くまドン旅日記

写真が趣味です。自然の風景、旅行、歴史に興味を持って撮影を続けています。

名所江戸百景023 第68景 深川八幡山ひらき 深川(3)

2013年04月24日 19時00分05秒 | 名所江戸百景
 こんにちわ、「くまドン」です。

 今回は、深川(ふかがわ)の富岡八幡宮(とみおかはちまんぐう)の続きです。
 先日、休暇日に用事があり、少し時間が空きましたので、帰りに深川に行って、一部撮り直しましてきました。その為、修正が入り、更新が遅れました。(晴れている写真が先日の写真です。)

 富岡八幡宮の入り口の鳥居です。(日陰の部分を出すために、絵画調にしました。)

 左下の店に「もんじゃ焼き」の文字の半分が見えます。深川のすぐ隣は佃島です。

【深川の干拓(かんたく)】
 前々回の深川(1)で、江戸初期の江東区は、隅田川河口部の海の小島であった事をお話ししましたが、現在の深川も「永代島」(えいだいじま)と呼ばれる砂州でした。
 3代家光(いえみつ)の寛永年間に、長盛法師という人が神託を受け、干拓が開始され、この永代島に八幡宮を建てたとされています。これとは別に、横浜の富岡八幡宮(深川は横浜の直系分社)の資料によると、干拓が難航した為、波除八幡(なみよけはちまん)の異名をもつ富岡八幡宮を分霊したとの記録が残っているそうです。

 下は、深川にある現在の富岡八幡宮です。


【永代寺】
 いずれにしても、深川の干拓は成功しました。
 干拓の発端となり、富岡八幡宮(神社)を建てた長盛法師は、お坊さん(お寺)です。そこで、富岡八幡宮と干拓地の広大な敷地は、同じく長盛法師が建てた永代寺(えいたいじ)が、別当寺(べっとうじ、神社を管理する寺)として管理することになり、富岡八幡宮も、永代寺の敷地内にありました。

 下の写真は、現在の永代寺です。明治初年の神仏分離により廃寺となりましたが、明治29年に再建されています。今も富岡八幡宮より100m程左手(西側)にあります。


【深川の発展】
 富岡八幡宮(当初は永代八幡と呼ばれた)は、徳川将軍家の保護を受け、民衆には「深川の八幡様」として信仰されました。
 富岡八幡宮の近くには、正確には永代寺の門前町が発達し、駅名にもなっている現在の「門前仲町」(もんぜんなかちょう)が形成されます。さらに干拓は進み、江戸から近いことから、深川は商業地としても発展していきます。

 下の写真は、現在の深川不動尊(ふかがわふどうそん)の旧本堂と門前の店です。

 この時は、お腹が空いていなかったので、門前の店で、新名物「わらび餅」というのがありましたので、試しに買ってみました。甘みは抑え気味でしたが、結構おいしかったです。写真は、「くまドン」のお腹の中に収まっているので、撮影することができませんでした。・・・・・・・・・

【深川不動尊】
 千葉県の成田山新勝寺(なりたさんしんしょうじ)の東京別院 (べついん)です。
 元は、江戸時代に永代寺の敷地内で歌舞伎の不動明王を演じたことが原因で、深川不動堂がつくられたそうです。江戸時代は、永代寺の管理下です。

 「くまドン」が行った時は、堂内で護摩焚き(ごまだき)をしていました。火を燃やして、太鼓をドンドン鳴らしていました。堂内には、大きな不動明王像があり、見学は可能ですが、写真撮影は禁止です。

 こちらも、明治の神仏分離により廃寺となったのですが、民衆の不動信仰が根強く、明治11年に成田山不動の分霊を祭り、存続が認められました。

 深川出世稲荷の後ろにあるのが旧本堂(右)と本堂(左)です。


【深川の祭り】
 「永代寺」という名前より「深川八幡」の方が名が知られていたのは、深川八幡祭が有名だったからです。
 深川八幡祭は、江戸三大祭のひとつです。他の二つは山王祭と神田祭です。

 下の写真は、神社にある日本一の黄金神輿(みこし)です。普段でも、昼間は神社で展示されていて見ることができます。
 これは、二の宮神輿で重さが2トンもあります。別に一の宮神輿があるのですが、こちらは、さらに4.5トンもあります。両方とも装飾は豪華そのものです。


【深川の名物】
 下の写真は江戸時代からの深川名物・深川丼(ふかがわどん)です。
 富岡八幡宮の門前の店で食べた時の写真です。門前仲町を含めた深川一帯に店があります。
 アサリなどの貝類とネギなどの野菜類を煮込んだ味噌汁をご飯にかけたドンブリ飯です。お茶漬けのようで、食べやすいので、ついつい早食いになりがちです。(店ごとに、特徴があるので、細かい説明は不可能です。)
 食べる寸前に、撮影する事を思い出し、なんとか食べる前に撮影が間に合いました。

 江戸時代、深川は隅田川の河口部にあった為、漁業が盛んでした。魚貝類が多く獲れ、簡単に作れた為、深川の漁師の間で食されていました。
 この歴史ある深川浦漁業組合は、昭和37年解散しましたが、今でも、深川祭りの時には、深川の有志の方々により「深濱」と書かれた神輿と大漁旗が登場します。「深濱」だけは町名ではなく、漁業組合を意味します。(町内の神輿の中では最も重く、1トンもあるそうです。)

 下の絵は、名所江戸百景「第68景 深川八幡山ひらき」(夏景)です。

 この絵は、現在の江東区深川にある永代寺の庭園を描いたものです。
 (深川八幡の方が有名の為、こちらの名前が使われているそうです。)
 江戸時代の風景画の特徴である俯瞰(高所から下を見下ろす)で描かれています。
 正面に池と橋、築山(つきやま、人工的に造った山)が配置された大きな庭園です。
 池の岸辺を波状形に入れながら、遠近法(遠くのものを小さく)で距離感を持たせています。池の一部の左右を絵から切ることで、空間に広がりを持たせています。
 江戸時代の風景画は、旅行パンフレット的要素もありました。人や桜(桃色)、つつじ(赤色)を点景として、庭園の情感を与えると同時に、橋と人の配置から築山までの道が分かるようにもなっています。

 この風景に近い場所が、富岡八幡宮の近くを探しましたが、境内右手に七渡神社(ななわたりじんじゃ)がありました。七渡神社は、富岡八幡宮を建てる前から地主神と祀られていて、「七渡弁天様」と呼ばれていたそうです。併せて祀られている粟島神社(あわしまじんじゃ)は、女性の守り神とされていて、2月8日には「針供養」が行われるそうです。


 いろいろ構図を考えてみましたが、七渡神社と赤い橋を2つ入れて、ツツジはありませんんでしたが、藤が咲いていたので、これも入れて、やや俯瞰気味に撮影しました。

 この写真を名所江戸百景「第68景 深川八幡山ひらき」に対応する「くまドン版」の景(確定、夏景)とさせていただきます。(このプログは、名所江戸百景の現代版「くまドン版」を作ることを第一目標としています。)

【名所江戸百景のツツジ】
 さて、以前、このプログ「名所江戸百景016 根津神社のツツジ」で「何故、名所江戸百景にツツジが無いのか?」と悩んでいましたが、この絵の赤い花がツツジのようです。以前、この絵を調べた時に気がつきました。
 それまでは、絵の手前にある桜を見て、ツツジでは無いと思ってしまいました。
 くまドンの「桜(ソメイヨシノ)が散ってから、ツツジが咲く」という先入観念による間違いだったのです。(・・・汗)

 花の時期は違うのですが、名所江戸百景では、実際にはありえない花の組み合わせを1枚の絵に収める方法は他の絵にもありました。ツツジが山ひらきの時に咲いていた花で、桜が絵に加えたものと言われています。
 絵を見ると、池を挟んで、手前が桜(春)、奥がツツジ(初夏)となっていますので、池の両側で季節がずらしてあるようにも見えます。春から初夏への季節の移り変わりを表現しているのかもしれません?(桜の時期に庭に入れたかどうか不明ですが・・・)

 江戸時代、この庭園は普段は非公開でした。ただし、毎年、旧暦3月21日の空海の命日から数日間だけ一般開放されていました。これを「山開き」と呼んだそうです。

 しかし、なぜ夏景であるのかは謎です?
 (また間違えて、恥はかきたく無いのですが、あえて、くまドンは、冒険的に謎を出していきます。)

 空海の命日の旧暦3月21日は、新暦でいえば、西暦835年4月22日だそうです。
 旧暦では1月~3月は春ですが、何故か名所江戸百景では夏景(旧暦の4月~6月)に当てられています。

 旧暦に合わせて山開きの日が決まっているならば、新暦約365日に対して、旧暦(月齢約30日×12月=約360日)は毎年5日程度ずれていき、何年かに一度、閏月(うるうづき)を挟むことにより、季節のずれを調整しています。
 調べてみたのですが、広重が生きていた頃は、天保暦(てんぽうれき、1844年~1872年(明治5年)まで29年間)が使用されていました。西洋の太陽暦の考え方が取り入れられて、閏月の置き方が複雑になった為、正確な月日を判別することができませんでした。・・・・・???
 天保歴より前の旧暦の3月21日は、現在の4月中旬から5月上旬までの季節に差があります。この時期は現代のツツジの開花期にあたります。その意味では、夏景(ツツジ)で正しいのかもしれません。
 桜の方はどうかと言えば、例年になく桜の開花が遅れた昨年2012年でも4月10日頃には桜(ソメイヨシノ)は散ってしまいました。
 咲いていない桜を入れたという説が正しいのでしょう。しかし、色々考えてみると、桜の品種(遅咲き)が異なるのか?小氷期の最後にあたる江戸時代安政年間は春が遅かったのか?・・・・・・・興味が次々に生まれ、謎がつきません。

 先人のプログの真面目な方の調査は確かであり、否定する気は無いのですが、あえて、「くまドン」では謎を出していきます。

 長くなりましたので、今回はこれで終了です。ありがとうございました。
 次回も、深川の話の続きです。


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