Kuni Takahashi Photo Blog

フォトグラファー高橋邦典
English: http://www.kunitakahashi.com/blog

ペンシルバニアへ

2008-03-11 09:32:55 | リベリア
ここのところあまりぱっとしない日々が続いている。

トリビューンのオーナーが極端な金儲け主義のサム・ゼルになってから、経費削減の憂き目にあって、海外取材が激減した。

ゼルは「読者はローカルニュースにしか興味がない」などと、国外のニュースを否定する発言もしており、僕にとってはこういう人間をトップに持つことは非常な脅威である。こういう偏狭な考えが、国民の視野を狭め、他国に対する理解を妨げ、挙句にはイラク侵攻などもひきおこすことにつながっている、ということに気づかないのだろうか。。。もともとジャーナリズムとは全く関係がなく、不動産売買で富をなしたこういう輩にトリビューンを売り渡した前経営陣の罪は重い。

そうはいっても、平カメラマンの僕が愚痴ったところで経営方針がかわるわけでもない。こちらは自分ができることをやるしかないので、昨年手がけた「貧困問題プロジェクト」のような、シカゴ近辺でできるプロジェクトを今年も始めようと、現在リサーチ中だ。アイディアはあるのだが、それを実際に撮影に持っていくためのコネクションをつくっていくのは結構大変で、時間もかかる。

そんなわけで、最近出張も全然ないので、今週水曜から数日間、ギフト(リベリアから養子になった少女)の様子を見にペンシルバニアに行くことにした。ギフトには昨年夏以来会っていないし、母親のジョディが今年の1月にギフトの親友だったアサタという少女をリベリアから養子に迎えたばかりなので、また随分環境も変わっているだろう。

しかし、ジョディのこの決断には驚かされた。ギフトを養子にしてからまだ1年足らずだったし、ギフトと妹のノエミとの関係もようやく落ち着いてきたところだったので、あらたにまた養子をとるなど、とても僕には考えられないことだったからだ。

アサタが姉妹に加わってからすでに2ヶ月が経ち、電話で話す限りとりあえず皆うまくやっているようだ。まあいろいろなことを含めて、彼女たちの新しい生活をまた写真に収めてこようと思っている。

(お知らせ)
目黒区美術館区民ギャラリーで来週19日から23日まで写真展がひらかれます。機会がありましたらどうぞ。
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