工藤鍼灸院・院長のひとりごと2

真岡市(ハローワーク向かい)
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お灸もやってます

『ゲゲゲの女房』の施灸シーンを考察してみた

2010年04月05日 19時48分12秒 | 鍼灸・東洋医学
さて、今朝の『ゲゲゲの女房』第7話に登場した施灸シーン。鍼灸師の立場から解説させていただこうと思います。
まずはそのシーンを振り返ってみましょう。主人公の布美枝が母・ミヤコにお灸をすえているシーンでございます。



母「配達行くなら早い方がええよ、雨になるけぇ」



布「よく当たるもんねー、お母さんのリウマチ天気予報」
母「フフッ・・・」



布「配達の帰りにもぐさ買って帰って来るけんね」
母「だんだん」 (←山陰地方の方言で「ありがとう」の意味)



ナレーション「ミヤコは持病のリウマチが年とともに悪くなり、家事に、酒屋の手伝いに、布美枝は我が家に欠かせない存在になっていました」



とまぁこんなシーンでございました。
わずか28秒足らずのシーンでしたが、ここからでも多くの情報が読み取れます。

まずはお灸の種類。母・ミヤコにすえているお灸は隔物灸と呼ばれる温灸の手法でございます。薄くスライスしたにんにく、もしくはしょうがの上に円錐状に形を整えたもぐさを乗せ、そこに線香で火を付けます。もぐさは少しずつ燃焼し、ほんのり温かくなって参ります。しばらくして熱く感じたらすぐにもぐさを除けます。・・・あの大きさのお灸ですからね、全部燃えるまで我慢していたら大やけどになっちゃいますよ(笑)。温灸ですから絶対に熱さを我慢してはいけません。
こういう事情を知らなければ、せっかくの心地良いお灸が「熱そう」「痛そう」と誤解されてしまいます。実際にやってみると温かくて気持ちのいいお灸なんですよ~。

この灸法、基本的にこれは補法の灸なのですが、技術指導が行き届かなかったのでしょうか。母親役の古手川祐子さん、お灸に息を吹きかけて火を強めようとしてしまいました。息を吹くと瀉法になってしまうので、厳密に言えば自然に燃焼させた方が望ましいです。



はいはい、手厳しく参りますよ(笑)。



お母さんはリウマチとの事ですが、布美枝のセリフから湿度が上がると調子が悪くなる事がわかりますから、おそらくこれは湿邪によって起こる関節痛ではないかと推測されます。精気の虚に湿邪が加わる事で病理の虚(この場合は脾虚)が起こったのではないでしょうか(鍼灸学生さんは素問の『至真要大論第七十四』と『宣明五気篇第二十三』をご参考ください)。
脾虚になると胃腸の働きが低下し、体表からの陽気の発散が上手く出来なくなり、内側に水の停滞が起こります。この水の事を「湿」と呼ぶわけですが、湿が多くなるとさらに陽気の発散が悪くなり、またまた水の停滞が起こるという悪循環に陥ります。この状態にある時、例えば暴飲暴食や過労などで陽気の発散が悪くなると、体にどんどん熱がこもります。この熱は脾の支配部位である胃腸や肌肉、全身の関節、陽明経や太陽経という気の流れ道(経絡)などに停滞し、様々な症状を引き起こします。これがリウマチの古典的な病理状態でございます。

ここでひとつ疑問が生じませんか?熱の停滞で痛むのに、なぜお灸で温めるのでしょうか?簡単に説明すると、これは表の浅い部分を温める事で陽気の発散を促しているわけでございます。
熱の停滞している部分に熱を加えると、停滞していた熱が表面近くまで浮き出て参ります。ここまで出て来れば皮膚を介して勝手に発散されますから、温める事で結果的に熱が取れるというわけでございます。



・・・はい、この辺で鍼灸師さん以外は全員「?」状態だと思われますが、続けます。



リウマチの初期は太陽経の実熱なのですが、慢性化してくると熱が内攻して陽明経の実熱となります。関節が腫れ、なかなか痛みが取れない状態です。熱を発散できないので、陽明経が働く昼下がりになるとさらに激しく痛みます。
このシーンの前に布美枝の妹があんこ餅を食べているシーンがあり、そこでおばあちゃんから「またミヤコのリウマチが出て・・・」と聞かされ、その後の施灸シーンへとつながっています。



このシーンがおやつ時という事は、おそらく施灸シーンは午後3時過ぎの設定。リウマチの発作がひどく出やすいのはこの時間帯以降ですから、細部まで上手に演出されているなぁと感心しちゃいました(笑)。
お灸をすえている場所はおそらく手の陽明大腸経にある手三里という経穴(ツボ)。というわけで、布美枝の母・ミヤコは脾虚陽明経実熱証だと推測する事が出来ます。

ちなみにですけどね。

布美枝が使用している紺色の線香は、おそらく私が普段使用している線香と同じもの。淡路島産の椨(タブ)線香でございます。お灸をすえる際に使用する線香は仏事用の杉線香とは全くの別物なんですよ。
また布美枝のセリフにもあるように、一昔前までは薬局でもぐさが買えたそうなんですよ。今は薬局で買えるお灸は「せんねん灸」くらいかなぁ?一般向けにはほとんど売られていないと思います。



どうでしょう?こうして別の角度から観てみると、また違った楽しみ方が出来るでしょ?
以前書いた事がありましたけれど、時代劇によくある漢方医が出てくるシーンなども、こういう観方をすると非常に面白いですよ(^^)ノシ
コメント (2)
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2連勝!!

2010年04月05日 12時12分30秒 | サッカー馬鹿
お灸のお話は今夜ね。



まずひとつお知らせ。昨日素鵜さんから教えていただいたのですが、4月21日(水)午後から宇都宮大学でJリーグ鬼武チェアマンの講演会がございます。
周知が徹底されていないので、ほとんどご存知の方がいないと思います。行ける方、ぜひ行って来て感想を聞かせてください(^^)



さてさて。



どうですか栃木県民の皆様。我らが栃木SC、アウェイ岡山戦に勝利!!J初の逆転勝ちで2連勝!!こんなに気分良く目覚めたのは久々ですよ。昨晩あんなに飲んだのに(笑)。
先制されましたが選手もサポーターもあわてずに我慢強く試合を推し進める事が出来ました。前半のうちに同点に追いつけたのが非常に大きかったですね。宮本選手の魂のヘッド、現地はもちろんラウンド87も総立ちで大盛り上がりでした。このFK、そして逆転のFKは2本とも佐藤選手の左足によるものでした。
昨年はケガで長期離脱していた佐藤選手。ケガから復帰するも、今季はなかなか出番に恵まれず、ようやく掴んだスタメンの座。そのチャンスを逃さず、ここ2試合で佐藤選手の必要性をしっかり証明してくれました。昨年はセットプレーで点が取れる気が全くしなかったですから・・・やはり佐藤選手は偉大な選手です(;∀;)アリガトウユウスケ!

しか~し。

勝利に浮かれてばかりはいられません。勝ちはしましたが、内容自体は決して良くはなかったです。
先制されてしばらくはお互いにロングボールの蹴り合いとなってしまい、細かくつなぐ意識が欠如した危険な状態に陥る時間帯がありました。ロングボール自体は悪くない選択ですけれど、自分達がやるべきサッカーを見失うと意図するものが見えないロングボールになってしまいがち。全員が冷静に戦況を把握し、つなぐ意識へと素早く切り替えられたところは評価したいと思いますが、強豪相手だとそこまでの数分間でやられてしまう可能性がございます。
90分間しっかり集中を切らさず、守備では相手のスペースを埋めて高い位置でチェックし、ボールを奪ったら素早くカウンター。このパターン以外に勝機はないわけですし、もっと徹底してもいいんじゃないかと感じました。

とりあえずあれだ。何だかんだ言っても内容が悪い中で勝てたという部分に昨年までとの違いが感じられますね。いろいろと課題は残されておりますが、守備の固いチームから2点を奪い、勝ち点3を奪えた事は、今後に向けての自信にもつながります。まずは90分間走り切った選手達に感謝です(^O^)
そして現地へ行かれたサポーターの皆さんにも感謝です。今節の勝利は皆さんの声援の後押しのおかげです。お疲れ様でした、本当にありがとう!!



それにしても岡山さん。おたくら、プレーが荒すぎやしませんか?昨日に限っては負傷者なしだったのが不思議なくらいでしたよ全く( -_-)
前半37分の危険なプレー、あれ宮本選手死んじゃったかと思いました。いや、冗談抜きで。ラウンド87店内に悲鳴が響き渡ったほどでございました。
岡山さんはけが人続出らしいですけど、練習からあんな当たりを繰り返してたらそりゃ負傷者も増えるって・・・。



まぁいいや。次の試合の事を考えましょう!
栃木最高!



・・・一方、J1のG大阪は泥沼の開幕5戦勝ちなし。
久保先生、J2には来ないでくださいよ(;^^)
コメント (2)
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誤解が・・・

2010年04月05日 08時21分25秒 | 鍼灸・東洋医学
『ゲゲゲの女房』施灸シーン。
う~ん、このサイズのお灸だと誤解が生じる可能性大だわ。
今夜はこのお灸について解説します。
コメント
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