熊本熊的日常

日常生活についての雑記

東京湾のまわりをぐるっと

2010年05月04日 | Weblog
ゲームのような一日だった。8時半にレンタカーを12時間の予定で借り受け、目的地を目指すのである。途中、至るところに渋滞があり、晴れて時間内で出発地に戻ってくることができるか否かを試す、というようなゲームだ。

連休後半になり幹線道路の上り線に渋滞が発生している上に、私のような日帰り族もあり、下り線も順調というわけではない。そうしたなかで千葉県勝浦まで往復してきた。

千葉県は東京から近い割に気候温暖風光明媚である上に、人出もそれほどではないという穴場的な場所が多いように思う。例えば東京駅を起点に半径100㎞の範囲内には、今回の目的地である勝浦も入れば、箱根も入るし、富士山も射程内である。
http://worldmaps.web.infoseek.co.jp/distance_calculation.htm
しかし、神奈川県方面へ行くのと千葉県方面へ行くのとでは交通量はかなり差があるように感じるし、行楽に直接関係は無いが、湘南地域と房総地域とでは地価に大きな違いがある。地価の差というのはその地域の生活の違いとして現れることが多い。この点、深入りしないが、何にせよ物価の安いというのは有り難い。

考えることは誰でも似たり寄ったりということなのか、朝、レンタカーを借りて、カーナビの目的地に勝浦駅を設定して、出発する。護国寺から首都高5号に乗り、環状線、湾岸線と順調に進むが、芝浦あたりから渋滞が始まる。一番左側の車線が混んでいて通常なら追い越し車線となるところがなんとか流れている。カーナビの指示によれば、アクアラインで房総半島に渡ることになっている。浮島まではまだ距離があるので、とりあえず流れているほうの車線に入る。左車線は羽田に近づくにつれで渋滞が酷くなり、羽田を過ぎるとますます酷くなる。この渋滞はアクアラインに入ろうとする車列だったのである。

アクアラインを諦めてフェリーで房総半島へ渡ることにして、そのまま追い越し車線を順調に走る。浮島を過ぎると道路はガラガラだ。その割りになんとなく車の流れが遅いと思っていると、後ろにパトカーがつけていた。交通違反の処理で30分近く足止めを食らい、停車したついでにカーナビの目的地に久里浜のフェリー乗り場を追加する。

三浦半島はときどき訪れる。横須賀美術館とか神奈川県立美術館へ足を運ぶことがある。これまでは鉄道を利用していて、その車窓の風景が妙に印象的だと感じていたが、車で横横道路を走ってみても、時折視界に入る住宅街の風景は他の地域では見ることのできないものだと思う。ところどころに起伏があり、その地面の瘤を覆うように住宅が建っているのである。それがなんとも言えず奇妙な感じがして、脳裏から離れない。

横横を浦賀で降り、海岸を目指して走ると京浜急行の浦賀駅の前に出る。ここは横須賀美術館の最寄り駅なので、見覚えのある場所だ。美術館のある観音崎とは反対方向に向かい海沿いの細い道を走る。近頃は自転車が流行のようだが、海沿いで交通量の少ないこの道は本格的な自転車に本格的な恰好で乗っている人の姿が多い。ただ、車に乗っていると、自転車というのは障害物にしか見えない。他人事ながら、事故のないことを祈るばかりである。やがて左手にカインズが見えてくる。以前にフェリーに乗ったときもここにカインズがあっただろうかと思うほど新鮮に見えた。カインズの前を過ぎるとすぐにフェリー乗り場である。

出航時間まで15分ほどだったので、乗船待ちの車列に駐車して、急いで乗船券を買いに行く。アクアラインの渋滞が嘘のように、こちらはのんびりとした雰囲気だ。乗船待ちの車もそれほど多くはないし、乗船券売り場の窓口も空いていた。乗船券を買って車に戻ると程なく乗船が始まった。私の前の車までがメインデッキで私からは2階デッキへ誘導された。車を停めると係りの人たちが手際よく車止めを嵌める。結局2階デッキが半分ほど車で埋まったところで出航になった。

浦賀水道の真ん中あたりに釣り船がかたまっている場所がある。その釣り船を縫うようにフェリーが進む。釣り船の人たちのなかにはフェリーに手を振る人もいて、長閑な様子に見えるが、フェリーの航跡は鉤型になっていて、おそらく操舵しているほうにとっては神経を使う海域だろう。やがて房総半島が間近に迫ってくると、金谷を出たフェリーとすれ違う。すぐに金谷港に到着だ。

金谷のフェリー乗り場を出るとすぐ渋滞に遭遇する。ただ、これはすぐに抜けることができた。鋸山のロープウェー乗り場へ向かう車列のようだった。この後はひたすら海沿いの道を南下する。調子に乗って走っていたら、長狭街道に入るはずの交差点を曲がりそこない、仕方が無いのでそのまま127号線を南下し続ける。JRの安房勝山駅を過ぎたところで184号線に入り、房総半島の懐へと入り込む。富津館山道路の向こうに見える山がなんとなくいい感じで、車を停めて写真でも撮ろうかと考えたのだが、後続車があったのと、適当な停車場所がなかったのとで、ついそのまま通り過ぎてしまった。富津館山道路のガードをくぐるといよいよ山のなかという様子になってくる。多少心細さを感じないわけでもないのだが、バス停があるので、多少は安心して走っていられる。

佐久間ダムを過ぎ、山道のようになったところで184号線から88号線へ入る。依然として山の中だが、山道が一段落してやれやれと思ったあたりで、さきほど通り過ぎてしまった長狭街道に出る。一体どれほど回り道をしたのだろう。

長狭街道は、交通量もそれなりにあり、内房と外房を結ぶ幹線道路としての貫禄のような雰囲気さえある。尤も、それまで山道を走ってきたからそう感じるだけなのかもしれない。鴨川市に入ると渋滞の気配がしてくる。外房黒潮ラインに入ると、道路の幅が広くなるので交通の流れは良くなるが、左車線が渋滞している。これは鴨川シーワールドへ向かう車列である。シーワールドを過ぎると対向車線が同じように渋滞している。シーワールドがこれほど人気があるとは知らなかった。過去に何回か来たことがあるが、いずれも空いていて、こんなに空いていて大丈夫なのかと心配になったほどだった。

このあとは順調に勝浦まで進み、勝浦駅付近で少し渋滞したものの、巣鴨を出るときにカーナビが示していた到着時間とほぼ同じ13時45分に目的地であるギャラリー洋陽社に着いた。

ギャラリー洋陽社は開店して10年以上になるのだそうだ。場所が朝市通りということもあり、朝市の客が立ち寄ることも多いとのことだが、私が店にお邪魔していた1時間半ほどの間に地元の常連客と思しき人が入れ替わりで2人来店し、それぞれに買い物をしていかれた。私も今回は自分の先生の作品をひとつ手許に持っておきたいと思って遥々やって来たので、「社長」と呼ばれている店の人とあれこれ話をしながら、じっくりと作品を拝見させて頂いた。結局、内側が透明釉で外側が鉄釉の小さな湯呑をひとつ購入した。内も外も鉄釉という作品が多かったのだが、私の場合はコーヒーを飲むのに使いたかったので、内側が黒っぽいのはコーヒーの色がわからなくなってしまうので困るのである。内が黒くてもよいのは酒とか抹茶であろう。小さな湯呑を買うことを決めるのにさんざん時間をかけ、3つあった湯呑のなかのどれにするかで、さらにさんざん時間をかけた。当然のことだが、ひとつひとつ作るので同じものは無いのである。形や大きさはほぼ揃っていても、釉の景色は微妙に異なる。なにがどうというのではなく、結局はなんとなく気に入ったものを選ぶことになる。

昼食がまだだったので、ギャラリーの「社長」にお勧めの店をうかがい、その隣の寿司屋で握りを食べた。そのお勧めが既にランチの営業を終えてしまっていたからだ。次回は鉄道を利用するか、あるいは泊りがけで、もう少し時間の余裕を持って訪ねてみたい。

帰りは勝浦から外房黒潮ラインを北上し、一宮から九十九里ビーチラインに入る。そのまま九十九里有料道路を行き、東金九十九里有料道路、千葉東金道路と進む。九十九里沿いでは車を停めてゆっくりと風景を眺めてみたいところがいくつもあったのだが、帰りの時間が決まっているので、とにかく進むことができるうちにできるだけ東京に近づいておかなくてはいけない。

房総半島を無事に横断し京葉道路へ入るところで帰路最初の渋滞にはまる。ジャンクションを起点にした自然渋滞なのだが、自然渋滞があるということは、交通量が道路の容量を超えているということでもある。京葉道路に入って、少し流れたが穴川あたりからは完全なる渋滞だ。のろのろと宮野木まで進み、東関道に入って再び流れ出す。幕張のサービスエリアで少し休憩。ここからは順調に進むが首都高湾岸線から9号線に入るとやがて箱崎の渋滞になる。箱崎の渋滞はほぼ毎日終日なのだが、このあたりまで来てしまえば、一般道に降りても巣鴨まではすぐなので、渋滞の列には並ばずに福住で首都高を降りてしまう。

休日の夜の都心の道路はがらがらだ。隅田川を越え、秋葉原の手前から神田川沿いに水道橋へ進み、そこからは白山通りで一気に西巣鴨まで。ガソリンスタンドでガソリンを満タンにして巣鴨へ戻り車を返却する。出発してから11時間半が経過していた。30分の余裕を持って今日の全行程を無事に終了。駅へ行って、最近できたばかりのアトレのなかにある無印カフェで明日の朝に食べるパンを買い、駅前のデニーズで夕飯を食べて帰る。デニーズは滅多に利用しないのだが、ナナコのクーポンを事前に入手しておいたので、それを使おうと思ってデニーズにしただけのことだ。

連休は残すところあと1日。明日は通常通り木工の日。