あっという間に2週間が経ち、もう帰国の日になってしまった。
ギフトの養子という特別な取材のために普段よりも忙しくて、モンロビアでほとんどゆっくりとした時間を過ごせなかったのが少し残念だ。今回はギフトの取材を続けるため、ジョディ達と一緒にアメリカに戻らなくてはならないので滞在延長もできない。
先日、シシリアがお別れのためにギフトを訪れた。シシリアは、養子の話がでてからギフトがフォスターホームに移るまでの半年間、自分の家にギフトを住まわせて世話をしていたリベリア人女性だ。
久しぶりにシシリアの顔を見たギフトは、大声で喜びの声をあげながら彼女に飛びついていった。ギフトの懐きようから、シシリアがギフトのことを我が子の如く愛情をもって接していたことが良く分かる。
「養子になることが決まってから、なるべくフォスターホームは訪れないようにしてきたの。ギフトがいつまでも私に未練をもってしまっては困るからね。。。」
シシリアは僕らにそう言った。
数時間の間、ギフトはシシリアにまとわりつきながら楽しそうな時間を過ごしていたが、いざ別れの時間が近づいてくると、シシリアがこらえきれなくなって涙をながしはじめた。それを見たギフトも彼女の胸の中に顔をうずめてわんわん泣き出したのだが、それまでアメリカに行けるという楽しみばかりで占められていたギフトの胸中に、この時に初めてリベリアとの「別離」の感情が芽生えたのかもしれない。
二人が抱き合って泣いている姿を見て、ひとつの疑問が僕の頭をよぎった。
「ギフトにとって、あまりに環境の違うアメリカに行くよりも、自分の生まれ育ったこのリベリアで、シシリアと一緒に生活したほうが幸せなのではないのだろうか?」
僕はこのことをシシリアを尋ねてみた。
「いいえ。私達では物質的にも環境的にもギフトにしてあげられることは限りがありすぎるの。彼女を大学に行かせることさえもできないし、リベリアには十分な教育環境もない。豊かなアメリカで生活できるというというチャンスが与えられたのだから、ギフトの将来にとってはこれが一番なのよ」
ギフトにとって、何が一番いいのか今答えをだすのは難しい。ただ、アメリカに行くことによって、ギフト将来により幅広い選択肢が生まれることは確かだろう。シシリアにはそれが良くわかっているのだ。
ギフトが幸せになるかどうかは、ジョディそして彼女自身の努力にかかっている。この先5年後、10年後に彼女がどんな生活をしているか。。。ギフトがアメリカに来たことを後悔することなく、幸せに暮らしていることを祈りたい。。。
(写真:涙ぐむシシリアと、ギフトをなぐさめるジョディ)
ギフトの養子という特別な取材のために普段よりも忙しくて、モンロビアでほとんどゆっくりとした時間を過ごせなかったのが少し残念だ。今回はギフトの取材を続けるため、ジョディ達と一緒にアメリカに戻らなくてはならないので滞在延長もできない。
先日、シシリアがお別れのためにギフトを訪れた。シシリアは、養子の話がでてからギフトがフォスターホームに移るまでの半年間、自分の家にギフトを住まわせて世話をしていたリベリア人女性だ。
久しぶりにシシリアの顔を見たギフトは、大声で喜びの声をあげながら彼女に飛びついていった。ギフトの懐きようから、シシリアがギフトのことを我が子の如く愛情をもって接していたことが良く分かる。
「養子になることが決まってから、なるべくフォスターホームは訪れないようにしてきたの。ギフトがいつまでも私に未練をもってしまっては困るからね。。。」
シシリアは僕らにそう言った。
数時間の間、ギフトはシシリアにまとわりつきながら楽しそうな時間を過ごしていたが、いざ別れの時間が近づいてくると、シシリアがこらえきれなくなって涙をながしはじめた。それを見たギフトも彼女の胸の中に顔をうずめてわんわん泣き出したのだが、それまでアメリカに行けるという楽しみばかりで占められていたギフトの胸中に、この時に初めてリベリアとの「別離」の感情が芽生えたのかもしれない。
二人が抱き合って泣いている姿を見て、ひとつの疑問が僕の頭をよぎった。
「ギフトにとって、あまりに環境の違うアメリカに行くよりも、自分の生まれ育ったこのリベリアで、シシリアと一緒に生活したほうが幸せなのではないのだろうか?」
僕はこのことをシシリアを尋ねてみた。
「いいえ。私達では物質的にも環境的にもギフトにしてあげられることは限りがありすぎるの。彼女を大学に行かせることさえもできないし、リベリアには十分な教育環境もない。豊かなアメリカで生活できるというというチャンスが与えられたのだから、ギフトの将来にとってはこれが一番なのよ」
ギフトにとって、何が一番いいのか今答えをだすのは難しい。ただ、アメリカに行くことによって、ギフト将来により幅広い選択肢が生まれることは確かだろう。シシリアにはそれが良くわかっているのだ。
ギフトが幸せになるかどうかは、ジョディそして彼女自身の努力にかかっている。この先5年後、10年後に彼女がどんな生活をしているか。。。ギフトがアメリカに来たことを後悔することなく、幸せに暮らしていることを祈りたい。。。
(写真:涙ぐむシシリアと、ギフトをなぐさめるジョディ)
彼女達の気持ちを充分解る事が出来ません
どの大人も本当に子供の事を想い、自身の気持を抑え、子供が一番好い方向に迎えるようにしているんですね
こんな豊かな国に居るのに子供をモノにしか思えてない大人ばかりの国。色々考えます
高橋さんの写真を見ていて常々感じるのは遠くの外国で起きている問題のひとつひとつは、ぼくたちの生活に直接関わりがないように見えて、実は根本的な問題につながっているということです。
こうしたことについて日本のメディアは全くといっていいほどページを、時間を割きません。たまに取り上げるにしても深夜の誰も見ないような時間枠であったり、ベタ記事であったり…。
※本件とかかわりのないことで恐縮ですが、延び延びになっていた「週刊金曜日」へのぼくの記事の掲載が12月22日号で掲載決定となりました。
お時間のあるときにでも読んでいただけたら幸いです。
さまざまな問題にぶつかる可能性はありますが、そうなったらバイトでもしてまたシシリアさんに会いに来ればいい。なんだかこんなことしか書けません。しかし、失敗したとしても次世代を担う子供がいてその子が新しい経験をすることはマイナスにはならないような気がします。また国を超えて故郷がある、また故郷をつくる、ということはある意味幸せなことだと思います。
変な話ですが、子供を育てていて思うのは大人が思う以上に子供の心というのはたくましく、そして自身で解決していく能力が高いということです。しかも大人が考えるような発想からではなく、彼ら独自の解決方法があります。邦さんの写真が何かを変えたように、ギフトちゃんの存在もまたその国の何かを少しずつ変える可能性がある、とも考えています。