熊本熊的日常

日常生活についての雑記

「江戸の閨房術」「江戸の性愛術」

2008年04月28日 | Weblog
アマゾンで本を注文する場合、実物を手に取って選ぶことができないので、まとめて何冊か購入すると、その中にどうしても期待にそぐわないものが混ざってしまうのは致し方の無いことではある。今回も、まだ全部の本を読了したわけではないが、いくつかハズレが出てしまった。

「江戸の性愛術」は、伊予道後の遊女屋に伝わる「おさめかまいじょう」の紹介と解説を中核にした、江戸時代の性風俗に関する解説書である。「江戸の閨房術」は性技についての紹介である。内容は類似しており、挿絵や記述の一部に重複も認められる。ただ、「性愛術」のほうは風俗資料的色彩が強く、「閨房術」のほうは文字通りの実用書的な内容である。

著者は「おさめかまいじょう」を風俗資料として紹介しているようだが、企業経営についての示唆にも富んでいる。江戸時代の接客業における顧客対応マニュアルであり、しかも何世代にもわたって繁盛した店のものである。そこには人間というものに対する深い洞察があるように思うのである。人を満足させるとはどういうことなのか、人を飽きさせないサービスの真髄は何なのか、ということを考察することは現代の生活にも通じる普遍性がある。著者は江戸庶民文化研究者とのことなので、内容に関してはこれで仕方が無いのかもしれないが、その風俗と背景となる社会経済とか人間心理といったものを結びつけた視点があれば、なお一層興味深い内容になったように思う。

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