平成19年度刑法第1問の早すぎた構成要件で、乙の罪責がよく分かりませんでした。
簡単に書くと、
Xを殺害するため、甲と乙が薬剤で昏睡させ、海に投棄して殺害する計画を立てた。
甲と乙は、薬剤をかがせ、昏睡にした。
乙は、止めようと甲に懇請したが甲に殴られ気絶した。
甲は、Xをでき死させる意思で、海に投棄した。
しかし、Xは薬剤をかがせた時点で死亡していた。
この時の甲の罪責は、殺人罪についても認められるか問題がありますが、例えば認められたとします。
そうだとしても、乙も殺人罪の共同正犯とし得るかが疑問です。
甲に殺人罪を認めるのは、まず、殺人の実行行為を、第一行為は、第二行為を行うために確実かつ容易に行うため必要不可欠であり、第一行為と第二行為の間に障害となる事情がなく、密接関連行為として全体として一個の行為と解します。
そして、第一行為の時点で、具体的現実的法益侵害を惹起したといえるから、実行の着手ありとします。
さらに、第二行為の時点で殺意があったとしても、実行行為全体と最終的結果について認識し実現する意思があれば、全体として殺人の故意があったと認められるからだと思います。
さて、乙については、薬剤をかがせた時点で殺人の故意はなく、その後も海に投棄しておらず、殺人の故意がない。
とすると、実行行為全体と最終的結果について認識し実現する意思を欠くのではないでしょうか?
それなのに、共同正犯として殺人罪とするのは、何だか変な感じです。
殺人罪の故意を欠き、傷害致死罪の限度で共同正犯が成立とするのは、ダメなののかなぁ??
簡単に書くと、
Xを殺害するため、甲と乙が薬剤で昏睡させ、海に投棄して殺害する計画を立てた。
甲と乙は、薬剤をかがせ、昏睡にした。
乙は、止めようと甲に懇請したが甲に殴られ気絶した。
甲は、Xをでき死させる意思で、海に投棄した。
しかし、Xは薬剤をかがせた時点で死亡していた。
この時の甲の罪責は、殺人罪についても認められるか問題がありますが、例えば認められたとします。
そうだとしても、乙も殺人罪の共同正犯とし得るかが疑問です。
甲に殺人罪を認めるのは、まず、殺人の実行行為を、第一行為は、第二行為を行うために確実かつ容易に行うため必要不可欠であり、第一行為と第二行為の間に障害となる事情がなく、密接関連行為として全体として一個の行為と解します。
そして、第一行為の時点で、具体的現実的法益侵害を惹起したといえるから、実行の着手ありとします。
さらに、第二行為の時点で殺意があったとしても、実行行為全体と最終的結果について認識し実現する意思があれば、全体として殺人の故意があったと認められるからだと思います。
さて、乙については、薬剤をかがせた時点で殺人の故意はなく、その後も海に投棄しておらず、殺人の故意がない。
とすると、実行行為全体と最終的結果について認識し実現する意思を欠くのではないでしょうか?
それなのに、共同正犯として殺人罪とするのは、何だか変な感じです。
殺人罪の故意を欠き、傷害致死罪の限度で共同正犯が成立とするのは、ダメなののかなぁ??
なのに、
「乙については、薬剤をかがせた時点で殺人の故意はなく」
となるのはなぜでしょうか。
Xを海中へ投棄する前までは、甲と乙の認識に齟齬はありません。
上記時点での乙の殺人の故意を否定するのであれば、甲の殺人の故意はどうなりますか?
「実行の着手」の時点で、「殺人罪の故意(殺意)」がなければ、そもそもそれは「殺人罪の実行の着手」になりませんよね。
甲に殺人罪の成立を認める理由を検討してみてください。
コメントありがとうございます。
なるほど~。そうですね。
実行の着手は、
実質的客観説=現実的・具体的に法益侵害の危険を惹起する行為を開始した時
故意考慮説=故意・過失を考慮する
に立ちます。
そして、甲は、殺人の計画を意図しており、薬剤をかがせた時に
客観的に具体的現実的法益侵害の危険性はあるため、
実行の着手が認められる。
そして、第一行為と第二行為を一連の行為として、一個の殺意が
貫かれており、故意に欠けることはない。
乙にしても、殺人の計画を意図しており、薬剤をかがせた時に
客観的に具体的現実的法益侵害の危険性はあるため、
実行の着手が認められる。
そして、その後、第二行為を行う時に殺意がなかったとしても、
甲と共同正犯であり共犯の離脱が認められない以上、一連の行為は
乙に帰責できる。
第一行為の時点で実行の着手を認め、結果が発生し、因果関係が
あり、因果関係の錯誤があっても因果経過が相当因果関係にあれば、
故意は阻却されなず、共犯の離脱が認められない以上、乙にも
殺人罪の共同正犯が認められると思いました。