大河ドラマ『べらぼう』の第18回「歌麿よ、見徳は一炊夢」を視聴しました。次回放送までの期間、NHK+でも視聴できます。
#大河べらぼう ダイジェスト🦊
— 大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」日曜夜8時 (@berabou_nhk) May 12, 2025
第18回の見どころを2分に凝縮してお届けします⏱
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尾美としのりさんが演じる朋誠堂喜三二(平沢常富)がインポテンツになって大騒ぎ・・・というシーンがございましたね(笑)。その際、演者の皆さんが口々に「じんきょ」と言っていたのを覚えていますでしょうか。
「じんきょ」とは古典医学の病名のようなもので、「腎虚証」のことを示しています。東洋医学の古典『霊枢』の本神篇第八には「腎は精を蔵す」と書いてあります。腎は生命の根源である先天の精を蔵しており、古典医学では房事過多になると腎気を傷ねるとされています。過度な性行為はよろしくないというわけで、精力が無いことを庶民の間では「じんきょ(腎虚)」と言っていたわけです。
腎虚証の勃起不全は所謂「中折れ」という現象で、行為の途中で萎えてしまう状態です。この状態の証を細かく分類すると「腎虚陰虚証」といいます。
10日間もの「居続け(女郎屋連泊)」で連日行為に励んでいた喜三二。おそらく最初は「腎虚陰虚証」となり、行為の途中に萎えてしまう「中折れ」が起こったのだと思われます。
喜三二は思い悩み、頭で血を消耗して「肝虚陽虚証」へと証が移行してしまいます。この証は血が少ない状態で、同時に命門の陽気(三焦の元気)も虚している状態です。「じんきょ」の中折れではなく、最初から役に立たない、いわゆるインポテンツの証です。全身の血が少ない血虚の状態なので、海綿体への血流量が増えず勃起不全が起こるとも解釈できます。
どうやら医者に診られている喜三二は「中折れ」ではなく完全なインポテンツのご様子。この場合の証は「腎虚」ではなく、正しくは「肝虚」なんですよ(笑)。
喜三二は「薬は飲んだんですよ、黄精も一粒金丹も」と言っていました。どちらも当時の精力剤、強壮剤ですが、黄精は健脾薬ですから証に合っていませんし、補肝剤の一粒金丹はおそらく服用時期が早すぎたのだと思われます。
医者はそれらの薬が「合わなかったんですよ」と言い、処方薬を飲ませていますが、この薬は睡眠薬。ドラマでは悪夢にうなされた喜三二が夜中に目を覚まし、その夢を紙に書き起こして新たな物語を発刊するという内容でしたが、肝には血が蓄えられており、眠る際には全身を巡っていた血が肝に還ることで眠気が発生します。「肝虚陽虚証」になると血虚の状態となり、肝に還るべき血が少なくなった結果、睡眠障害が起こります。これらの現象とも矛盾はありません。この医者はきっと名医なのだと思われます(笑)。
医者はそれらの薬が「合わなかったんですよ」と言い、処方薬を飲ませていますが、この薬は睡眠薬。ドラマでは悪夢にうなされた喜三二が夜中に目を覚まし、その夢を紙に書き起こして新たな物語を発刊するという内容でしたが、肝には血が蓄えられており、眠る際には全身を巡っていた血が肝に還ることで眠気が発生します。「肝虚陽虚証」になると血虚の状態となり、肝に還るべき血が少なくなった結果、睡眠障害が起こります。これらの現象とも矛盾はありません。この医者はきっと名医なのだと思われます(笑)。
『べらぼう』の脚本と演出はこれらのこともしっかり理解した上で、庶民に知られた通称としてあえて演者にインポテンツのことを「じんきょ」と言わせているのだと思います。
証としては間違っていますけど、正しい医療監修が入ったセリフ回しです。このあたりはさすがNHKですね。
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