昨年9月に開幕した日本初の女子プロサッカーリーグ、WEリーグが昨日で閉幕いたしました。初代女王はINAC神戸レオネッサさん、準優勝は三菱重工浦和レッズレディースさんでした。おめでとうございます!
そして初代得点王(公式でも女王ではありません)は菅澤選手(浦和レッズL)。プロリーグ初代得点王が、現在もあえて三井住友海上埼玉損害サポート部で勤務を続けるアマチュアプレーヤーというのもまたいろんな複雑な思いがこみ上げて参ります。
6月7日午後4時から「2021-22 WEリーグアウォーズ」が開催されます。DAZNでのライブ配信もございます。こちらも楽しみにしたいですね。
正直、WEリーグ元年は課題が山積したシーズンでした。私個人的にも様々な感想や意見がございます。評価としては厳しいものになりますけど、WEリーグ元年を忖度なしで振り返りたいと思います。
まずは「WE Love 女子サッカーマガジン」のシーズン総括をどうぞ。無料記事なのでどなたでも拝読できます。
正直、WEリーグ初年度は運営に関しては「大失敗」のシーズンだったと言っていいと思います。一番大きな失敗は観客動員数。1試合平均5000人を目標に掲げたものの、実際には全110試合で17万1061人。1試合平均1555.1人に留まりました。これはコロナ禍前、2019年シーズン以前のなでしこリーグ1部の観客動員数と大差ない数字です。
クラブ別だと平均観客動員数1位はINAC神戸レオネッサさんで3158人。大宮アルディージャVENTUSさんが2279人で続き、浦和Lさんが2132人、日テレ・東京ヴェルディベレーザさんが1688人という数字でした。平均以上はこの4クラブのみで、ノジマステラ神奈川相模原さん(956人)、アルビレックス新潟レデイースさん(957人)の2クラブに至っては1000人にも満たない状況。目標の5000人には程遠い数字に終わっています。
そもそもこの5000人という数字はどこから出てきたかというと、経営的にこのくらいの収益が欲しい→だったら5000人は入らないと厳しい、という逆算的なものだったようです。つまり、どのクラブにとっても平均観客動員数5000人は経営を安定させるための最低限の数字だというわけです。ところが実際の数字はその3分の1以下。経営的にはどのクラブも厳しそうに映る数字です。
では、観客動員を増やすためにWEリーグや各クラブがどんな努力をしたかと言われれば・・・そんなに印象に残るイベントはなかったように思います。
先日INAC神戸レオネッサさんが国立競技場でホームゲームを開催し、1万人を超える観客動員数を記録した試合がありました。また、マイナビ仙台さんも東京でホームゲームを開催する(観客動員数は1505人に留まりました)など、ホームゲームを首都圏で開催するなどの集客作戦もありましたが、地元でのホームゲームでの動員を伸ばさないことには今後の集客には繋がらない気がします。
「WE Love~」の記事にもありますが、WEリーグの印象が決定的に薄れてしまった要因がウインターブレイクに原因があったことは明らかです。
リーグ戦が中断した12月上旬から3月下旬までの3ヵ月半、WEリーグの話題が地上波に出て来ることはほとんどありませんでした。SNSやネット上の話題はファンやサポーターが自ら探しに行かなければ目にすることも少なく、この期間でWEリーグへの興味が一気に薄れ行くのが感じ取れました。オフではなく、あくまでもシーズン中のブレイク期間だったことを考慮すると、やはりこの空白の期間が非常にもったいなかったように感じます。
そしてもうひとつ、試合がない1クラブが毎節取り組んでいた「WE ACTION DAY」がWEリーグの集客や魅力の周知にほとんど寄与していなかった点。これも大きな問題だと思っています。
公式サイトに記載されている「WE ACTION DAY」の理念は以下です。
『WE ACTIONとは、WEリーグに所属する選手、クラブ、そして、サポートするパートナー企業を始めとする様々な人が、リーグの理念「女子サッカー・スポーツを通じて、夢や生き方の多様性にあふれ、一人ひとりが輝く社会の実現・発展に貢献する。」の実現のために輪となり、私たちみんな(WE)で起こす行動(ACTION)です。』
これはこれで大事なことですが、理念がふわっとし過ぎていて一体WEリーグはどこに向かっているのか?何をしたいのかが伝わりませんでした。要するに、掲げた理念が高尚過ぎて一般人にはまったく伝わらなかった、多くの人はWEリーグの理念を理解できなかったというのが現実だと思います。
もっとわかりやすい、キャッチーなスローガンを掲げるべきでは?というのが率直な感想です。
選手一人ひとりのレベル、そしてクラブ単位のサッカーのレベルはなでしこリーグ時代に比べて飛躍的に向上しています。このことからも、WEリーグの観客動員数が伸び悩んでいるのはサッカーのレベル云々ではないことがわかります。
サッカー以外の部分、競技力以外の魅力を如何にしてアピールできるかが、2シーズン目以降のWEリーグの大きな課題ですが・・・意外とコア層や女子サッカーフリークの皆さん、そしてWEリーグ自体がそれを認めない、許さないというスタンスなのが足枷になっているようにも思います。
個人的にはですけど、どん底からの復活を遂げた新日本プロレスの経営方針がかなり参考になるはずだと考えています。
女性の活躍を声高に謳うなら、競技力だけに拘るのではなく、女性らしさをアピールの武器にするのも悪手ではないと思います。WEリーグを、女子サッカーをより一層アピールするためにも、ここは日本女子サッカー界全体で超えなければならない試練だと思います。
Jリーグやプロ野球にだって、選手をアイドル扱いする雑誌や媒体はたくさんあります。マスコミをもっと上手く、賢く活用してもいいんじゃないでしょうか。
課題がたくさんあるということは、のびしろがたくさん残っているということです。来季も11クラブで戦うこと、選手の契約内容がかなり不透明であることなど、まだまだ言いたいことはたくさんありますけど、少しずつ改善していけばいいんじゃないでしょうか(^^)
プロリーグは閉幕しましたが、アマチュアリーグである「なでしこリーグ」はまだまだシーズン中盤です。2年目のWEリーグが開幕する秋まではもうひとつの女子サッカー、なでしこリーグにもぜひ注目してください。
そして初代得点王(公式でも女王ではありません)は菅澤選手(浦和レッズL)。プロリーグ初代得点王が、現在もあえて三井住友海上埼玉損害サポート部で勤務を続けるアマチュアプレーヤーというのもまたいろんな複雑な思いがこみ上げて参ります。
本日 #Yogibo #WEリーグ 開幕シーズンが終了しました。今季、WEリーガーが318名誕生し、全110試合の総来場者数は171,601人となりました。WEリーグに関わられた全ての方々に心より御礼申し上げます!2シーズン目はもっとパワーアップしてお会いできるように✊私たちも来シーズンが待ちきれません! pic.twitter.com/MLrGEmDehd
— WEリーグ|日本女子プロサッカーリーグ (@WE_League_JP) May 22, 2022
🥇最終順位表🏆2021-22 Yogibo WE リーグ#Yogibo #WEリーグ#これは新しい日本のキックオフだ詳細はこちら⏬https://t.co/vRJT3cqFL0 pic.twitter.com/hcy8Afqmd1
— WEリーグ|日本女子プロサッカーリーグ (@WE_League_JP) May 22, 2022
6月7日午後4時から「2021-22 WEリーグアウォーズ」が開催されます。DAZNでのライブ配信もございます。こちらも楽しみにしたいですね。
正直、WEリーグ元年は課題が山積したシーズンでした。私個人的にも様々な感想や意見がございます。評価としては厳しいものになりますけど、WEリーグ元年を忖度なしで振り返りたいと思います。
まずは「WE Love 女子サッカーマガジン」のシーズン総括をどうぞ。無料記事なのでどなたでも拝読できます。
WEリーグはなぜブームにならなかったのか? 「WEリーグ開幕の期待」は開幕直後から膨らまなくなっていた アンケート調査から1年目のWEリーグを振り返る(無料記事) - WE Love 女子サッカーマガジン https://t.co/uAjuf6YlHn #女子サカマガ
— #女子サカマガ (WE Love 女子サッカーマガジン) (@wlwfm) May 22, 2022
正直、WEリーグ初年度は運営に関しては「大失敗」のシーズンだったと言っていいと思います。一番大きな失敗は観客動員数。1試合平均5000人を目標に掲げたものの、実際には全110試合で17万1061人。1試合平均1555.1人に留まりました。これはコロナ禍前、2019年シーズン以前のなでしこリーグ1部の観客動員数と大差ない数字です。
なでしこリーグ1部平均観客動員数の推移(2010~2020)2011年になでしこジャパンがW杯優勝後に動員が激増も、その後は減少し、2016リオ五輪アジア予選敗退後はジリジリと下降線。2020年はコロナの影響により2019年と比較して約51%の動員に。 pic.twitter.com/6d2PxFxxyG
— tomox (@tomox18) January 6, 2021
クラブ別だと平均観客動員数1位はINAC神戸レオネッサさんで3158人。大宮アルディージャVENTUSさんが2279人で続き、浦和Lさんが2132人、日テレ・東京ヴェルディベレーザさんが1688人という数字でした。平均以上はこの4クラブのみで、ノジマステラ神奈川相模原さん(956人)、アルビレックス新潟レデイースさん(957人)の2クラブに至っては1000人にも満たない状況。目標の5000人には程遠い数字に終わっています。
そもそもこの5000人という数字はどこから出てきたかというと、経営的にこのくらいの収益が欲しい→だったら5000人は入らないと厳しい、という逆算的なものだったようです。つまり、どのクラブにとっても平均観客動員数5000人は経営を安定させるための最低限の数字だというわけです。ところが実際の数字はその3分の1以下。経営的にはどのクラブも厳しそうに映る数字です。
では、観客動員を増やすためにWEリーグや各クラブがどんな努力をしたかと言われれば・・・そんなに印象に残るイベントはなかったように思います。
先日INAC神戸レオネッサさんが国立競技場でホームゲームを開催し、1万人を超える観客動員数を記録した試合がありました。また、マイナビ仙台さんも東京でホームゲームを開催する(観客動員数は1505人に留まりました)など、ホームゲームを首都圏で開催するなどの集客作戦もありましたが、地元でのホームゲームでの動員を伸ばさないことには今後の集客には繋がらない気がします。
「WE Love~」の記事にもありますが、WEリーグの印象が決定的に薄れてしまった要因がウインターブレイクに原因があったことは明らかです。
リーグ戦が中断した12月上旬から3月下旬までの3ヵ月半、WEリーグの話題が地上波に出て来ることはほとんどありませんでした。SNSやネット上の話題はファンやサポーターが自ら探しに行かなければ目にすることも少なく、この期間でWEリーグへの興味が一気に薄れ行くのが感じ取れました。オフではなく、あくまでもシーズン中のブレイク期間だったことを考慮すると、やはりこの空白の期間が非常にもったいなかったように感じます。
そしてもうひとつ、試合がない1クラブが毎節取り組んでいた「WE ACTION DAY」がWEリーグの集客や魅力の周知にほとんど寄与していなかった点。これも大きな問題だと思っています。
公式サイトに記載されている「WE ACTION DAY」の理念は以下です。
『WE ACTIONとは、WEリーグに所属する選手、クラブ、そして、サポートするパートナー企業を始めとする様々な人が、リーグの理念「女子サッカー・スポーツを通じて、夢や生き方の多様性にあふれ、一人ひとりが輝く社会の実現・発展に貢献する。」の実現のために輪となり、私たちみんな(WE)で起こす行動(ACTION)です。』
これはこれで大事なことですが、理念がふわっとし過ぎていて一体WEリーグはどこに向かっているのか?何をしたいのかが伝わりませんでした。要するに、掲げた理念が高尚過ぎて一般人にはまったく伝わらなかった、多くの人はWEリーグの理念を理解できなかったというのが現実だと思います。
もっとわかりやすい、キャッチーなスローガンを掲げるべきでは?というのが率直な感想です。
選手一人ひとりのレベル、そしてクラブ単位のサッカーのレベルはなでしこリーグ時代に比べて飛躍的に向上しています。このことからも、WEリーグの観客動員数が伸び悩んでいるのはサッカーのレベル云々ではないことがわかります。
サッカー以外の部分、競技力以外の魅力を如何にしてアピールできるかが、2シーズン目以降のWEリーグの大きな課題ですが・・・意外とコア層や女子サッカーフリークの皆さん、そしてWEリーグ自体がそれを認めない、許さないというスタンスなのが足枷になっているようにも思います。
個人的にはですけど、どん底からの復活を遂げた新日本プロレスの経営方針がかなり参考になるはずだと考えています。
女性の活躍を声高に謳うなら、競技力だけに拘るのではなく、女性らしさをアピールの武器にするのも悪手ではないと思います。WEリーグを、女子サッカーをより一層アピールするためにも、ここは日本女子サッカー界全体で超えなければならない試練だと思います。
Jリーグやプロ野球にだって、選手をアイドル扱いする雑誌や媒体はたくさんあります。マスコミをもっと上手く、賢く活用してもいいんじゃないでしょうか。
課題がたくさんあるということは、のびしろがたくさん残っているということです。来季も11クラブで戦うこと、選手の契約内容がかなり不透明であることなど、まだまだ言いたいことはたくさんありますけど、少しずつ改善していけばいいんじゃないでしょうか(^^)
プロリーグは閉幕しましたが、アマチュアリーグである「なでしこリーグ」はまだまだシーズン中盤です。2年目のWEリーグが開幕する秋まではもうひとつの女子サッカー、なでしこリーグにもぜひ注目してください。