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最近ちょっとお疲れ気味

ブラジルでの工場見学(その14) Moto Honda da Amazonia Ltda.(後編)

2009-09-22 08:32:33 | ものづくり・素形材
  Moto Honda da Amazonia Ltda.は敷地面積56万平米、床面積15万3,000平米と広大で、ダイカスト、プレス、成形、溶接、組立までを一貫して行っています。組立工場は操業を2シフト、機械加工、ダイカストは3シフトの勤務ですが、土日は操業を停止して休みにしています。



 同社における生産設備には日本製が多いのですが、100トンクラスの小型プレスマシン、メッキ設備、金型の熱処理炉はブラジル製の設備が使われています。従業員数は6,141人で、うち二輪車組立工場が4,984人、部品製造工場が1,041人、金型部門が116人です。平均年齢は32歳で、女性は少なく6%に過ぎません。工場見学では、従業員が皆きびきびとした動作で作業に専念していたのが印象的でした。同社によると、ブラジル人は、勤勉、器用さで世界でもトップレベルであり、動作の速さ、リズム感の良さ、性格の明るさもあり、高く評価できるとのことでした。



 マナウスでの同社の調達先は19社あり、うち10社が日系企業です。部材金額の約50%はマナウスでの調達で、残りはほとんどサンパウロから調達しています。
 ちなみにサンパウロからの調達といっても、同じ国の他の地方から調達するというイメージとはほど遠いものです。前回の投稿でも述べたように、マナウスはサンパウロまで直線距離で2,700km、大西洋の港町ベレンまで1,300kmもあります。ホンダがサンパウロから調達する部品は、ベレンまで陸送され、ベレンからマナウスまでアマゾン川の水上輸送で運ばれているのですが、この輸送に実に10日間を要するのです。また、ブラジル国内の工業製品の大市場はサンパウロを始めとする南部地方ですから、マナウスで作られた二輪車の多くはこの遥かな道のりを逆に辿って運ばれるのです。
 気が遠くなりそうな非効率な物流条件ですが、前の投稿で述べたような理由により、これがブラジルでは合理的な産業立地なのです。不思議な国です。

※なお上記の内容は2006年1月に同社を訪問したときに伺ったお話を基にしており、現在は 事情が変わっている点があると思います。