雲の上には宇宙(そら)

 雪国越後にて、30年ぶりに天体写真に再チャレンジ!

フラット画像のダークは必須!(検証その2)

2014年02月17日 | 画像処理のはなし
前回 フラット補正に関する記事 では、
わたしのブログ始まって以来の大勢の方からコメントをいただきました。
貴重なご意見・アドバイス ありがとうございました。
いただいたコメントを私なりに要約すると・・

(1).フラット画像の明るさについては、撮影画像に合わせて。
明るさはそんなに気にしなくて良い という意見も)
(2).フラット画像の感度(ISO)は撮影画像に合わせた方が良い。
(3).フラット画像用のダークは撮った方が良い。(短時間露光でも)
といったところでしょうか。

そこで、以上を踏まえて2回目の検証を行いました。
前回との変更点は
ISO感度を撮影画像と同じ1600に(前回は100)
フラット用のダークも撮影(前回は省略)

新しく作成したフラットパネルで1/2000sec→1/125sec (ISO1600)まで落とせます。
( 注.撮影時は窓を開けて撮影しています。)
パネル無しでも、十分フラットなような気が・・

お待たせしました。検証結果を先入観なしで報告いたします。
今回新しく撮りなおしたフラット画像は以下の通り
( R200SS+バーダーMPCC カメラはCooled60Dを冷却オフで使用 )
*フラット補正時は16枚コンポジットしたものを使用しています。
( いずれも、ダーク減算なしの一枚画像です。)
ちなみに検証用に選んだ撮影画像は、前回と同じ(NGC1300)でISO1600 5分露光です。

検証フラット画像の明るさ別 処理画像 ガンマ 1.0 オフセット %
前回のISO100でもほとんど差は見られなかったのですが、
今回のISO1600でも同様な結果でした。( 今回はフラットのダーク減算も実施 )
( フラット処理 なし )
フラット露光1/500
フラット露光1/250
フラット露光1/125
画像はいずれも 表示レベル1500_2500で背景の明暗を強調してあります

結論は フラット画像の明るさは適当で良い!
( むろん、極端な露光不足や露光オーバーはさけること )
これはある程度予想できたことでした。
ダーク減算はそのままダーク画像で引き算すればよいのですが、
除算(割り算)と言われるフラット補正では、
フラット画像でそのまま割ったら処理後の画像レベルが極端に変わります。
フラット画像から一番明るいピクセルと比較した明るさの比率が分かれば、
それで元画像を割ってやれば補正ができる訳ですから
特性が大きく変わらなければ、全体の明るさは問題では無い事になります。

検証フラット画像の感度別 処理画像 ガンマ 1.0 オフセット %
前回の画像(ISO100)と比較するため、ダーク減算は行っていません。
フラットISO100

フラットISO1600
画像はいずれも 表示レベル1500_2500

結論は フラット画像の感度(ISO)は撮影画像と同じに
ダーク減算なしでの比較ですが、等高度曲線や3Dグラフから、
撮影画像と同じISO1600の方が、フラットになっています。

検証フラット画像のダーク減算有無 処理画像 ガンマ 1.0 オフセット %
フラットダークなし

フラットダークあり
画像はいずれも 表示レベル1500_2500

結論は フラット画像のダーク処理は必須!
検証結果にびっくりしています。
短時間(1/250秒)露光のダーク減算でこんなに違いがでるとは想定外でした。
理由はよくわかりませんが、
低照度のデータがフラット処理に大きく影響するという事でしょうか?


これから先はステライメージ7フラット補正の設定値を変えて
更にフラットが追い込めるか、検証を行っています。

検証フラット処理のオフセット値別 処理画像
フラット露光 1/250sec ガンマ 1.0 フラットダーク減算あり
前回はオフセット値が大きいほど効果があったのですが、ダーク減算ありの場合はどうなるか?
オフセット-50
表示レベル 2500_3500
オフセット-25
表示レベル 2000_3000
オフセット
表示レベル 1500_2500
オフセット+50
表示レベル 1000_2000
オフセット+150
表示レベル 500_1500
今回もオフセット値の設定で処理後のレベル(明るさ)は大きく変化していますが、
3Dグラフからはオフセット0%付近に最適値がありそうです。
いろいろ変えてみて、一番良さそうだったのが・・
オフセット-10
表示レベル 1700_2700
デフォルトの%でも良さそうです。
これで周辺減光やゴミはほとんど目立たなくなりましたが、ミラーBOXのかげりと思われる
下端の黒い帯が消えずに残っています。

のこった最後のパラメータのガンマ値を変えて改善できるかやってみました。
検証フラット処理のガンマ値別 処理画像
フラット露光 1/250sec オフセット -10% フラットダーク減算あり
ガンマ0.5
表示レベル 1700_2700
ガンマ1.0
表示レベル 1700_2700
ガンマ1.5
表示レベル 1500_2500
コメントをいただいた中で、RGB毎のフラットの一致も重要との指摘がありましたが
その問題が出ているようです。
デフォルトの1.0でもいいのですが、最適値としては
ガンマ0.9
表示レベル 1700_2700

ゴミや周辺減光の補正だけならこれでも十分なのですが、
画像下端のかげりと左右のかぶりのようなものが残ってしまいました。
なぜ補正されないのか?
撮影画像とフラット画像を比較してみました。
撮影画像(ダーク減算済)    表示レベル 1800_2800

フラット画像(16枚コンポジット ダーク減算済)   表示レベル 1200_2200

比べて見るとカメラの受光面直近のゴミは、フラット画像にもくっきり写っているが、
下端のかげりや減光がおだやかに見える。
これではゴミは補正されても、他は補正残りが出てしまう。

この原因として推測したのが、鏡筒前面のフラットパネル。
新しいフラットパネルは濃い白色で拡散性にすぐれている。
このためパネルを通過した光はさまざまな角度で受光面に届く。
受光面直前のゴミははっきりとした影をのこすが、
カメラ内部のミラーBOXなどの構造物による影は薄くなる。
同様に、周辺減光も散乱光によってなだらかになるのでは?

フラットマスクを使わないで、フラット画像の取得ができないか?
そうだ雪国の冬の空を使えば!
次回は雲しだいですが、その方向で更に検証を行います。
次回記事→

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「長い!」「長すぎる!」「ゴミの影さえ消せればいいのに」
 という声が・・
でも、わたしにとって最大の問題、画面下端のかげりがまだ消えてないのです。

雲上くもがみ
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コメント (10)
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