
京急新馬場駅を降りて改札へ向かう階段に、「天神湯」はパネル広告を掲示している。随分前から行ってみたいと思っていたが、いつもタイミングが悪く、銭湯の前を素通りしてきた。この日は息子と新馬場に用を足しに行き、その帰りに待望の「天神湯」に入ることにした。この「天神湯」、店構えからして銭湯らしくない。欅の木だろうか、やや橙がかった木をまとい、一階に待ち合いロビーと番台。浴場は2階という造りになっている。なお、2階のロッカーを利用するには100円が必要である。100円玉を持っていない場合、一階の番台まで戻ってこなければならず注意が必要だ。二階に両替機がないため、自分はまんまと餌食になった。
番台は若女将だった。美人の女将だが気が強そうで怖かった。
浴場は意外に狭かった。しかし、壁を形成する木の温もりと浴槽のタイルと曲線が美しく、狭い浴場をリカバリーしている。見事な風呂だった。デザイナーズ銭湯という点では、本駒込の「ふくの湯」も素晴らしかったが、この「天神湯」だって負けてはいない。「ふくの湯」がアートギャラリーならば、「天神湯」は建築と造形の美だった。
そして、もうひとつ驚いたのが黒湯があること。黒湯は蒲田温泉郷を中心とする23区南部のものだと思っていたが、まさか品川区にもあったとは。もちろん、天然温泉である。息子は黒湯に初めて入るらしく、少しはしゃいでいる。それはそうである。ビロードのような美しい黒湯に入ることなんて早々ない。蒲田の地元ならまだしも、北区にそんな風呂はないのだ。しかも、「天神湯」の黒湯は都内でもっとも腐植質の含有量が多いと、たけしのテレビにて紹介された。腐植質とは植物が地中で分解される肥沃な土壌のことをいうらしい。温泉の効能が高いといえる。残念なのは、人口密度の高さ。狭いうえに、人気が高いから浴場はごった返していた。日曜日は早い時間でも混んでしまうのだろう。なお、シャンプーやボディソープは平日のみ備えているとのこと。
何はともあれ、いいお湯である。
こんにちは。
23区南部に黒湯温泉があります。わたしは今まで気にとめたことがなかったのですが、黒湯はモール泉らしいです。黒湯は不思議な温泉です。