最近日本の雑誌への写真売り込みがきつくなってるなあ、と、どこにも掲載のチャンスをもらえない写真記事を抱えながら閉口していたのだが、先日ある雑誌の写真担当者とこの話題についてメールのやりとりをする機会があった。
以下のような彼の言葉を読んで、やっぱりそうか、と、半ばわかっていた事とはいえ悲しいような気持ちになる。
「日本の雑誌メディアの場合、『売れるか、売れないか』というのがネタ選びの大前提にあります。最近は特にその傾向が強まってきていて。。。(中略)。。。社会問題、特に海外の話題、民族や宗教がらみの紛争、環境問題などは『売れない』ネタとして敬遠されがちです」
まあこういう傾向は今に始まった事ではなく、社会問題のような「硬い」記事は、それで雑誌の売り上げが伸びるなどの採算の合うネタではないのでもともとあまり歓迎されるものではない。いわば金勘定よりも、「この問題は人々にとって大事なことだ」とか「国民に考えてもらう必要がある」とかいった、記事の社会的意義を理解する編集者たちの「良心」や「メディアに関わる人間としての責任感」とかによって、掲載が決まるようなものだろう。
だから、最近になって「硬い」記事がいっそう掲載されにくくなったのは、こういうこときちんと考える骨のある編集者が減ってしまったのか、それともまともな編集者がいても、営利主義の上部からの圧力が強くなって思うように記事を選ぶことができなくなったか、ということなんだろうかと思う。
この写真担当者のメールには、こんなことも書かれてあった。
「。。。いわゆる『社会派』ネタも載せますが、割合としては減ってしまいました。。。(中略)。。。『くだらない・ユルい』ネタをありがたがって載せています。たとえばオバマ。就任してしまったとたん、日本では政策面での報道はほとんどありません。あるのは夫人のファッション、そして「犬」ですから。クライスラー、GMがどうなろうと日本人は興味がないんですね。世界の経済はつながっているといいうことが見えていないんですよ」
別に僕は「軽い」ネタを否定している訳ではない。自分だっていつも硬いドキュメンタリーものばかり読んでいる訳ではないし、女の子のグラビアが載っていれば鼻の下のばして見いってしまう。
しかし、そのために伝えられるべき大切なものが犠牲になってはまずいよなあ、と思うのだ。娯楽と社会問題、両方きっちり伝えなくてはいかんでしょう。娯楽ばかりでは、人間腑抜けになってしまうし、考える力も、いざというとき闘う力も失ってしまう。日本人の国際社会に対する認識欠如や社会問題に対する無関心さも、実のところこういった「売れるものしか相手にしない」というメディアの姿勢に大きな責任があるのだと思う。
すこし前にこのブログでも紹介したメキシコからの不法移民マリアナの話だって、根本的には日本で先日おこったカルデロン一家の問題と同じなのだ。そう考えれば、彼女の話を「遠い世界の悲しい話」などと他人事で片付けていられる場合ではないと思うのだけれど。。。
そういえば、以前はこのブログに対する反応も賛否両論もっと多かったのだけれど、いつの頃からか寄せられる意見もめっきり減ってしまったようだ。雑誌に記事が売れなくなってきたように、こういう「硬い」ブログも、だんだん敬遠されるようになってきたかな。。。(苦笑)
以下のような彼の言葉を読んで、やっぱりそうか、と、半ばわかっていた事とはいえ悲しいような気持ちになる。
「日本の雑誌メディアの場合、『売れるか、売れないか』というのがネタ選びの大前提にあります。最近は特にその傾向が強まってきていて。。。(中略)。。。社会問題、特に海外の話題、民族や宗教がらみの紛争、環境問題などは『売れない』ネタとして敬遠されがちです」
まあこういう傾向は今に始まった事ではなく、社会問題のような「硬い」記事は、それで雑誌の売り上げが伸びるなどの採算の合うネタではないのでもともとあまり歓迎されるものではない。いわば金勘定よりも、「この問題は人々にとって大事なことだ」とか「国民に考えてもらう必要がある」とかいった、記事の社会的意義を理解する編集者たちの「良心」や「メディアに関わる人間としての責任感」とかによって、掲載が決まるようなものだろう。
だから、最近になって「硬い」記事がいっそう掲載されにくくなったのは、こういうこときちんと考える骨のある編集者が減ってしまったのか、それともまともな編集者がいても、営利主義の上部からの圧力が強くなって思うように記事を選ぶことができなくなったか、ということなんだろうかと思う。
この写真担当者のメールには、こんなことも書かれてあった。
「。。。いわゆる『社会派』ネタも載せますが、割合としては減ってしまいました。。。(中略)。。。『くだらない・ユルい』ネタをありがたがって載せています。たとえばオバマ。就任してしまったとたん、日本では政策面での報道はほとんどありません。あるのは夫人のファッション、そして「犬」ですから。クライスラー、GMがどうなろうと日本人は興味がないんですね。世界の経済はつながっているといいうことが見えていないんですよ」
別に僕は「軽い」ネタを否定している訳ではない。自分だっていつも硬いドキュメンタリーものばかり読んでいる訳ではないし、女の子のグラビアが載っていれば鼻の下のばして見いってしまう。
しかし、そのために伝えられるべき大切なものが犠牲になってはまずいよなあ、と思うのだ。娯楽と社会問題、両方きっちり伝えなくてはいかんでしょう。娯楽ばかりでは、人間腑抜けになってしまうし、考える力も、いざというとき闘う力も失ってしまう。日本人の国際社会に対する認識欠如や社会問題に対する無関心さも、実のところこういった「売れるものしか相手にしない」というメディアの姿勢に大きな責任があるのだと思う。
すこし前にこのブログでも紹介したメキシコからの不法移民マリアナの話だって、根本的には日本で先日おこったカルデロン一家の問題と同じなのだ。そう考えれば、彼女の話を「遠い世界の悲しい話」などと他人事で片付けていられる場合ではないと思うのだけれど。。。
そういえば、以前はこのブログに対する反応も賛否両論もっと多かったのだけれど、いつの頃からか寄せられる意見もめっきり減ってしまったようだ。雑誌に記事が売れなくなってきたように、こういう「硬い」ブログも、だんだん敬遠されるようになってきたかな。。。(苦笑)
悲しいかな、それ相応ということでしょう。
世界情勢が気になる人は、わざわざそのようなフィルターを通さないよう、ネットサイトを見るでしょうね。
初めて書き込みします。
私は高校生で、世の中のことまだ全然わかってないと思います。
でも、今の日本を知っていかなくちゃいけないとも思っています。
私と同じで、日本人なのに日本のこと知らない人、たくさんいると思います。
だから、硬い事でもなんでも、色んな事書いてください!
本当に大切なことは何か、みんなが考えて生きていかないといけませんよね。
HPと撮られた写真も拝見しています。私も海外に住みましたので・・・日本でもマスメディアはもっと皆をリードするくらいでいてほしいものです。
おっと、私のブログなど知性からほど遠いものでした(笑)sulecも特に意味はありません(^_^;)
本来のジャーナリストのお仕事って尊敬しています。
>>日本のマスメディアの流すニュースだけを受けていては馬鹿になってしまうと焦りを感じます<<
馬鹿になるかどうかは別にして、以前はニュースソースも限られていたものが、今はウェブの発達で情報の取捨選択ができるのが利点ですね。ただ、あまりに情報量が多すぎるという問題もありますが。
私は報道関係ではないし、海外旅行の経験もない一人の日本人です。
日本のマスメディアの流すニュースだけを受けていては馬鹿になってしまうと焦りを感じます。
文章が苦手なためコメントはほとんどしませんが、毎日寝る前に楽しみにブログチェックしています。
ちなみにまだガスは止まったままです。もうすぐ3週間ですね。家賃は払ってません。もう長期戦です。
本題に戻りますが、結局のところは、その社会、現在を反映するものと思います。しかし、この様な時だからこそとも思います。犬は雑誌を買わないし、鳥は記事を読まないし、最終的には人なんでしょうね。KOMさんが言うように“ゆるーいもの、エンタメ系が売れる背景には「厳しい現状」があるのではないですか。戦争していた国でもそうじゃなかったですか?みんな親戚が撃たれた写真を手に取ろうとするでしょうか。今の日本はそういう感じなんじゃないかな、と私には思えるんですよね”。
ところでKUNIさん、復旧はしましたか?
>>売れるものがくだらないもので固められて行くのならば、それはコレ幸いだと私などは思っています。良質な情報がそのときにも流れ続けることによって、流し続けたヒト、その雑誌、会社、情報提供者が明確に浮き出てくるからです。<<
これは面白い見識だと思います。こういう時勢に良質の情報を発信し続けた媒体こそ信頼できる、といえますから。しかし問題は、そういう媒体が現実的にあまりに少なすぎる、という点です。その現実を眼のあたりにするとちょっと絶望的にもなりますね。。。
まだまだ水は冷たいですよね。こっちは30度とかになっていますけれども、水のお風呂にまでは入らないですよ~。お金持ちなのに、なぜ滞納なのか。その場所に新しい物件を建てて売りたいんですかね。いやがらせですかね?
さて。
編集者さんが語っていることって本当だと思いました。
私など週刊誌をほとんど買わなくなりました。気になる取材や気になる写真があれば買いますが、本当に買わないんですよね。芸能雑誌など買う必要がないんです。インターネットをみると見たくなくても流れてる。その上、いろんな方々の意見などがあるのですもの。別に本やテレビが必要ない感じ。その程度で十分ですよね、その手の物は。ニュースも朝と昼と晩どれか一回みれば、芸能情報を避けられるという方法でテレビを観るか、インターネットで配信されるものをいろいろ探って行く方が知りたい情報を自分が知りたい程度に知ることができます。時間も短縮できるし自分のみたい時間で済むし。
そのかわり、フツウの「単行本」を中古とかで手に入れることが増えました。私たちの世代は多分、週刊誌がくだらないことを書いているので買わず、テレビもそう観ていないと思います。その分、自分が気になっていた本を読む時間やDVDを観てる時間にあてているのではないでしょうか。ですから、今はその過渡期で実はゆるい本を買っていると思っている読者が、本を買っておらず昔の映像や昔の本を読み返している可能性があると思います。
今の日本のあり方というのは、実は「現状の逆の状態」なんだと思ってます。
ゆるーいもの、エンタメ系が売れる背景には「厳しい現状」があるのではないですか。戦争していた国でもそうじゃなかったですか?みんな親戚が撃たれた写真を手に取ろうとするでしょうか。今の日本はそういう感じなんじゃないかな、と私には思えるんですよね。(経済)戦争に負けてる感じなのかも、です。編集者さんもきっと「解雇」なんていうのは明日は我が身だと思います。個々にも経済戦争がやってきてる感じ。
売れるものがくだらないもので固められて行くのならば、それはコレ幸いだと私などは思っています。良質な情報がそのときにも流れ続けることによって、流し続けたヒト、その雑誌、会社、情報提供者が明確に浮き出てくるからです。なんていうか情報の多様性と良質さがある出版会社が残るんじゃないか、とか思ってます。新聞もこちらも売上部数が減ってるところが増えてるようですね。
今、この「貧困問題」がもっともっと深刻になったとき、さてくだらないものだけが売れるでしょうかとは思っています。多分、みなさんくだらない本と共に「貯蓄のしかた」とかをあわせて読んでますよ。自分の問題には敏感だし。お金をかけないで楽しむ、自家栽培とかの本。でも、そうやっていくと逆にいろんなことが見えてくるわけです。「このオレンジ、どっからきたんだろ」とか「このハンバーグ安いけどなに入ってる?」とか。「今日の金利はなんで下がった?」とかですよね。生活に根付いてモノをしっかり考えられるようになるヒトも出てくるんじゃないかな、って私なんかは結構楽観的に思ってます。
オバマさんは、本当にアレ以来報道されなくなって、政策面でどうなってんのかなー?とか思ってましたけど。なるほど、ですね。朝とかゆっくりテレビ観てられるヒトがおばあちゃんとかばかりだし。最近のおばあちゃんたちは元気だからなおさら、観てないんだろうなあ。視聴率もおばあちゃん層に合わせたら多分おばあちゃんにもつまらないと思うわ~。
こういった読者層とのズレが本当に大きくなってきているというのは、ドキュメンタリーだけじゃなくてゆるい情報をほしがっているヒトの間でも起っている気がするんだけども。
風邪引かないでくださいね!では、また~。
ガスは来ましたか?2週間はひどすぎますね、真冬だったら凍えてしまうじゃないですか。。。