Kuni Takahashi Photo Blog

フォトグラファー高橋邦典
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手段は選ばず

2005-10-13 10:14:12 | 報道写真考・たわ言
早朝6時からシカゴ郊外にあるガソリンスタンドで撮影。これも石油問題プロジェクトの一環だ。そんなわけで起きたのが朝4時半、早起きはそれほど苦にならないが、さすがにここまで早いとしんどい。現場に向かう途中、車のラジオからこんなニュースが流れてきた。

「L.A.エンジェルス(大リーグ野球のチーム)の選手達が宿泊しているシカゴのホテルで、選手達の部屋のドアをたたき回って安眠を妨げた男2人が逮捕された」

ここで状況説明をしておこう。
昨夜(11日)、ここシカゴではアメリカン・リーグの優勝決定シリーズがシカゴ・ホワイトソックスとエンジェルスのあいだで幕をあけた。レッドソックスを3連勝で下し、早々に勝ち進んでいたホワイト・ソックスに比べ、ヤンキースとがっぷり四つに組んで5戦をフルに戦ったエンジェルスが決勝進出をきめたのは10日の夜。シリーズのスケジュール上、その翌日にホワイトソックスとの第1戦を戦うという強行軍になった。
ヤンキースとの試合後、エンジェルスの選手達がシカゴのホテルにチェックインしたのは昨日の明け方近く。その晩には第一戦開始ということで、ほとんど休む間もないという状況だった。そのエンジェルスの選手達にとって球場入りするまでの貴重な睡眠時間を妨害してやろうと、ホワイトソックスファンの2人組がホテルに侵入しドアをたたきまくった、ということだった。

このニュースをきいて僕はたまげたが、と同時に、ありえるよな~と妙に納得もしてしまったのだ。

自分の利益のためには手段を選ばない。。。
「正々堂々」なんて言葉はあんまり存在しないんだから、この国には。

96年のアトランタ・オリンピックのときを思い出す。体操競技で、アメリカの選手がでる度に「USA! USA!」の大唱和。同時に競技していた他国の選手達が、全然集中できない、と不平を漏らしていた。あれはテレビで観ていてもひどいものだった。

スポーツだけではない。イラク戦争だって、アフガニスタンの爆撃だって、さかのぼってベトナム戦争だって、すべて自国の利益ばかりで、相手のことなんて眼中にない。相手も同じ人間だっていう感覚が欠如しているんじゃないか、と思う。

捕まったホワイトソックスファンの2人は取り調べでこういったそうだ。

「俺たちはホワイトソックスのために、自分たちの役割を果たしたんだ」

なんかイラクにで任務に就いている多くの米兵の言葉に似ているよなあ。。。。

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3 コメント

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凄い話ですね (ひろふみ)
2005-10-13 13:23:43
早朝の取材、おつかれさまです。永平寺の修行僧のようなスケジュールですね…。



ホワイトソックス・ファンの侵入事件、そんな事があったんですね。球場でのブーイングならまだしも、さすがにホテルに侵入して睡眠妨害するというのは、いただけないですね。ホワイトソックス、国家、宗教…、「~のために自分が犠牲になった」と考える風潮がこの国にはありますね。



オリンピックといえば、アメリカで見るオリンピック中継って日本以上に「アメリカ・オンリー」ですよね。そういう機会だからこそ、世界中のアスリートを見たいと思っている人、少なくないと思うんだけどなぁ。
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早速参りました。 (makiko)
2005-10-13 22:59:01
高橋さん、ブログ始められたんですね!こちらも訪問させて頂きます。

過去の記事も遡って拝見しました。

考えさせられる、改めて考え直したいと思う事柄がたくさんあり、大変勉強になります。

私は初めて訪れた外国がアメリカだったので、どうしてもアメリカ贔屓な部分があるのは事実です。でも、アメリカという国の光と闇を、これからこちらでしっかりと知り、再考したいと思います。今後ともどうぞ宜しくお願い致しますね!
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ゼロトレランス (jojo)
2005-10-14 01:40:29
子ども達へ「寛容度ゼロ」の指導をすることが教育に効果があるそうです。

13日付けの毎日新聞の記事なのですが、リソースをネット上で見つけることができませんでした。



ゼロトレランスを教育へ入れようとすること自体が、教育現場の無策を象徴しているという意見も紹介されています。

レーガン時代の荒廃した学校で、効果をあげた教育方法だそうです。



教育に規律と罰則を組み込むものらしいですが、そんな教育を受けているであろうアメリカ人が、こんな行動に出るのですから、いかに鞭でたたいても倫理的なものは育たないということでしょうね。



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