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電力切替えで原発推進の東北電力から脱却を(青森県保険医新聞掲載)

2018年02月02日 | 東日本大震災・原発事故
 昨年12月のNHK「脱炭素革命の衝撃」をご覧になった方も多いと思う。安倍政権が推進している原発・石炭火力の輸出は世界の潮流に逆行しており、ビジネスチャンスも失っている。国内で先進的な取り組みを進めてきた企業の担当者が、厳しい指摘を受けて涙を浮かべていたシーンが印象的だ。

 すでに全世界で風力+太陽光は原発の約2倍に達しており、中国も原発から自然エネルギーへの転換を積極的に進めている。(映画『日本と再生』予告編を参照)



 個人でできる脱原発運動として、私の診療所(住宅兼用)では2012年秋に太陽光発電を開始した。不足分は依然として東北電力から買わざるを得なかったのだが、昨年末に青森県民エナジー(株)に切替えた。手続きは紙の上だけで、スマートメーターへの交換も東北電力が無償で行い、作業停電もなし。料金は全体で2%オフの見積り。売電していると他社に切替えできないのかと案じていたが、何の障壁もないことが山脇直司氏の講演会の際に同社社長から説明されて氷解した。このような簡単なことも、メディアやネット上の情報では伝わっていなかったのだ。

 同社の電力も自然エネルギーが4割程度ではあるが、残りも自由化市場から調達しているものであり(流れている電気は従来と同じ)、東北電力の支配から相当程度フリーになり、発言権を確保することができた。

 原発再稼働のために莫大な費用を投じている東北電力に多くの消費者がノーをつきつけることで、流れを変えることが可能なはずだ。

 本稿執筆中に吉岡斉氏(原子力市民委員会座長)の訃報が飛び込んできた。14年には当協会主催で講演会「なぜ脱原発社会なのか」が開催された。昨年末に発行された『原発ゼロ社会への道2017』が遺稿となってしまった。小泉元首相らの原自連が「原発ゼロ基本法案」を公表し、立憲民主党などとの協議が始まったばかりだったが、市民の側に立った専門家としての役割が今後も期待されていただけに、痛恨の極みである。ご冥福をお祈りします。

 鈴木達治郎氏が昨年末に上梓した『核兵器と原発 日本が抱える「核」のジレンマ』を、県民の必読書として推薦したい。昨年の鈴木氏の講演会要旨と資料は私のブログに掲載されている。併せてご一読いただきたい。

関連リンク

青森県民エナジー株式会社
https://aomori-energy.co.jp/

鈴木達治郎氏講演(7/15八戸)報告 医師会報掲載原稿
http://blog.goo.ne.jp/kuba_clinic/e/1c871f13d322025ee299e6043015e306

鈴木達治郎氏講演資料(7/15)と追加質問への回答を掲載
http://blog.goo.ne.jp/kuba_clinic/e/76d90ddd496b2b5dc6086f76b3685543

『核兵器と原発 日本が抱える「核」のジレンマ』講談社現代新書 著:鈴木達治郎
http://bookclub.kodansha.co.jp/product?isbn=9784062884587

『原発ゼロ社会への道 2017 脱原子力政策の実現のために』原子力市民委員会
http://www.ccnejapan.com/?page_id=8000

「原発ゼロ・自然エネルギー基本法案」(原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟 2018年1月10日
http://genjiren.com/basiclaw.html

「原発ゼロ基本法案骨子案」(立憲民主党)
https://cdp-japan.jp/news/929

映画『日本と再生』予告編
http://www.nihontogenpatsu.com/

自然エネルギー白書(isep 環境エネルギー政策研究所)
http://www.isep.or.jp/archives/library/category/japan-renewables-status-report
(図の引用は自然エネルギー白書2016より)

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1 コメント

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再エネが93% (kuba)
2018-02-05 09:29:02
本文中に再エネが4割程度と書きましたが、ここに掲載されている記事によると、昨年11月の供給電力は再エネが93%に達したとのことです。(この記事を見逃していました)
https://aomori-energy.co.jp/media

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