熊本レポート

文字の裏に事件あり

2017・玉名市長選挙(1) 競合飲料メーカーの受託工場化したJA熊本県果実連による告示前での政治力学

2017-09-11 | ブログ

 2013年、全国紙証券部の某記者がJA熊本県果実連の浦田勝会長を訪ねて来熊。訪問の背景には当時、ヤクルトに勃発したお家騒動があった。
 その前年、ヤクルトには仏ダノン社(同社株20%の筆頭株主)によるM&A(合併・買収)の強攻策が噂されて、それがヤクルトの役員、松尚(ヤクルトの天皇と称された故松園直己氏の資産管理会社)、そして販売会社までも巻き込み、そこから同社にとっては株主総会まで存亡を占う一大事となった。
 そうしたヤクルトの株主総会前での訪問で、JA熊本県果実連が同社の株主、しかも影響力の大きい株主だと知ったが当時、不可解であったのは事業収支報告に出て来ない同有価証券。有価証券の所有については過去、バブル崩壊で投資資産が狂って破綻した農協も出現したが、農協法に同所有の禁止事項はない。しかし、そこには監督指針が存在。この点から詳細は次編で述べるとするが、JA熊本県果実連のヤクルト株は金品で購入されたわけではなく、ヤクルト製品の受託工場に伴って発生、所有処理された株主。
 熊本県はみかんの生産量において全国4位だが、そのベスト3であるJA和歌山、JA愛媛、JA静岡の柑橘類担当者が揃ってJA熊本県果実連を批判。
 「コーヒー飲料の製造ならともかく、主生産の柑橘類において、しかも競合する飲料メーカーから製造受託するなんて異常」
 彼らの批判通りJA熊本県果実連の熊本工場及び白州工場は、ヤクルトの柑橘ジュースを製造する受託工場。しかもヤクルトだけではなく食品、飲料の総合大手メーカーであるカゴメの受託工場でもあって、さらに大手飲料メーカーとも協力関係にある。
 もちろん、この他県JAの批判は農業生産者としての姿勢の問題で、「営業意欲に乏しく、その手間を省いた」と感情論で片付けられるのも確か。
 競合する大手飲料メーカーの製造受託工場、そこで得た飲料メーカーの有価証券については関係理事が承知した事実にあるが、問題なのは生産農家の殆どがこの事実を初耳とする組合員の認識、意識。
 熊本本所及び工場の大改築、いや同計画以前における白州工場の改築、そして本所隣接地の土地購入問題をどれ程の生産農家が、その実態を把握しているかとなると、93歳の会長を「白寿まで酷使」という姿勢からして、それは語るまでもない予測か。
 ところで再選意欲に旺盛な同会長の地元玉名市長選挙(10月22日投票)が、告示まで1ヶ月と迫って裏が騒々しくなった。
 現在、出馬を表明しているのは元市議の蔵原隆浩氏(51歳)、現職市議の田中英雄氏(56歳)、そして元県議の橋本太郎氏(71歳)の3人。早速、蔵原氏には西野大亮氏(次衆院選出馬予定)が支持を表明して、帯同しての挨拶回りにあるが不可解なのは、一方の野田毅後援会の未だ静観の状態。
 そこで浮上したのが、意外でもない「浦田佑三子県議の鞍替え出馬」である。
「裏のアクションを推察すると発信源は浦田会長(JA熊本県果実連)」
 選挙区外の県議が浦田会長の息女・佑三子県議の玉名市長選への出馬を予測。表面だけとはいえ、政策論争となる1対1の選挙ならともかく、候補者4人という数取り合戦の感情選挙では、前回の県議会議員選挙で1万票余りを得票した同県議なら明らかに当確で、後で気付くのは巧みな政治力学。昨今、女性議員の浮気、不倫が多発し、それによる離党、辞職を考えると、女性層の感情型政治による怖さを思い知らされるが、そうした不祥事でも起きない限り、裏で語られる浦田市長の誕生は確定といえる。
 それにしても「職員が勤労意欲を失っている」、「権力の長期化は腐敗の温床」という批判が勝手な陰口に思えてくる93歳の再選問題、そして息女の市長選出馬となると、やはり上昇気流の羨ましい幸運の連続であろうか・・・。


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