くまドン旅日記

写真が趣味です。自然の風景、旅行、歴史に興味を持って撮影を続けています。

名所江戸百景088 第92景 木母寺内川御前栽畑 向島百花園の月見

2013年09月10日 07時55分33秒 | 名所江戸百景
こんにちわ、「くまドン」です。

 今回は、月見(つきみ)です。場所は墨田区の向島百花園(むこうじまひゃっかえん)です。(青字訂正)

 向島百花園の月見のお供え式は、9月18日(水)です。(他の所では、9月19日(木)の所もあります。)

【月見】
 月見は旧暦の8月15日頃の夜に行われる十五夜(じゅうごや、月齢なので満月の日)のお月さんを見て楽しむ習慣です。
 日本では古くからある風習で、「竹取物語」や月面の模様を「餅をつくウサギ」に見立てることなどが有名ですね。
 現代は、アポロ計画で宇宙船が月面に到着している時代ですから、あまり夢はありませんが、
 涼しくなって、空気が澄んでくると秋の夜長に浮かぶ月は撮影の良い材料になります。
 現代の月見はススキ(薄)を飾って月見団子・里芋・枝豆・栗などを置き、御酒(みき、神に供える酒)を供えて月を眺めます。
 今年、平成25年の十五夜は、9月19日(木)です。
 月齢の満月は、月によって、13.8日~15.8日の間で変動しますので、考えようによっては、1日ずれます。
 旧暦は月齢なので、1年が約354日しかなく、閏月(うるうづき)を入れて調整しますので、新暦では毎年、日が変わります。例えば、昨年の平成24年は、9月30日、来年の平成26年は、9月8日、平成29年は直近で最も遅く、10月4日となります。

 【向島百花園】 入園料150円、通常の開園時間は、9:00~17:00(月見の会中は21:00まで)
 都立公園で、早春の梅と秋の萩で有名。隅田川七福神の「福禄寿」があります。最寄駅は東武伊勢崎線東向島駅
 向島百花園は、四季折々、多様な花が咲きますが、最も有名なのが、この萩のトンネルです。

 トンネルの中は、こんな感じです。(明暗比が大きいので、絵画調を使用)


 11代・家斉(いえなり)の文化年間に、仙台出身の骨董商(こっとうしょう)が、「多賀屋敷」と呼ばれた旗本(はたもと)の屋敷を購入して、梅を植え、梅園を始めましたのが、向島百花園の始まりです。
 その後、江戸時代には、多くの文人墨客が訪れるようになり、その言葉により、詩歌にゆかりが深い草本類を植えたことから、「百花園」と呼ばれて、にぎわいました。

 百花園内には多数の野草が植えられ、とくに秋の七草(ハギ・キキョウ、クズ、フジバカマ、オミナエシ、ススキ、ナデシコ)や、秋の草花の美しさで知られています。また、池や石碑なども配置されています。
 下の写真は、秋の七草の一つフジバカマ(藤袴)です。


 「百花園」の評判が上がると、11代・家斉(いえなり)、12代・家慶(いえよし)が立ち寄り、その事により、さらに人気が上がりました。
 明治になっても民営の花園として、にぎわいましたが、周辺地域の近代化と、明治43年の洪水の被害により、枯れる草木も出てきて、経営難に陥りました。
 大正4年に名所が消える事を惜しんだ日本の石油王と呼ばれた小倉常吉氏が百花園を買取りました。
 昭和14年に、東京市(現在の東京23区)に譲渡され、都の公園となりましたが、戦災で焼失。
 昭和24年に、「百花園」として再開されて、往時の風情を残し、現在に至っています。

 秋の七草以外の秋の花も多く、池や石碑を絡めて構成できるので、撮影し易いです。
(絵画調)


 お供え式が終わり、月が昇るまで、静かで、美しい篠笛(しのぶえ、竹笛) の音を聞きながら待ちます。
 (周囲が住宅街なので、月が木の上に見えるまで時間が必要です。)
(絵画調)


【江戸時代の月見】
 旧暦の秋は、7月(初秋)・8月(仲秋)・9月(晩秋)となり、新暦では8月~10月頃です。(旧暦は年によって、新暦に対して、1カ月程変動します。)
 江戸時代から、民衆の間に広まり、月見が行事や宴会になる過程で、日本独特の形になっていきました。
(1)二十三夜待ち (旧暦7月23日の月見)
 月の出が遅い時間になるので、真夜中に月出るのを待って、それまで宴会やっていたそうです。
 元々は、月待講(つきまちこう)と呼ばれる民間信仰(月が出た時に、月光の中にある阿弥陀(あみだ)、観音(かんのん)、勢至(せいし)の三尊を拝む)だったそうです。その後、宴会目的で月見をする人も増えてきたようです。

 やっと、月が出ました。この後、すぐ、月が雲に隠れてしまいました。ぎりぎり、セーフです・・・・(汗)
 笛を吹く女性と、手前のお供え物では、明るさが違いすぎます。暗い部分を明るくすると、画像が見づらくなりますので、あまり明るくできません。これが限界のようです。

 この写真を、広重の名所江戸百景「第92景 木母寺内川御前栽畑」に対応する「くまドン板」の景(確定・秋景)とさせていただきます。
 (このプログは、名所江戸百景の現代版である「くまドン版」を作ることを第一目標としています。)

(2)十五夜(旧暦8月15日の月見)
 現在の月見です。サトイモ(里芋)の収穫期に当り、お供え物にするので、「芋名月」とも呼ばれます。
 月見団子やススキは、江戸中期から供えるようになりました。さらに、ススキは江戸の風習で、京阪にはありません。

 絵行灯(えあんどん)にも灯り(あかり)がつき、スカイツリーのライトアップと競演となります。


(3)十三夜(じゅうさんや、旧暦9月13日の月見、後の月)
 江戸時代は、十五夜だけの月見は「片見月(かたみつき)」といって良くないとされ、十三夜の月も見るべきとされた。枝豆を供えるので「豆名月」、または、「栗名月」とも呼ばれます。
(4)上に出てきた、月待講の月待ちは、他の時期にもあったらしく、「霜月三夜」など色々な形があったようです。
 なお、講(こう)とは、同一の信仰を持つ人々による組織・団体を意味します。

 お供え式が一段落すると、地元の琴(こと)団体の演奏が始まります。
 有名な「六段の調べ」他、優雅な音色が奏でられます。


(絵画調)

 月見の会の時は、百花園内で、おでん等の軽い食事を販売しています。

 下の絵は、広重の名所江戸百景「第92景 木母寺内川御前栽畑」(秋景)です。

 木母寺(もくぼじ、現在の墨田区堤通(つつみどおり)にある寺)から、北方向に御前栽畑(おんせんざいばたけ)を望んだ絵です。手前には、隅田川遊覧の舟から下りた女性がいます。
 木母寺は、3代・家光(いえみつ)の時代に境内に鷹狩りの宿泊所となる「隅田川御殿」が建つなど、将軍家とは縁の深い寺でした。5代・綱吉(つなよし)の時代に「生類憐みの令」で鷹狩が禁止になり、御殿は無くなりましたが、8代・吉宗になると鷹狩りが復活した為、この付近で休憩することもあったそうです。
 現在、都営住宅が屏風(びょうぶ)のように建ち並んでいる墨田区堤通2丁目付近は、東側に隅田川の分流である内川が流れていて、隅田川との間に挟まれたこの土地は島になっていました。木母寺へは、橋を渡って行くことになります。
 木母寺のすこし先に御前栽畑があり、そこで将軍家台所用の野菜類を作っていました。また、そこには、桜・桃・松・つつじ等の草木を沢山植えて、狩りとは別に、将軍が遊覧に来る時があったそうです。
 向島百花園の徳川将軍が立ち寄った理由にも、こういう背景があったわけです。

 再び、向島百花園の風景です。園内には池があり、東屋にも絵行灯が吊るされていました。
(絵画調)

 向島百花園の近く(約150m)には、白髭神社(主神・猿田彦(さるたひこ)大神)があります。墨田区の中・北部を氏子とする神社です。早めに到着した場合は、先に見て、時間つぶしになるかもしれません。

 最後に、一応、平成25年の向島百花園の「萩まつり」・「月見の会」の予定を書いておきます。
 (予定は、突然変更になる場合もあります。インターネット等で事前に、ご確認お願いします。)

【向島百花園 月見の会 (平成25年の予定です) 】 入園料は150円
 日時: 9/18(水)~9/20(金) 9:00~21:00(最終入園は20:30)
 内容: 9/18 17:00~17:30 お供え式、篠笛の演奏(演奏者 坂本真理氏)、雨天は中止
      期間中毎日 売店で、おでん等の販売あり。
       15;00~20:00 茶会(2席2000円、当日自由参加、定員あり、場所は御成座敷)、大行列でした。
       17:30~21:00 絵行灯が園内各所で点灯、雨天は中止
       18:00~20:00 琴の演奏(栗田社中)、荒天中止

【向島百花園 萩まつり (平成25年の予定です) 】 入園料は150円
 日時: 9/7(土)~10/6(日) 9:00~17:00(最終入園は16:30)
       ただし、月見の会の開催中の開園時間は9:00~21:00です。
 内容: 9/14(土) 11:30、14:30 新内流しの公演(勝新派社中)、雨天中止
      9/15(日) 13:00~15:00 草笛体験教室(松谷茂氏)、雨天中止
      9/7(土)、9/21(土)、10/5(土) 野草ウォチング(若林芳樹氏)、荒天中止
      10月の週末にも、茶会(有料)や野草市が行われています。
      期間中毎日 萩を詠んだ俳句・和歌を募集。

 その他に、9/21(土)~9/23(月)に、秋の楽焼体験(絵付け、荒天中止)が、10/17(木)に、十三夜が行われています。

 東京タワー(こちらは、平成25年の9/19)や、お台場の日本科学未来館でも月見イベントがあります。

 今回は、これで終わりとさせていただきます。

 2020年オリンピックが、東京に決定した為、都庁だけでなく、レインボーブリッジや東京タワーなどでもライトアップが引き続き行われています。
 次回は、台場の夜景の予定です。10月に撮影した写真ですが、9月でも変わりませんので、先行してやります。

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