「 いしぶみ=碑 」
約50年前、広島テレビで放送された「碑」。
当時、杉村春子の朗読によるこの番組を、
是枝裕和監督が再編。広島出身の綾瀬はるか朗読による映画に仕立てた。
8月9日 「長崎原爆の日」に観に行ってきました。
≪ いしぶみ ≫
広島二中・321人の生徒は、建物解体作業のため、
原爆ドームから500メートルの川沿いに集まっていた。
その時 8時15分 原爆が投下され、321人の生徒が被爆。
映画では、一人ひとりの名前を挙げて、彼らの最後の言葉や様子が、
綾瀬はるかの トーンを抑えた、淡々とした声で朗読される。
画面には映像はなく、朗読する綾瀬はるかの姿と、生徒たちの遺影のみ。
観る私は、その時の状況や生徒の様子を想像するだけ。
それでも、私の頭には 想像が映像となって 生々しく浮かび、
映像を見るよりもずっとリアルだったように思う。
火傷の様子、滴る血、死の間際 家族に訴えた声にならない声・・・
生徒の名前が挙がるたび、その一人ひとりの顔が浮かび、その最期が思われる。
原爆投下された昭和20年末迄に亡くなった推定人数は、
即死者も含め、約14万人前後と言われている。
14万の人々の あったはずの日常が奪われた事実を、
321人の生徒の死の実感を持って、あらためて胸に刻んだ。
隣の席におられた高齢の女性が
「そうそう、そうだったよね~。」と涙を拭きながら 呟かれたのが心に残った。
彼女もまた、原爆の傷を心に負っていらっしゃるに違いない。。。
帰りに「平和公園」に行って、二中の「慰霊碑」を参拝した。
場所は、生徒が集合していた本川町の川岸。
裏には、亡くなった321名の名前が刻まれている。
今も、8月6日には関係者により、慰霊祭が行われている。
平和公園にある、「峠三吉の詩碑」 も尋ねてみた。
小学生のころ学校で習って、今も忘れられない詩。
ちちをかえせ ははをかえせ
としよりをかえせ
こどもをかえせ
わたしをかえせ わたしにつながる
にんげんをかえせ
にんげんの にんげんのよのあるかぎり
くずれぬへいわを
へいわをかえせ
<峠 三吉>