二人の生活を始めたのでした。
ある意味、希望に満ちた
けれど心の奥底には爆弾をいつも抱えた生活でした。
時に二人の生活は上手くゆき、
これでもう大丈夫と思える瞬間もありましたが
長くは続きませんでした。
そうして息子の依存症は緩やかに着実に悪化してゆき、
私の心と体はいつの間にか息子に占領されてゆきました。

私の選んだ生活が正しくないことは
専門家からも指摘されていて、頭では理解していたことでした。
けれど、私の心は
私が想像できる最大限の努力をしてみたかったのです。
そう、私がしたかったから実行した生活でした。
でもやっぱり、専門家の意見は正しかった。
破綻という結末しかなかったのだと思います。

この1年以上の時間は、経済的には大きな損失です。
夫にも多大な負担を負わせました。
けれど、全く無駄という訳でもなかったと思います。
狭い空間に息子と二人で暮らし、
今まで以上にぶつかり合いました。
初めは彼を更生させたくてぶつかっていましたが、
段々とそれは、彼を理解したくて起きる摩擦に変わりました。
彼も徐々に、そんな私達の態度をわかってくれているようになりました。
結局は彼は私達から独立することを望み出てゆきましたが、
それは全くの決別でもなく、縁切りでもありません。
彼が彼自身と向き合うために必要な空間、時間なのだと。
私自身がそれに納得するために
この一年以上の年月が必要だったのでした。

この街での生活は快適でした。
東京は優しい、といつも思います。
正直、私は帰りたくない。
帰ってからの好奇の目がとても怖いのです。
それほど他人は気にしない、とか
聞き流せ、とか言われるし思うけれど
その一瞬に落ち込む自分が情けないな、と凹むのです。
東京の街は、他人に踏み込まない。
様々なファッションの人がいるように、
様々な人生があるのだろう、という事が自然に身に付いている。
田舎は自分や自分の想像以外のものを、嗅ぎ分け排除するために
土足で他人に踏み込んでくる。
カウンセラーの先生には正直に怖いと言いました。
そうしたら「時々、逃げてくればいいじゃないですか」と。
立ち向かえないものなら、逃げればいいのですよね。
雑踏に紛れ込める東京は、
私には優しい。
そんな優しい街、さよなら。
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