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ちょっと日本では考えられない、ベトナム民営企業のプロフィール

2008-12-24 22:20:25 | Weblog
 ベトナム出張4日目に訪れた「ホーチミン部品調達商談会」は、ベトナムローカル企業の実力の水準を知る良いチャンスでした。また、個別の企業と話し込んでみると、民営企業にはちょっと日本では考えられないプロフィールを持つ企業があることを知ることができたのも良い経験でした。

(1)ローカルのダイカストメーカー某社
 この会社の経歴はユニークでした。社長は南北統一前の南ベトナムから日本に留学した経験を持つベトナム人なのですが、サイゴン陥落で帰国できなくなったのでそのまま日本にとどまって金型とダイカストの仕事につき、99年に独立してマレーシアのクアラルンプール郊外に金型メーカーを設立したのです。マレーシアで彼はアセアン各国を相手にビジネスを展開するのですが、日本のソフトウェエア会社から資本を受け入れ2006年にベトナムに設立したダイカストメーカーがこの会社だとのことでした。
 経歴もさることながら、企業の規模は小さくても広くアジアを舞台に活動しているところがすごいと思いました。

(2)ローカルの切削加工メーカー某社
 社長は実に日本語が流暢です。話を聞くと、ハノイの貿易大学を卒業後、ホーチミンで税関の官吏として勤務するのですが、独立してポリウレタンを売る商売を始めたところこれが儲かったので自分もハノイにウレタンメーカーを設立します。この事業は成功するのですが、何を思ったのか彼は経営を弟に任せ、自らは日本語の勉強を再開して通訳の仕事を始めたのです。
 そこで家具用の工具の外注先を探しにベトナムを訪れた家具メーカーの日本人の通訳を担当するのですが、なかなか良い外注先が見つかりません。すっかり意気投合したこの日本人から、お前が工具を作るのなら応援しようと伝えられた彼は、それじゃあと工具メーカーを設立して成功してしまったというのです。
 これだけでもちょっと驚きの話なのですが、同席していた日本人がこれまた驚きの話をしてくれました。彼は上記のベトナム人社長に買収された元日系企業の社長でした。
 ハノイから車で2時間程度の港町ハイフォンに進出した日系の切削加工メーカーがありました。主に日本にある親会社からハードディスクドライブなどの部品の委託加工を請け負っていたのですが、親会社が倒産してしまいます。普通、親会社が倒産すると海外にある子会社も閉鎖の憂き目に会うと思うのですが、日本の親会社の取引先はハイフォンの子会社のコスト競争力と技術力を評価し、もし事業を続けるのであれば仕事を回すと伝えてきたのです。
 しかし事業を続けようにもこの日系メーカーには資金がありません。彼はかねてより工具の購買を通じて親交のあったこのベトナム人社長に相談したところ、「そういうことでしたら私が出資しましょう」ということで、この日系メーカーはベトナム資本が過半数を占めるメーカーとして存続することとなり(外資系企業の優遇策を受けるため、ベトナム側の資本比率は7割以下に抑えざるを得なかった模様)、日本人社長はそのまま経営を任され現在至るとのことでした。

 ホラ話かな、と思ってしまうことが現実にここベトナムにはあります。かつて日本も貧しい頃には、このような作り話のように感じてしまうような創業エピソードがそこかしこにあったのかもしれません。

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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ある意味うらやましいです。 (KADOTA)
2008-12-25 19:44:02
こんにちは。
ベンチャー企業と言えばそうなのでしょうが、現在の日本では考えられませんね。日本の大学には東南アジアからの留学生がたくさん来ていますが、彼らはエリートなのでしょう。末端で頑張っている人もたくさんいることをあらためて実感しました。
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コメントありがとうございます (kunihiko_ouchi)
2008-12-26 00:57:02
確かに現在の日本では考えられない創業の仕方です。彼らが優秀だということもあるのですが、経営のスピード感というものがそもそも違いますね。
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