くまドン旅日記

写真が趣味です。自然の風景、旅行、歴史に興味を持って撮影を続けています。

名所江戸百景178 第88景 王子瀧の川 石神井川の桜並木

2014年04月07日 07時55分47秒 | 名所江戸百景
こんにちわ、「くまドン」です。

 前回の北区(きたく)の王子(おうじ)の桜の続きで、今回は石神井川(しゃくじいがわ)の花並木風景です。
 飛鳥山公園の撮影後、石神井川に戻り上流に向かいます。北区では、この付近の石神井川を音無川と呼んでいます。川面は残念ながら、3面コンクリート張りですが、川沿いに桜並木が続きます。桜も散り始め、石神井川の流れにも桜の花びらが浮かびます。

 石神井川を200m程歩くと、左手に滝不動がある正受院(浄土宗)があります。
 川側に入口が無いので、路地を曲がります。気をつけないと通り過ぎてしまいます。

 江戸時代には王子付近は滝が多かった場所です。この滝不動のあった所にも、正受院本堂裏から石神井川に下る坂の途中に、不動の滝と呼ばれる滝がありました。室町時代に正受院の庵(いおり)を草創した僧侶(大和国の学仙坊)が、石神井川が増水した後の川から不動の霊像をすくいあげたことから、不動尊が祀られていました。
 「江戸名所図会」には、不動の滝を以下のように説明しています。
 「正受院の本堂の後、坂路を廻り下る事、数十歩にして飛泉あり、滔々(とうとう)として消壁に趨る(はしる)、
     此境ハ常に蒼樹蓊鬱(おううつ)として白日をささえ、青苔露なめらかにして人跡稀なり」

 下の絵は、広重の名所江戸百景「第49景 王子不動之滝」です。

 この絵の滝は、王子を流れる現在の石神井川にあった不動の滝(ふどうのたき)を描いたものです。
 現代においては、石神井川は洪水対策により、コンクリート護岸に覆われているので、昔の面影はありません。
 絵の説明は、「名所江戸百景035 第49景 王子不動之滝 名主の滝」しましたので、そちらをご覧ください。


 正受院から100程歩くと、音無さくら緑地という公園があります。

 また、江戸時代の石神井川は蛇行した川でしたが、河川改修で直線化されています。

 この公園は右に書いてあるように蛇行していた石神井川の川道に造られた公園で、公園の奥には江戸時代からの川の地面の露出した護岸が残されている貴重な場所となっています。

 下の写真は、音無さくら緑地の写真です。その他に吊り橋もあります。


 音無さくら緑地の50mに紅葉橋と金剛寺(こんごうじ、真言宗)があります。現在は桜が美しい所ですが、江戸時代は紅葉の名所でした。

 紅葉橋のすぐ上流左手は青い屋根の金剛寺です。その先に見えるのは、「音無もみじ緑地」です。

 8代将軍・吉宗(よしむね)が飛鳥山(あすかやま)に江戸の人が花見のため桜の木を植えるように命じたのは有名ですが、同じく、吉宗の命により、この付近にはカエデが植えられました。金剛寺も紅葉寺(もみじでら)の別名があります。
 ここの仏像は色々あるのですが、結構、特徴のある仏像です。

 金剛寺は、弘法大師(こうぼうだいし、空海)が遊歴した際に創建されたと伝わり、弘法大師自ら不動明王像を彫って安置したと云われる像が本尊らしいです。後ろの石碑に「弘法大師」の文字が見えます。
 金剛寺の本堂から紅葉橋の方を眺めた景色です。手前の緑屋根のお堂が弁天堂です。

 鎌倉幕府の初代将軍・源頼朝(みなもとよりとも)が、平氏打倒の為、房総(現在の千葉県)から隅田川を渡って武蔵国(現在の東京都・埼玉県)へ攻め入るときに、この金剛寺あたりに陣を張ったといわれています

 下の絵は、広重の名所江戸百景「第88景 王子瀧の川」(秋景)です。

 まず、この付近は、「源平盛衰記」に「滝野川松橋」という場所として書かれていて、この付近の地名を「滝の川」と呼ばれていました。王子滝の川は、金剛寺付近の石神井川(音無川)付近を指しています。
 この絵は、金剛寺の石神井川・上流側から、岩屋弁天、金剛寺、弁天滝を眺めた絵です。紅葉が赤黒いですが、絵の顔料が参加して黒っぽくなったもので、元は鮮やかな赤い紅葉が描かれていました。
 王子付近の石神井川は「王子七滝」と呼ばれるように滝が多い所でした。この絵に描かれている滝も、「王子七滝」の一つである「弁天の滝」を描いています。滝の水に打たれる人などが様子が見てとれます。崖下の赤い鳥居の洞窟(どうくつ)が岩屋弁天で、右上の建物が松橋弁天社の本尊です。現在の金剛寺にある弁天堂です。
 絵の奥には、松橋と左岸の王子神社に続く道の途中に茶屋が見えます。

 下の写真は、石神井川の対岸上流側から金剛寺の撮影した写真で、広重の絵に近い方向から撮影した写真です。「くまドン」は、なるべくコンクリート護岸を入れたくないので、音無もみじ緑地と桜、金剛寺で画面を構成しました。

 この写真を、広重の名所江戸百景「第88景 王子瀧の川」に対応する「くまドン板」の景(確定・春景)とさせていただきます。
 (このプログは、名所江戸百景の現代版である「くまドン版」を作ることを第一目標としています。)

【石神井川(別名は音無川、王子川、滝野川、大川)の水源】
(1)現在の水源は、なんと「小金井カントリー倶楽部」というゴルフ場敷地内の湧水を水源だそうです!
 昔は、さらに西の小平市にある鈴木小学校の敷地に水源があったそうです。
 上流部の小平市と西東京市を流れる水源は、雨水を除けば湧水だけになりますので、流量は少ないです。
 石神井川は練馬区(ねりまく)に入ると、武蔵関公園(むさしせきこうえん)にある富士見池の湧水を合わせて流れて行きます。この流れは、以前は大川と呼ばれ、石神井川の支流とされていました。

 音無もみじ緑地には桜(ソメイヨシノ)だけでなく、ヤマモミジ、サザンカ、オトメツバキ、ヤブツバキが植えられています。


(2)石神井川の昔の本流は、練馬区にある石神井公園の三宝寺池を水源としていました。同じ公園の石神井池は昭和8年ごろに三宝池からの水を堰き止めて造られた人工の池です。現在では湧水が減少して、石神井川と切り離されてしまい、大川の方が本流となってしまいました。
 現在は、地下水を揚水して水位を保ち、石神井池と三宝寺池との間を浄化した水を流す事により環境を維持しています。
 (最近、都心の地下水位が上昇して問題化している記事がありましたが、この付近は影響なしか・・・・・・?)
 さらに途中に通過する豊島園池などの湧水を合わせて、王子付近では流量を増してきます。

 ドバト(カワラバト)がいたので、一枚撮影です。


(3)このように水源地の湧水量減少が問題になっている石神井川ですが、さらに流量の減少に拍車をかける計画があり、問題になっています。
 外環道(東京外かく環状道路)の西側(関越道~中央道~東名道)を結ぶ計画です。
 「くまドン」は詳しくは知らないのですが、調べた範囲・「くまドン」の考えられる範囲でお話しします。
 東京西部の武蔵野台地の地下水脈は、西の多摩地区から東の都心方向へと、西から東に流れています。
 この土地を南北に貫く外環道は、住宅密集地であるエリアを通す為に、地下に建設することになります。
 この為、外環道が地下水脈を遮断してしまう結果になるのです。まともに考えれば、外環道が地下水を遮断した結果、西(上流)側は地下水が堰き止められ、地下水位が上昇して、構造物への影響が発生し、東(下流)側は地下水が激減して、地下水位が減少した結果、湧水の枯渇・減少や地盤沈下が発生することになります。
 特に石神井川の元水源であった三宝寺池は外環道計画線のすぐ東側で地下水位の減少が顕著で影響大です。他にも外環道の東側には小さな水源が点在しています。
 また、外環道は南の東名道まで貫くので、他にも神田川などの東京西部を水源とする河川にも影響を与えます。
 一応、国土建設省側は、地下水流動保全工法(地下水を下流側にバイパスさせる)を検討しているようですが、長年の使用による目詰まりや経年劣化が考えられ、問題は残りそうです。

 金剛寺のすぐ隣は「音無もみじ緑地」です。ここも蛇行した旧河道を利用した人工のすり鉢状の公園ですが、洪水対策で垂直直立コンクリート護岸が続く他の場所に比べれば、なんとなく、ほっとする所です。一応、この公園も集中豪雨など洪水時は、遊水池の役割を果たしています。


 なるべく地下水脈を切らないで建設できれば最善ですが、地下40m以上の大深度地下と聞いていたのですが、殿付近を通るのでしょうか・・・・?ジャンクションやインターチェンジ付近は浅くなると思いますが・・・
 ちなみに、武蔵野台地の外環道付近の地層は、一番上の浅い層は有名な関東ローム層(10m程の厚さの粘土層)で火山灰が積もった水の通し難い層です。
 その下に武蔵野礫層(10m程の厚さ)という武蔵野台地が扇状地(せんじょうち)だった頃の層があります。この層は礫(れき、目の粗い大きめの砂)や石で水を通し易く、浅い層の地下水がが流れています。
 さらに下には、非常に硬い上総層群と呼ばれる砂質土層、粘土層が交互に重なっていて、この部分にも、深い層の地下水脈が流れています。

 親水護岸なので下まで近くまで降りられますが、手を伸ばしても水面に近づくのは、これがやっとでした。
 たまたまですが、ハトが飛んでいる所が撮影できました。正面右外が金剛寺です。

 石神井川の上流で散った桜の花びらが、ゆっくりと静かに流れていきます。
 春が来たと思ったら、あっという間に桜の季節も通り過ぎて行きそうです・・・・・・・・・

 それ以外にも外環道の西側計画は、中間のインターチェンジの建設や住宅の立ち退き、車の排ガス処理など、問題が多そうです。
 (「くまドン」は、外環道の目的は都心の環状線の渋滞緩和で、中間のIC(インターチェンジ)が少ない方が
 車の流れが良くなるので、地元が中間ICを要らないのであれば、IC建設を中止した良いと思うのですが・・・・
 現在でも中央高速の高井戸ICは住民の反対で首都高速側の出入り口がありませんしね。)

以前の王子のブログは、
 「名所江戸百景176 第19景 王子音無川堤棣 王子・音無親水公園の桜」
 「名所江戸百景177 第17景 飛鳥山北の眺望 飛鳥山の桜満開」
 「名所江戸百景034 第18景 王子稲荷の社 北とぴあ」
 「名所江戸百景035 第49景 王子不動之滝 名主の滝」
 「名所江戸百景109 第18景 王子稲荷の社 北とぴあ 夕暮れ」
 「名所江戸百景134 第118景 王子装束ゑの木大晦日の狐火 王子の狐」


 最近の外環道建設の流れですが、その時の政権の状況で勝手に決められています。
 平成18年に外環道沿線の6区市町(杉並区、武蔵野市、三鷹市、調布市、世田谷区)から国・都に他の問題も含めた意見書が提出して回答を受けるなどがありました。
 平成19年に外環道西側の関越道~東名道間環境評価を踏まえて、高架方式から大深度地下方式に計画変更。
 平成21年に石原元都知事が自民党政権時に関越道~東名道の事業着手を要請して、計画策定が行われる。
 同年に民主党政権が誕生して、補正予算見直しにより、測量設計費を除く71億円の内、66億円の予算を凍結。
 平成23年、平成24年に着工して、東京都が目指す2020年東京オリンピックに完成させる方針を決定・着工。
 (この当時は、まだ、民主党の野田政権でしたが、官僚に任せたので、凍結が解除された模様)
 昨年の平成25年に2020年東京オリンピック開催が決まりました。


 また、脱線です・・・・・・
 こういう事を書いても、風景写真や歴史関連の雰囲気で、このブログ見ていただいている人の気分を下げるだけなので、書かない方が楽しい事は分かっているのですが、個人ブログですので、自由に書かせていただきます。
 (他にも気分が重くなるので、1月・2月に作らなかったブログがいくつかあるのですが・・・・)

 「くまドン」は、オリンピックに便乗して、政治家や官僚が全然関係ない所や地方で「2020年までに○○○完成」とデタラメな理由や、「景気対策」や「大規模災害防止」で予算獲得しようとして、過大な公共事業と財政赤字を膨らませているのに腹立ています。
 長い年月で、決められた限られた予算を効率的に使わなければならないはずなのに、政治家と企業の都合でさんざん使いつぶし、その赤字を国民に押し付ける筋合いは無いです。
 消費税10%どころか8%も認めません。5%に戻してください。
 国家予算の歳出も必要だとの理由による公共事業の増加は認めません。以前の減らした歳出まで予算を激減させてください。最近では、公共事業をやる為の口実作りで、外国人労働力を使うとか言い始め、日本国民の生活や負担も考えずに公共事業目的だけ一生懸命なの見て、こんなろくでもない連中が政策を決めているのかと腹を立てています。
 法人税減税も一切認めません。業界の利益を代弁する政治家を見て、嫌気がさしています。政治家や業界の甘えた考えで、企業の多額飲食費を経費として認めさせた法律改正にも呆れてます。(当然、反対です。)
 (何度も書きますが、「くまドン」は無党派層ですから、政党には無関係です。)


 今回は、王子の桜は、これで終了とさせていただきます。
 「くまドン旅日記」のブログを見ていただきありがとうございました。

 「くまドン」の家の近くの桜も散り始めてしまいました。道の桜の花びらが風に舞っています・・・・・
 (今年の「くまドン」はブログ作るのがやっとで、どこかに桜を見に行く時間がありませんでした。)
 「くまドン」のブログでも紹介しましたが、皇居の桜は、普段は入れない坂下門から乾門までの道が一般公開になり、満員御礼で大変だったみたいです。

 桜の景が2景残っていますが、次回は、王子の前に飛ばした皇居の東御苑の予定です。

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