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最近ちょっとお疲れ気味

北朝鮮の鉱物利権争奪戦

2007-03-05 00:11:34 | 海外ものづくり事情
 北朝鮮の核問題をめぐる6カ国協議は、どう考えても北朝鮮にとって有利な条件で合意されたように思いました。なぜなら核兵器を開発したことで、重油をタダでもらえることになったのですから。ひどい脅しもあったものだと感じると共に、北朝鮮の抜け目なさに妙に関心してしまいました。

 しかしながら、本当に抜け目がないのは欧米そして中国であり、舞台裏では日本人が思いもよらない動きがあったようです。実は6カ国協議の本質は、核ではなく北朝鮮の鉱物資源の争奪戦なのだというのです。
 先日紹介した中村繁夫氏の著書「レアメタル資源争奪戦」には以下の記述が見られます。

(以下引用)
 北朝鮮のレアメタル資源は、すでに中国が押さえたと言われている。タングステン鉱山などは中国の直轄地になっている。北朝鮮問題の本質は核ではなくレアメタル資源であり、6カ国協議が進まないのも資源を独占するためかもしれない。
(引用終わり)

 ほんまかいな、と思ったのですが、今週の「エコノミスト」(2007.3.6)には元外交官(北朝鮮班長)の原田武夫氏が「6カ国協議の真相は北朝鮮の鉱物利権争奪戦」という論文を寄稿しています。やはりこの説は信憑性が高そうです。以下、原田氏の論文からも一部引用します。

(以下引用)
 それでは「北朝鮮問題の本質」とは何か-。それは、北朝鮮がマーケットの観点から見れば潜在的な経済利権の宝庫であり、表向きは「核問題」といった様相を演出しながらも、日本以外の各国が舞台裏で行っているのは、その利権の分配に過ぎないということである。
 山岳地帯を多く含む北朝鮮は、鉱物資源の宝庫である。鉄鉱石や石炭、そして領海では石油すら採掘が可能であるほか、ハイテク製品には不可欠な各種の希少金属(レアメタル)、そして金(ゴールド)といった鉱脈を抱えている。ウランもその例外ではない。
(中略)
 また、鉱山開発や精錬には大量の電力が必要だ。米国が滑り込むことで鉱山資源の分配が事実上ついた北朝鮮で次に必要なのは、大量のエネルギーということになる。だからこそ、日本を除く各国は、今回の会合の冒頭から「エネルギー支援、まず先にありき」という発言を繰り返したのである。
(引用終わり)

 国際政治というものは実に冷徹なものですね。