歩きながら考える

最近ちょっとお疲れ気味

ドリアンー果物の王

2007-05-15 09:00:00 | 読書
 私は果物が大好きで、東南アジアを訪れるときはマンゴスチン、ランブータンなど、日本ではなかなか食べることができない南国の果物との出会いが楽しみです。しかし、「果物の王」ドリアンは、「臭い」という先入観と、外国人観光客向けのホテルやレストランではまず出てこない(そもそもたいていの高級ホテルはドリアン持ち込み禁止ですね)ため、いまだにトライしたことがありません。
 塚谷裕一「ドリアンー果物の王」(中公新書)は暇つぶしのつもりで何気なく購入した本ですが、これが意外に面白かったです。無類のドリアン好きの植物学者による本書は、ドリアンの魅力を語り尽くすと共に、植物学的な観点からの解説、そしてドリアンをめぐる文化論にまで筆が及びます。
 興味深かったのは、当時の大日本帝国の南進政策もあって戦前の日本人の方が南国の果物に親しんでおり、知識が豊富だった、という点です。ドリアンについての優れた専門書も戦前の日本では出版されています。しかし敗戦により南国の植民地を失い、さらにアメリカの強い影響によりグレープフルーツのような酸味を有り難がる風潮が強まり、甘くて豊潤な香りを持つ南国の果物に対する指向が弱まってしまったのだそうです。ようやくバブル期の頃からエスニックブームが盛り上がり、東南アジアへの旅行者も増え、南国の果物に日本人は再び目を向けだしたので、ドリアンに対する評価が変わる日も近い。。。という仮説を著者は提示しています。その証拠に、かつてドリアンと同様に「臭い果物」とされていたマンゴーは今ではすっかり日本でポピュラーな果物になったではないか、と著者は主張します。なるほど。
 次回の東南アジア出張の際にはぜひチャレンジしてみることにします。しかし著者によると、多くの日本人がドリアンを「臭い」とキワモノ扱いするのは、現地の商売人が日本人観光客を格好のカモとみて臭いハズレのドリアンを売りつけるからなのだそうです。少し現地語を覚えてからでないと本当に美味しいドリアンには出会えないかもしれません。


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2 コメント

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屋台で手軽に (NEJI)
2007-05-16 03:59:53
タイ、マレーシア、インドネシアであれば、屋台で手軽に食べられますよ。他の果物よりチョット高いですけど。

※先日、神田から赤坂に移ったものです。
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時間がないのが悩み (kunihiko_ouchi)
2007-05-16 22:38:30
NEJIさん、コメントありがとうございます。
しかし出張だと昼間はずっと工場めぐりで、なかなかゆっくり街中を歩く時間がないので、屋台めぐりも難しいんですよ。余裕のある出張スケジュールを立てたいですね。
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