歩きながら考える

最近ちょっとお疲れ気味

イラク情勢について日本のマスコミはもう少し詳しく報じてはどうか

2010-05-15 23:51:14 | ニュース・雑感
 私は学生時代に中東の歴史を専攻していたことから、中東については割りと今でも関心を持っています。しかし、昔からこの地域に関する日本のマスコミによる報道の数は非常に少ないのが現状です。確かに日本との政治的、経済的なつながりが米国やアジアに比して薄い地域であるので、報道の数が少ないのはやむをえない面もあるのですが、それにしても同盟国であるアメリカの政治の行方を大きく左右するイラク情勢については、さすがにもう少し詳しく報じてはどうかと思います。イラクでは8月31日までに米軍戦闘部隊が撤退することになっていること、そのことに大きく影響する総選挙がイラクで行われたこと、イラクでの新政権樹立をめぐってテロが相次いでいること、が意味する重要性について、果たして日本人がどの程度認識しているのでしょう。(参考:AFP イラク全土で爆弾攻撃相次ぐ、今年最悪の102人死亡 2010年05月11日

 予定通り米軍はイラクから撤退するでしょうけれども、その後のイラクはどうなるでしょう。米軍の後ろ盾を得ていた親米派は、反米的な勢力に押されてしまい、結局はアメリカが望まないような国になってしまうのではないでしょうか。だとすれば、国際的な世論に反して膨大な戦費と犠牲者を出したイラク戦争はなんだったのか、なんのことはない、ベトナム戦争と同じだったということになりかねません。ベトナム戦争の惨めな結果がアメリカの政治と経済に暗い影を落としたように、とても成功しそうに無いイラク派兵の強引な終結もまたオバマ政権の立場を危うくし、経済的にもマイナスとなるように思います。

 パロディの報道で有名なアメリカのOnion News社は、イラク駐留米軍の兵士たちを鼓舞してきた着ぐるみマスコット「リバティー」の戦死を報じる嘘ニュースを報じています。この嘘ニュースの完成度がやけに高く、笑わずにはいられないレベルであるだけに、逆にイラク問題に関するオバマ政権の閉塞感というものが伝わってくるようです。