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即興童話~三郎君と悦子さんの体験

2024-05-25 06:24:43 | 日記

「お姉ちゃん、笑わないで聞いてね」と三郎君がご両親が寝静まった後に悦子さんに話しかけました。笑わない、と悦子さんが言うので話してみることにしました。

「1か月前に、俺、熱出して寝込んだことがあったでしょ。熱が出て二日目に、なんでか天井がすぐ近くにある気がするんだ。忍者ハットリ君みたいに天井を足で踏んで歩いたかも。ふっと正気に戻ると、なんかおかしくて笑っちゃった。そして熱が下がって、明くる朝には気分が良くなってた。」

「へえ」と悦子さん。

「でも、俺その時が初めてっていうことじゃなくて、小さい頃も一回か二回、似たようなことがあった気がする。」

「それ、幽体離脱っていうやつじゃないかな。」と悦子さん。「私も金縛りって経験したことあるよ。」

「どんなの?」

「夜目が覚めて、身体が動かないってことに気が付いたの。どんなにがんばっても動かないの。誰か私を見ている気がする。その人が、もしも私に襲いかかったらどうしようかって思うんだけど、やっぱり動かない。怖くて心臓はドキドキするし、声を出そうとしても出ないんだ。どれくらいか分からないけど、しばらくしたら、身体は普通に動くの。とにかく怖かった。」

「やっぱり、そういう不思議なことってあるよね。」と二人は友達から聞いた話や本で読んだことを、その日遅くまで披露し合っていました。


即興童話~和歌の梅が勝った

2024-05-24 21:34:13 | 日記

和歌の梅が、大木曽川と対戦しました。頭で当たってそのまま押し出しました。大木曽川は期待の力士で十両くらいまでは、問題なく上がれると言われている名門高校相撲部の出身力士です。

和歌の梅も、そんなに力を出したわけではないのに、その強い相手を押し出すことができました。勝ってから「あれ、こうやって勝つところは、なんか小さい頃、夢で見た気がするな」と思いました。和歌の川さんや和歌登さんも「ウメ、今日はいい相撲だったじゃないか。」と誉めてくれます。もちろん嬉しいのですが、「自分の力だけで勝った相撲じゃないな」と思っています。

「小学校の修学旅行の時が、こんなだったかな。初めて泊まる旅館なのに、前に泊まった気がしていたぞ。」

デジャブというものです。皆さんは和歌の梅のような経験をしたことはありませんか。


即興童話外伝~悦子さんのダイエット

2024-05-22 06:48:02 | 日記

悦子さんには彼氏がいます。良雄さんといういい男です。背が高くスラッとしていて、体脂肪が少なくシャキシャキ歩きます。モテます。ライバルも多い中、悦子さんは彼が自分を選んでくれたことを誇らしく思っています。

「彼に見合うだけのいい女になってみせる」と誓いました。うーん、そうなると腹回りの体脂肪がみっともないかも。

「良雄君、私もっと痩せた方がいいかな?」

「え?今のままでいいんじゃない。別にえっちゃんが健康なら太っていても痩せていてもそれでいいよ。」

嬉しいではありませんか。でも甘えてはいけません。朝食と昼食を減らし、夕食後は散歩です。朝を抜くとお母さんが「ちゃんと食べなければだめでしょ」とうるさいので、ちょっとだけ食べます。最近は会社に着いた頃にお腹が空くからと言い訳をして食パン1枚だけをオフィスに持っていき、食べるのはお昼です。そうなると、ランチにおいしそうに唐揚げや魚フライの入った弁当を食べる同僚がうらやましくもあり、気の毒でもあります。

同期の直美さんから「悦子、食パン1枚で大丈夫なの?」と訊かれます。「うん、大丈夫。案外慣れれば平気だよ。」

悦子さんだって、夕食をつい食べ過ぎたり、お酒を飲んでしまったりします。でも、だんだん分かってきました。一旦減り始めると少々リバウンドがあっても、減るというベクトルは揺るぎません。

悦子さんは、変わらず良雄さんのことが大好きです。でも、その大好きな良雄さんのためにがんばっている自分のことも大好きなのです。

162cm、56kgだった悦子さんは、彼と付き合い始めてから、ついに50kgを切るところまできました。もう毎日体重計に載るのが楽しくてしかたないのです。


即興童話~三郎君の孤独

2024-05-18 14:16:48 | 日記

三郎君は第二次世界大戦のユダヤ人の迫害される姿をえがいた本を読んで、かなり気分がまいっていました。

先生がなにげに「みんなは何をしているときが一番楽しいかな?」ときいてきた時に、「本を読んでいる時です。」と答えたのです。他のクラスメイトは「みんなと一緒に遊んでいる時」「対戦ゲームをしている時」「家族とどこかへ出かける時」などと答えました。三郎君は休憩時間や自習時間に熱心に本を読んでいることはみんな知っています。だからといってみんなに敬遠されているというわけではないし、「三郎君らしい答え方だな」と周りは受け止めています。

「あれっ、誰かと一緒でない、一人の時が楽しいのは僕ひとりだけだな」ということに気が付きました。もちろん光輝君のような友達はいます。でもコウちゃんには島本紀美子さんが好きなことだとか、全部を話しているわけではありません。コウちゃんは勉強嫌いで、ボキャも豊富ではありません。話が時々食い違います。ちょっと孤独を感じていたのです。

それに輪をかけて、例のアウシュビッツの本を読んでしまったので、孤独感が増しています。

「自分は一人なんだ。本に出て来る女の人みたいに、死ぬ時に『僕の友達は、あの桜の木なんです』とか、お医者さんに話しているんだろうか。」

そういうわけで、三郎君は最近うつうつとしています。


おばあちゃん~即興童話

2024-05-15 09:30:18 | 日記

三郎君のおばあちゃんが亡くなりました。二年前のことです。

三郎君は、それとなくおばあちゃんが、もうそんなに生きられないということを両親から聞かされていました。もっとも三郎君もぼんやりとは分かっていました。

看護師さんや介護士さんが「がんばりましょうね」「元気になっておうちに戻れるといいですね」「いつも御主人が来てくださっていいですね」などと言っていたのが、「何か気がかりなことはありませんか」「おっしゃりたいことは何でもおっしゃってくださいね」と言い方が変わってきたのは三郎君も気がついていました。

入院して1年になりますが、だんだん元気がなくなって疲れているようにも見えました。三郎君も最初は「がんばって退院してね」と言っていたのですが、見た目にも、とてもかわいそうで顔をまっすぐに見ていられません。何と声を掛けていいのかわからず、涙が出てきます。

亡くなった時、おじいちゃんとお父さんが見守っていたそうです。お母さんとお姉ちゃんと三郎君がかけつけたときは、顔に白い布がかけられていました。

三郎君はおじいちゃんが大好きで、おじいちゃんの家によく遊びに行きます。おじいちゃんをまねて、仏壇に手を合わせます。そして「おばあちゃん、がんばるよ」とつぶやいています。何をどうしたらいいのか分からないのですが「がんばるよ」と誓っています。