男の料理指南

知人がくれたレシピを紹介します。
アレンジも含めた男の料理です。
じーじが娘と孫に残したいレシピ

なまこをおろす

2009年01月06日 | 魚介類
暮れの29日、なまこを三尾いただきました。
大きな立派な、活きの良いなまこは3尾で500gありました。

なまこの旬は冬、いまが食べごろであります。
わたしのふるさと、山口・平生は、古くからなまこの好漁場でした。
とにかくたくさん獲れて、しかもおいしい。
副産物の「このわた」=なまこの腸の塩辛、それに干した「くちこ」、
これは、なまこの卵巣を、干したもので、地元でも珍品でした。
なまこを茹でて干したキンコ=いりこ、中華食材の産地でもありました。

こどものころ、冬の時節のおかずは、とにかくなまこが多かったですね。
なぜかと言うと、安いからでした。
漁港に行って、ちょいと笑えば、なまこの2~3ばいにありつける・・・
ただでもらえたものでした。それくらい、豊富で安いさかなでした。

なまこの腸から取れる「このわた」は、1キロのなまこから20g、
「くちこ」と言う卵巣は、1キロのなまこから3gしかとれないそうで、
なまこそのものの漁獲量が減った昨今、高価になるはずです。
たくさんとれた頃は、冬になると実家から、樽入りのこのわたを
いくつも送ってもらって、暖かいごはんのおかずにしました。
いま、考えたらぜいたくのきわみであります。

ちなみに、このわたは、うに、からすみと並んで、日本の三大珍味と
されています。くちこと言う卵巣を干したのは「ばちこ」とも言います。
干した形が、三角形=デルタ状になって、三味線の「ばち」に似た
ところから、この名前がつきました。昭和も30年代のころは、漁港に
干した「ばちこ」を見つけて、分けてもらいました。

10枚が300円くらい、当時でも信じられない安さでした。
数年前に、おなじ店で見たら、1まい1700円でした。
おなじころ伊丹空港の店で、4~5000円の値札がついていました。
この頃は、空港でも、くちこの姿さえ、お目にかかれません。

ところで、なまこは、漢字で「海」の「鼠」と書きます。
魚体の形が、ねずみに似ているとされたのでしょう。

英語ではsea-slug(なめくじ)、sea-sausage、sea-cucuber(きゅうり)と
いいますが、けだしよい表現とおもいます。

なまこは古くから、滋養強壮薬、皮膚病薬として用いられたと言います。
手許の食品成分表で見ると、100gのなまこの92,2%が水分で、
熱量は23Kilocal.あと目立つのはマグネシュ-ム160mgくらいで、
栄養的な価値はほとんどない・・・と書いてありました。

「鰯の頭も信心から」・・と言いますから、効くと思えば効くのでしょう。

なまこは、人によって好き嫌いが激しい・・・好きな人はとことん好きで、きらいな人はみるのもきらいと言います。
わたしは、瀬戸内のそだちでなまこは、生のものから、このわた、このこ=くちこ=なまこの卵巣、みんな好きです。
漱石の、我輩は猫であるの中に、はじめてなまこを食べた者は親鸞の再来で、ふぐを食べた者は日蓮の分身である、
という意味のことをかいたくだりがあります。たしかにグロテスクな魚体を食用にするには、勇気が要ったことでしょう。
なまこの腸を、塩漬けにした「このわた」の塩辛は「うに、からすみ」と並び、日本三大珍味の一つとされ珍重されます。


なまこをおろすのは、はら側をたてに包丁を入れて切り、
はらわたをとりだして、口のところを切り落として、うすく
そぎ切りするが、身が厚いときは、たてに薄切りにする。

薄切りしたら、しょうゆ、ポン酢、大根おろしなどと
合わせてたべます。
しょうゆだけでもおいしいし、酢しょうゆとだいこんおろしと
あわせたおろしポン酢と和えてもおいしい。
ポン酢だけであわせてたべるのもおいしいです。

コリコリした歯ざわりが良い・・・と言う人があると思えば、
なまこは、噛まなくても、蕎麦を食べるように、つるりと
飲み込むのがたまらなくおいしい・・というひともいます。
食べ方は、人それぞれなのでしょう。


ポン酢の作り方
水90ccに削りかつおをと昆布を10gづつを弱火で煮て冷ます。
冷めただしをペーパーでこしとって、淡口しょうゆ大さじ2を加える。
鰹まるなどで下味をととのえたのと、米酢を等量をあわせる。
米酢の代わりに橙などの柑橘酢を使うとさらにおいしい。


写真の500gのなまこは3つありましたが、腸を出したら正味350gになりました。
はらわた(腸管)は80g、腸のどろをきれいにしごいて珍味のこのわたをとりだすと、
残りは10gしかとれませんが、ポン酢で和えると酒のさかなに最高でした。

コメント
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