アメ横の片隅。メインストリートではなく、裏道の更に片隅にある小さな喫茶店。知らない人は黙って通り過ぎるだろう。そんな一角にある「ダンケ珈琲店」。ボクは散歩していて、偶然見つけた。
「バターブレンドコーヒー」。
不思議なネーミングである。
「ダンケ珈琲店」に入って、店主に聞いた。「バターブレンドコーヒー」は、神戸の方が編み出したコーヒーで、全国に多くのファンを抱えるという。上野の「ダンケ珈琲店」も、売り上げの多くは、そのコーヒー豆の販売だという。
「バターブレンドコーヒー」とは、コーヒー豆にバターを溶かして焙煎したコーヒーである。以前、一度豆を購入し、しばらく飲んでいたが、今回は店にて、コーヒーを頂きたく、おじゃました。
お店は極めて小さい。多分、「喫茶さすらい」史上、最も狭い店である。恐らく、客は5人も入れない。カウンターだけの店。カウンターの向こうには、いろいろなコーヒーカップが並び、客の気に入ったカップでいただくことができる。頭上には様々なドリッパーが吊るされている。
さて、どのコーヒーカップにしようか。ボクは、最も派手なカップを選んだ。鳳凰の絵が書かれたド派手なカップ。これに「バターブレンドコーヒー」をいただいた。
深煎りのコーヒーにバターの風味は、思わぬまろやかさを醸す。それは意外な出会いだ。甘味でもないし、フルーティーでもない。アクセントという微細なものではなく、バターはもうコーヒーと一体的。多分、これに砂糖を入れたら、台無しになるんじゃないかと思う。
鳳凰のカップは、取っ手の部分が小さすぎて、持つのに一苦労だった。
ほろ苦いという言葉がぴったりの「バターブレンドコーヒー」。そして、小さいけど、パワフルな「ダンケ珈琲店」なのであった。