工藤鍼灸院・院長のひとりごと2

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激しく安全にプレーさせるには・・・

2012年05月24日 20時44分08秒 | アメフット馬鹿
娘の寝言に答えるのが就寝前の日課です。
どうもこんばんは、院長でございます。



昨日はプロボウルの開催をめぐるフットボールの危険性に関するお話を少しだけしましたが、今日もそれに関連するお話をしてみたいと思います。



ご存知の通り、フットボールは危険と隣り合わせのスポーツです。
いかにして選手の安全を確保するか。これに関してはずいぶん昔から議論されて来た問題でございます。

1905年にはアメリカ国内においてフットボールによる死者18名、重傷者159名を出し、当時のルーズベルト大統領が「もっと安全な競技にしないと禁止にする」とコメントしたという記録が残っております。当時は装具もほとんど着用せずプレーしていたようですし、ルール上でも今よりもずっと危険な競技だったのでしょうけれど、当然ながらその危険性は問題視されていたようです。

大統領のコメントといえば今年3月、現職のオバマ大統領がフットボール選手の脳震盪問題に触れ、以下のようなコメントを出しました。
「NFL選手達は脳震盪について自分たちがプレイしている試合のリスクだと言う。私はフットボールの魅力を維持するためにこのような大きなリスクを負わなければいけないのかは分からない。ただ、脳震盪が増えている要因の1つは選手たちのサイズとスピードだ。1950、60年代の映像を見ると当時の選手たちは今と比べるとスローモーションのように見える。今はコンバインで、体重155キロで40ヤード走を4秒8で走る選手がいる。彼らのタックルは凄まじいものだろう」。

それでは1964年シーズンのハイライトを見てみましょう。



今見ても十分迫力がありますけど、確かに現在よりもプレーのスピードは緩やかなようにも感じられます。
オバマ大統領のコメント通り、選手の体格や運動能力の向上は深刻な健康被害の拡大とは無縁ではないでしょう。



昨日のNFL JAPAN.COMにはこんな記事が出ておりました。ペイトリオッツのQBトム・ブレイディの父親が、もし脳震盪の影響に関する知識が現在ほどあれば、息子にフットボールをプレイする許可を出したかどうか分からないと語ったという記事でございます。

『ブレイディの父、「息子へのフットボール許可ためらった」』(NFL JAPAN.COM)

そして近年は後遺症に悩む元NFL選手がチームやリーグに対して訴訟を起こす事例が増えて参りました。
現時点でNFLが提訴された訴訟は12件。最も新しい訴訟は今年4月に訴えられたものです。

『試合中の脳しんとうで後遺症、元選手らがNFL提訴』(CNN.co.jp)

この記事の最後にもある通り、NFLはここ数年で選手の健康を守るためのルール改正を重ねて参りました。
ホースカラータックル(後ろから相手の襟首をつかんで倒す行為)やキックオフリターン時のウェッジブロック(全速力で突っ込んでくるカバーチームに対しリターナーの前に3人以上のラインマンが壁を作ってリターナーを守る行為)の禁止。無防備なQBやWRに対する危険なヒットの禁止。無防備なレシーバーの頭部に対するヒットの禁止。パスラッシュを仕掛けた守備選手の相手QBの脚に向かってのタックルの禁止、QBに向かって倒れ込む行為の禁止。
・・・などなど、主にオフェンス側の選手を守るルール改正に着手しております(ディフェンスの選手にとってはこれにもまた不満があるそうですが)。

2010年には昨日すうさんからご指摘があった「スペアリング(ヘルメットからヘルメットへの悪質なヒット)」に対して罰金を科すなど、厳密に対処する事をはじめました。さらにRBが頭を下げてディフェンスに故意にヒットしにいく行為を禁止するルール改正案を検討した時期もありましたが、この2点に関しては選手や関係者からの意見も様々です。
賛成意見ももちろんありますが、元スティーラーズのジェローム・ベティス氏はこのルール改定案に対して「フットボール本来の激しさを取り除くようなルール変更ばかり行っていけば、いつの日かフラッグフットボールのようになってしまう。アメリカンフットボールは少々の犠牲は厭わない真の男のスポーツだ」とコメントしていますし、元ライオンズGMのマット・ミレン氏は「馬鹿げたルール。これではアメリカンフットボールではなくなる」と改正そのものに反対を表明。現役選手の中からも改正反対の意見が噴出し、この点に関しては現在も検討中という扱いだそうです。



さて、先に挙げたように1905年に多数の死傷者を出す事態が発生して以降、装具の進歩には著しいものがありました。1930年頃にはヘルメットにショルダーパッド、ヒップガード、サイガード、ニーガードといった現在も使用されている装具の原型が完成しております。NFLにヘルメットを提供しているリデル社も健康被害に関する訴訟の対象となっており、選手の安全を守るという意味では装具の進化は欠かせない要素です。



現役選手からの反対意見も根強く残っておりますが、来シーズンからはひざ、太もも、臀部へのパッド着用の義務化がはじまります。
パッドの着用自体は1995年から任意で導入されており、「新人の頃から着けているから問題なし」という選手も多数存在します。一方で「偽善的なもの」「安全性向上の効果はない」「単なる安全面へのPR」などの批判的な意見も出ており、動作に制限が出る事を懸念して罰金覚悟で着用を拒む選手が続出するのではないかとも言われています(前述のスペアリングでもこういう事態が発生しています)。
正しく装具を身に付けてルールに則ってプレーすれば突発的な事故以外の故障は極力減らす事ができるはずですが、逆に今以上に全身フル装備にしてしまうとプレー中に熱がこもって熱中症の危険が高まります。これでは本末転倒です。安全性の向上と競技の激しさ、競技の質の維持を高い次元で両立させるのは非常に難しい問題ですね・・・。



そんな危険と隣り合わせのスポーツである事も大きく影響していると思われますが、アメリカにおけるフットボールは人間形成に一役買っている側面もあります。特にカレッジフットボールはそれが顕著で、競技者の育成と同時に人間教育に力を入れている指導者ばかりだそうです(どんなスポーツでもそれは同じですけどね)。



ちょこちょこ走る姿が実にかわいらしいですなぁ(*´∀`)
日本でも小学生のチームはありますし、重大な事故の報告はほとんどありません。
安全管理さえしっかりやれば幼い子どもでもプレーできる競技なのです。

でもこういうのを見ちゃうとやっぱり心配。



大人も子どもも極力安全面に気を付けてプレーして欲しいものです(;^^)
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