伊勢崎市議会議員 多田稔(ただ みのる)の明日へのブログ

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発達障害なんのその それが僕の生きる道

2012-10-09 20:50:13 | 教育・PTA・児童福祉

発達障害なんのその それが僕の生きる道

これは、発達障害の若者と、その両親が書いた成長の記録です。
巻頭には、玉井教授の言葉も掲載されています。
(東京シューレ出版 1,500円+税)

私はかつて児童相談所に児童福祉司として勤務していました。
自閉症児や学習障害児、ADHDの児童にも接してきました。
現在は小学校で本の読み聞かせボランティアを
12年間継続していますが、広い意味の発達障害の児童が
増えてきているように感じます。

自閉症の子どもたちは、コミュニケーションが苦手で、
行動もマイペース、人から見れば自分勝手に写ってしまいがち。
こんなことから、いじめの対象にされたり、
不登校になったりします。

発達障害に対する理解を深めることで、
いじめや不登校の問題も改善するかもしれません。

学校の先生方はプロですので、
このような児童に対する正しい理解と対応が期待されますが、
一般の保護者の方には、まだ馴染みが無いのではないでしょうか。
自閉症児自身が書いた本は珍しいので、
私自身読んでみて、とても参考になりました。



(発達障害の範囲)

「発達障害」とは発達障害者支援法では次のように定義されています。
「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、
 注意欠陥多動性障害、その他これに類する脳機能障害であって
 その症状が通常低年齢において発現するもの」

政府広報オンラインでは、次のような説明図があります。


どのタイプにあたるのか、分けるのは難しいです。
障害ごとの特徴が少しずつ重なり合っている場合も多いので。
また、年齢や環境により目立つ症状がちがってきますので、
診断された時期により、診断名が異なることもあります。



(自閉症)

家に引きこもっていたり、話をしない症状は自閉症であるという
誤った考えが社会にはあります。
本当の自閉症は、「言葉の発達の遅れ」「コミュニケーションの障害」
「対人関係・社会性の障害」「パターン化した行動、こだわり」などの特徴をもつ障害で、
3歳までには何らかの症状がみられます。

また、自閉症の人々の半数以上は知的障害を伴いますが、
知能に遅れがない高機能自閉症(アスペルがー症候群)の人々もいます。

最近では、症状が軽くても自閉症と同質の障害がある場合、
自閉症スペクトラムと呼ばれることがあります。
ここからこっちは普通で、そっちは自閉症というような
はっきりとした境界線はありません。
普通から重い自閉症まで、虹のようにつながっているという意味で
「自閉症スペクトラム」と言います。




基本的な知識の確認がすみましたので、
以下、この本「発達障害なんのその それが僕の生きる道」
の内容をご紹介します。



(発達障害という生き方)

大正大学教授:日本ダウン症協会理事長 玉井邦夫

平成17年に施行された発達障害者支援法は
旧来の障害にあてはまらないが、
何らかの支援を必要とする児者を対象としました。

「発達障害」という概念の登場は、日本の障害観に対する
革命的な「思想性」を持っています。
障害名や診断名が付いても、適切な支援の末に成人する時点では
「そういう人」であってもいいという考え方です。

発達障害という考え方は、
障害というものを「個人の特性」よりも、
「人と人との関係性」として捉えることへ軸足を移そうとするもの。



(自閉症の行動障害)

認知過程の障害。認知過程とは、次のような頭の中の作業。
今ここで起きている事象が、過去にもあったものであるか
記憶と照合する(表象化)。
あったなら、どのグループに属するのか調べる(象徴化)。
そのグループには、どんな特徴があり、何が重要か調べる(概念化)。

これらが一連の作業として頭の中で行われています。
認知過程の障害は、これらのどこかがうまく働いていないのです。



(毎日が驚きの連続)

上に挙げた「表象化」がうまくできないと、
過去に同じような経験をしていても、
そういうことがあったかすら分からないので、
自分の身に起こることが、
すべて生まれて初めてのことと感じられ、
毎日が驚きの連続となってしまうのです。



(象徴化)

象徴化がうまくできないと、過去の経験を生かせず、
毎回同じ対処法を繰り返してしまいます。



(概念化)

概念化がうまくできないと、全体像が把握できません。
そのため本質がつかめず、瑣末な部分にとらわれたりして
適切な対応が取れません。



(なぜ記憶のグループ化ができないのか)

多くの人は関連した記憶をまとめて、
一つの引き出しに入れて記憶します。

しかし、自閉症の人は、
一つの記憶は一つの引き出しにしまいます。
これでは他の事柄と関連付けたり、
参考にすることができません。

そのため何度も同じ失敗を繰り返したり、
予測が立てられず、臨機応変な対応ができません。
それでパターン化した行動になったり、
強いこだわりが生じるのかもしれません。



(初めてが大の苦手)

初めて行く場所、初めてやること、初めて会う人、
初めて食べるもの、とにかく「初めて」は大の苦手です。
象徴化ができないので、今までの経験や知識を使って
事態が分析できず、どのように展開するのか想像がつかないからです。

初めては誰でも不安ですが、
不安の度合いがまったくちがうのです。



(対応のポイント)

1 あるがままの姿を受け入れる
2 特効薬はない
3 長い目で見る
4 個人差がある
5 できることを伸ばす
6 押し付けに注意
7 理解と共感が大切
8 学校は命がけで行くところではない



(具体的対応の留意点)

1 いつも同じ態度で接する(基準を明確に)
2 怒鳴ったり、たたいたりしない
3 感性に訴える
4 具体的な指示を与える(抽象的な理解は苦手)
5 刺激を減らす(不必要なスキンシップは嫌い)
6 全体像を具体的に提示する
7 まわりの子どもを育てる(お互いの違い・人格を認める)
8 対応を後回しにしない
 (自然治癒しないので、様子を見るは解決にならない)



(上野康一君:仮名)

康一君は高機能自閉症(アスペルガー症候群)です。
重い自閉症ですが、知能は高いのです。

小学校卒業後、中学校で不登校になりました。
おかあさんと、相田みつを美術館へ行ったり、映画を見たり、
図書館へ行ったり、過ごしました。

高校は北海道の北星余市高校へ進学。
寮生活をしながら卒業できました。

その後沖縄にある
リハビリテーションの専門学校へ進学しましたが、
留年後2年生の時に退学して自宅へ戻りました。

自転車やさんのバイトなどを経て、
現在は、会社員として溶接機械の修理の仕事に
熱心に取り組んでいます。



(多田感想)

康一君とご家族は、
小中学校、高校、専門学校と
さまざまな困難にぶつかってきました。

それでも今は、正社員としてきちんと勤務しています。
自閉症のお子さんの保護者の方は、
将来子どもが自立できるか、働けるか、
大変気がかりなことと思います。

康一君のケースを知って勇気をもらいました。
普通か、自閉症か、というはっきりとした境界線はありません。
全ての方が、自閉症の傾向が、多いか、少ないかの違いです。

融通が利かない、コミュニケーションが苦手、
瑣末なことにとらわれ全体が見えない、
初めてのことが大の苦手、などの自閉症の症例を聞くと、
まるで役所のようです。

もしかしてお役人は、
高機能自閉症気味の人が多いのかも!?(新説)
調べてみれば、まだまだ相関があるかもしれません。

ジョークはさておき、
学校関係者や児童福祉関係者が
自閉症や学習障害に対する理解を更に高めることで、
生きづらい彼らが、もっと生きやすくなるお手伝いができると思います。
少しでも、いじめや不登校が減りますように。

「発達障害なんのその、それが僕の生きる道」



(参考)
上野ご夫妻は、次の本も書かれています。
「ボクもクレヨンしんちゃん―LDの息子とともに歩んだ12年 」


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2 コメント

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本の内容を取り上げて頂きありがとうございます。 (上野康一(ペンネーム))
2018-05-22 16:24:38
本に書いてある会社で、今現在も働いていますが、正社員ではないです。
ハローワークの横浜障害者合同面接会でトライアル雇用で働きました。
3ヶ月間のトライアル雇用と書いてあるだけで、面接では正社員になれると言われて働きましたが、すぐには正社員にはなれないと言われました。
トライアル雇用期間中は最低賃金でした。トライアル雇用が終わると嘱託社員(パートみたいな扱い)で最低に数円プラスした金額でした。
2010年から働きました、住友重機械マリンエンジニアリング株式会社ですが、2009-2012年は造船業界のバブルでした。年6ヶ月の賞与を正社員は貰い、上野康一は年6万円の賞与で頑張って居ました。
すぐには正社員になれないと言われて2011年に正社員になれるか人事に聴くとまだ早いと言われました。2012年に正社員になれないか聴くとまだ早いと言われました。当時は純利益が118億円と好景気でした。


2013年から2015年は住友重機械マリンエンジニア株式会社は赤字でした。純利益でマイナス20億円の赤字でした。この期間は新入社員も採用出来ないから、正社員に出来ないと言われました。

2016年新入社員を取れるくらいの景気になり、正社員になれると期待してましたが、人事が上野康一は技術が無いから正社員には出来ないと言いました。
2017年に技術とは何かを聴くと、日本一番の溶接(日本溶接大会)でチャンピオンにならないと正社員にはしない。
基盤からプログラムのセッティングをしないと正社員にはしない。
開発で新規の溶接機を開発しないと正社員にはしない。
いずれも継続出来ないと正社員にはしないと言われました。
障害者雇用なのにレベルが高過ぎて住友重機械マリンエンジニア株式会社の意地悪にしか聞こえなかったです。
コメントありがとうございます (多田稔@伊勢崎市議)
2018-05-26 09:34:57
上野康一さん、コメントありがとうございます。
嘱託社員を正社員にする条件として
「日本一番の溶接(日本溶接大会)でチャンピオンにならないと正社員にはしない。」
というのは世間に通用する妥当な基準なのか大いに疑問です。
この会社の正社員は、全員溶接大会の日本チャンピオンなのでしょうか?
この話は事実かどうか私には確認できませんが、
あまりに無謀な条件だと思います。
労働基準監督署の総合労働相談コーナーなどに相談してみてはいかがかと思います。
場合によっては、法務局に障害者の人権相談窓口もあります。

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